エンタメ 2020/07/10

【広島7・17先行公開】戦後75年目のいま、映画『おかあさんの被爆ピアノ』が「戦争を知らない世代」に伝えたいこと

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1945年8月6日8時15分、広島に投下された原爆から、奇跡的に焼け残った被爆ピアノと、被爆2世であるピアノの調律師・矢川光則(やがわ・みつのり)さんをモデルにした本作。

『美しすぎる議員』『レミングスの夏』を手掛けてきた五藤利弘監督が、2009年、ドキュメンタリー番組「NONFIX」(フジテレビ系)の放送をきっかけに、矢川さんと出会い、「平和について考えるきっかけになるような映画を作りたい」と、構想10年でこの映画を完成させました。

被爆ピアノにまつわる実際の話から、着想を得た本作を、佐野史郎とAKB48の武藤十夢のW主演で制作。佐野史郎は同じ中国地方の島根県出身でもあり、被爆地広島の方々の息遣い、想いを感じながら広島弁で演じているのも見どころ。

戦後75年目を迎えた2020年、被爆ピアノの音色が、「戦争を知らない世代」に、戦争の悲惨さ、平和の尊さを伝えています。

 

被爆ピアノが聴く人に与えるもの

広島に投下された原爆の爆心地から2キロほどの至近距離で被爆したピアノ、それが「被爆ピアノ」。本作は、被爆ピアノを修理・調律し、全国1500カ所以上でコンサートを行った矢川光則さんをモデルに制作されました。

被爆ピアノの音色を届け、平和の大切さを伝える矢川さんの活動は、国内だけにとどまらず、ニューヨークで演奏するなど、国境を越え世界中に広がり、2017年には、ノーベル平和賞受賞者を讃える「ノーベル平和賞コンサート」にて披露しました。

75年もの時代を超え、被爆しても変わらなかったピアノの音色は、聴く人に、戦後の広島に思いを馳せ、平和について考えるきっかけを与えたのです。

 

平和を享受してきた世代 知る戦争の恐ろしさと平和の尊さ

将来に漫然としている東京の大学に通う菜々子(武藤十夢)は、母・久美子(森口瑤子)が祖母・千恵子(小池澄子)のピアノを矢川に寄贈したことをきっかけに、自分のルーツを知りたくなります。今まで母によって遠ざけられ、知らされてこなかった広島のことを知るために、広島で行われる被爆ピアノの演奏を聴きに行きます。

監督は、本作について「戦争を知らない僕らは平和を当たり前のように享受してきました」と述懐しているように、物語は、菜々子のルーツを辿りながら、人間の体を蝕む原爆の恐ろしさ、今となっては「あたりまえ」にある平和の尊さに焦点が当てられています。

菜々子の目線から見える平和な世界を映しながら、被爆2世である久美子の言葉を通し、戦争の悲惨さや平和の尊さ、そして、それを後世に伝えていくことの大切さが本作には込められています。菜々子と同じように、「戦争を知らない」世代の人たちに、観ていただきたい映画です。

 

映画『おかあさんの被爆ピアノ』は、7月17日より八丁座で先行上映。

全国で8月8日より K’s cinema ほか全国順次公開。

 

【STORY】

東京で幼児教育を学ぶ大学に通っている菜々子は、将来幼稚園教師を目指しているものの、将来について漫然としている。

そんな折、被爆ピアノコンサートで演奏されるピアノの一台を、母・久美子が寄贈していることを知り、コンサートを見に行く。そこで、矢川と出会い、日本各地で行われている「被爆ピアノ平和コンサート」の活動を聞き、被爆2世の母から知らされてこなかった広島のことや、広島で音楽講師をしていた祖母・千恵子のことを知りたくなり、広島で開催するコンサートに同行する。

広島の実家はそのままにされており、家にある写真、古い楽譜などから祖母のことを辿っていく。そうすると、菜々子が5歳の頃、千恵子に可愛がってもらった記憶が蘇る。でもなぜかそれ以降の祖母の想い出が思い出せない……。菜々子は矢川とともに、被爆ピアノの活動を同行することを通して、自分のルーツを辿り、次第に何かを見つけていく。そして、8月6日に平和記念公園の片隅にある被爆アオギリの前でコンサートをやると聞き、自分もピアノを演奏すると決意するが……。

 

<八丁座 上映スケジュール>

https://johakyu.co.jp/schedule/month.html

<『おかあさんの被爆ピアノ』 公式HP>

http://hibakupiano.com/

 

<監督・脚本>
五藤利弘

<出演>
佐野史郎 武藤十夢(AKB48) 宮川一郎太 森口瑤子 南壽朝子

【配給】
新日本映画社

 

文/芝紗也加

 

■関連本の紹介■

「世の中への扉 海をわたる被爆ピアノ Kindle版」(著者:矢川光則/講談社)

2010年9月11日、被爆ピアノ、ニューヨークへ! 被爆ピアノの音は、平和を願う声。ピアノと調律師との、奇跡的な出会い。

矢川光則さんは、被爆2世として生まれながらも、原爆や平和についてまったく意識せずに育ちました。しかし、ピアノ調律師となり、ピアノの調律・修理・寄贈という活動をしていくなかで、偶然、「被爆ピアノ」に出会います。「被爆ピアノ」との出会いによって、彼がどのように平和への意識に目覚めていったのか、その足どりをたどります。

 

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