パン屋日記 #24 おばちゃんという生きもの(2)
- パン屋日記
町のパン屋さんで働くフワフワの日々……を想像してパン屋で働き始めた筆者が、味わい深い同僚やとんでもないお客さまとくり広げる必ずしもフワフワではない日々の記録です。
人のやさしさや仕事の本質、心に残る一言から、「かんべんしてくれよ」と思うようなできごとまで。自分や自分の身近な人のことを思い出して、ニヤッとしたりじんわりしたりしていただけたら、これ以上の幸せはありません。
#24 おばちゃんという生きもの(2)
「おばちゃん」は人生の先輩です。
20代女子にとっての
ホットな話題と言えば、
仕事・子ども・結婚です。
特に出産や育児のことは
とても気になります。
「出産って痛かったですか」
と、素直に聞いてみました。
おばちゃんはそれを、
床からの高さに例えて
教えてくれました。
「あのね、
甲斐さんが26年間で経験した
一番痛いお腹の痛みが、
これくらいだとするじゃない」
(うんうん)
「で、『死』の痛みがここだとするじゃない」
(ふんふん)
「陣痛は、このへん」
ほとんど「死」でした。
その方には、お子さんが2人います。
「どうしてそんなに痛いのに
2人目を産もうと思ったんですか」
と、素直に聞いてみました。
「それがねえ……」
おばちゃんは言いました。
「子どもって、か~わいいんよ~!」
(えっ、それだけ!?)
おばちゃんと話していると、
目から落とすうろこが
何枚あっても足りません。
「でもね、1回目の時は
かわいいって思う余裕がなくて、
とにかく痛くってびっくりした!」
と、おばちゃんは言いました。
ちなみに子どもを産んだ時
いちばん最初に思ったことは
「お母さん、産んでくれてありがとう」
だったのだそうです。
「お母さん、ごめんねえ。
うち産む時、痛かったじゃろ~」
そう言って、
おばあちゃんになった
お母さんの背中を
さすったそうです。
「そしたらお母さんに、
『はあ?』みたいな目で見られた(笑)」
とも、言っておられました。
ちなみに今の
理想の家族構成は、
「ねことわたし」の
ふたり暮らしなのだそうです。
今日のパン「フルーツドッグ」
甘い生クリームと季節ごとに変わるフレッシュなフルーツをドッグパンへふんだんにトッピングした「甘党バンザイ!」的な食べ物。当然、血糖値が高めの人は遠慮したほうがよいはずなんだけど、誘惑力が高めのスペックを兼ねそなえた悪魔の食べ物だと、私は思っている。(担当編集のぼやき)
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甲斐寛子[フォトライター]
愛媛県出身。大学進学を機に広島へ。卒業後いったんは地元で就職するも、あまりに広島が好きすぎて再移住。好きな食べ物は焼き立てのパン。現在はパン屋さんで働きつつ、地域情報や企業インタビューを書くフォトライターとして活動中。
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