コラム
公開:2026/11/06

【今日もえんぴつを片手に。】<第8回>校閲者ってどんな道具を使っているの?

タグ:
  • 校閲
  • 校閲者

校閲者ってどんな道具を使っているの?

校閲者が普段どんな道具を使って作業をしているか、想像できますか?

今回は趣向を変えて、実際に使っている道具を写真付きで紹介していきたいと思います。
といっても、校閲を始めてまだ1年半の私は、初期装備のような文房具しか使っていません。
これではなんの参考にもならないので……。

今回は10年目上司に協力いただき、上司の使っている道具を紹介していこうと思います!

校閲者はこんな道具を使っているんだ!と、きっと新鮮に感じていただけるのではないでしょうか。

▲2年目校閲者の初期装備

ツルツルの紙には鉛筆もペンも使えない!?

▲三菱鉛筆の「ダーマトグラフ」

こちらの三菱鉛筆の「ダーマトグラフ」は、ガラス・プラスチック・金属にも色を乗せることができる色鉛筆、と紹介されています。
一見、ただの太い色鉛筆ですが、実は校閲の現場でもとても役立つ代物です。

校閲をするとき、「この内容は調べて事実だとわかりました」という目印として、色鉛筆やマーカーで線を引くことがあります。

しかし、雑誌によく使われるツルツルした紙や、写真が多く使われている誌面には、鉛筆や色鉛筆の色は乗りません。ものには寄りますが、サインペンですら書き込めないような紙もあるのです。

そんな時に役立つのが、この道具。
これらの紙にも、ダーマトグラフなら書き込みやすいのです。

誌面の色が濃すぎて、記入ができないんです……と上司に相談した際、この道具を知って「なんて画期的なんだ!!」と驚いた記憶があります。

使うだけで校閲者!?

▲E-Tay株式会社インダストリアル「読書用カラーガイドライン付き2倍バー拡大鏡」

続いては、 E-Tay株式会社インダストリアル「読書用カラーガイドライン付き2倍バー拡大鏡」。
読書の際に行を追ったり、読みにくい文字を拡大したりする道具です。

この道具、仕事中に上司が使っているのを見るたびに、未だに「校閲者だ……」と感動しています。
校閲の現場でも基本的には変わらず、読んでいる行に中央のラインを合わせて文字を追っていきます。

校閲をしている途中で、ふと他の作業に移ると、どこまで読んでいたのかわからなくなり、読み返す時間が発生することがあります。
しかし、この道具を読んでいた行の上に置いておくだけで、そういう手間も省けます(ちなみに私はただの物差しで代用しています)。

また、名前の通り拡大鏡になっている点も便利です。

校閲で見る誌面には、どうしても文字が小さいものがあります。
目を凝らせば読める文字でも、画数の多い漢字や、形の似た違う漢字の違いに気付けない可能性があります。

こういう見逃しを防ぐためにも大活躍の道具なのです。

今も使う人いるんだ、と思いきや……

▲コクヨ株式会社「穴あき指サック」

最後はこちら、コクヨ株式会社「穴あき指サック」です。
指サックにはさまざまな種類や用途がありますが、その一つが、紙をめくりやすくするため。

校閲の現場でも、この用途で用います。

毎日何枚もの原稿を読み、めくり、書き込み、数えていると、私の場合、とにかく手が乾燥してきます。
特に冬場は紙に手の水分が奪われてしまい、信じられないくらい手がカッサカサになります。
去年の冬はハンドクリームが手放せなくなり、それでも紙がうまくめくれず苦しみました。

校閲の作業の一環で、ページ番号が最初から最後まで正しく通っているかを確認します。
この時に紙がうまくめくれず重なったままにしてしまうと、「このページが抜けている!」という誤った指摘につながってしまう可能性もあります。

単純に、めくる作業が素早くできると時短にもなります。

人によって違う便利とこだわり

校閲者というと「鉛筆」のイメージがあるのではないでしょうか。
実際このコラムの名前も、「今日もえんぴつを片手に」です。

校閲を始めた当初、正直、「シャープペンシルの方が書きやすくないか……?」と思っていたのですが、今では私も鉛筆を使って作業をします。その理由は、シャープペンシルは手が疲れるから。

100枚以上も重ねた紙にシャープペンシルで文字を書いていると、その芯の硬さが手に響いてきて、すぐに手が疲れてしまうことに気付きました。
一方鉛筆だと芯が軟らかいので、手の負担は軽減されます。
校閲を始めるまでは、シャープペンシルの芯が硬く鉛筆の芯が軟らかいことになんて気づきもしませんでした。

このように、校閲者が道具にこだわるのは、作業の効率など、合理的な理由を突き詰めているからなのかなと思います。

そして、そうしたこだわりを本などで発信する人がいて、それを参考にする人がいる。

そんな繰り返しの中で、校閲者ならではの道具の使い方が受け継がれてきたのかもしれません。
といっても私の場合はまだまだ初期装備なので、これから少しずつ自分のこだわりを見つけていきたいと思っています。

ちなみに、上司に「どういうこだわりがありますか?」と聞くと、「ないです」と返ってきました。人によるのかもしれません。

 

<バックナンバー>

【今日もえんぴつを片手に。】<第7回>校閲者と編集者 編集の先輩を信じること

【今日もえんぴつを片手に。】<第6回>2年目校閲者は、流行り言葉をどう扱うのか?

【今日もえんぴつを片手に。】<第5回>校閲者と編集者 伝えるべきことは何なのか?

【今日もえんぴつを片手に。】<第4回>校閲者と編集者 視点の違いに戸惑う

【今日もえんぴつを片手に。】<第3回>2年目校閲者が「気になる」こと

【今日もえんぴつを片手に。】<第2回>2年目校閲者の10年目上司――「違和感」の先にあるものは?

【今日もえんぴつを片手に。】<第1回>校閲の世界は、思った以上に複雑で、答えのないものでした。

 

 

トップに戻る