PERO、嘘とカメレオンetc……ハルバン’19レポート(2/2)
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3月24日(日)
2日目は、「マカロニえんぴつ」からサーキット参戦。開演20分前には、ライブバンキッシュを埋め尽くす客であふれていた。
1日目にも感じたことだが、広島にこれだけの若者と、バンド好きがいたんだなとしみじみと痛感した。バンドTを着ている若者が初々しく見えたりするのは、歳のせいなのか、広島になじみがないせいなのか……。
マカロニえんぴつが安定のパフォーマンスを繰り広げる中、僕は乗車率120%の都内の終電を降りるときの要領で会場を脱し、次の会場へと足を運んだ。

PEROのムカイダー・メイ(Vo&Gt.)

PEROのあららぎ(Gt.)

PEROのハナ(Ba.)

PEROのファイター(Dr.)
FLAG!では何度かお世話になっている広島発のガールズポップスバンド「PERO」を観るためスマトラタイガーへ。いま、広島のインディーズシーンで最も勢いのあるバンドのひとつ。今年、突然の改名発表があった。旧名は「ペロペロしてやりたいわズ。」。抜群のリズム感で刻まれるカッティングギター、楽曲のグルーヴを支える軽快なベース、それに絡みつくようなヴォーカルが生み出す独特の世界観。いわゆるガールズバンドという既存の枠組みを超えた、新しい時代のロックミュージックを体現している。全国各地のフェスやイベントにも数々出演し、ファンを増やし続けている彼女たちを証明するかのように、会場は満員御礼となった。
BAN×KARAへ。こちらも広島県産バンド「南風とクジラ」は、昭和歌謡をほうふつとさせるメロディとキャッチ-がクセになる楽曲が多い。歌詞をしっかりと読みたくなるぐらい言葉のチョイスがおもしろく、聴き終えたときは短編小説でも読んだかのような気持ちになるから不思議だ。昭和レトロのブルース感を残しながら、ファンクやロカビリーなどなんでもまぜちゃうというロックが、またいい。
テンションあげあげの状態でバックビートへ。ここのお目当ては「FERN PLANET」と「嘘とカメレオン」。

FERN PLANETのSERINA(Vo.&Gt.)

FERN PLANETの山口メイ子(Ba.&Cho.)
FERN PLANETは、奈良発のガールズバンド……と、バンドと言っていいのかわからないが、なかなかの苦労人たちである。メンバーはSERINA(g&vo)、山口メイ子(b,cho)。2017年1月に解散した「Rick Rack」のSERINAとMEIによって、同年2月に結成&5月にミズ グチハルキが正式加入したかと思えば、2018年7月にミズ グチハルキが脱退したのだ。このハルバンではサポートドラムを連れて、3月の新譜「ソルジャーガールズ」を引っ提げてパフォーマンスを盛り上げた。彼女たちの苦悩や不安の言葉がシンプルかつストレートに放たれ、悲しさと力強さが聴く者に心地よさを与える不思議なバンド。ギターとベースのメロディーは大胆で、大音量でかき鳴らす音とSERINAの声がマッチし、会場全体に音の波の余波が響きわたる感じがクセになる。

嘘とカメレオンのチャム(Vo.)

嘘とカメレオンの渡辺壮亮(Gt.&Cho.)

嘘と亀レオカメレオンの渋江アサヒ(Ba.)
昨年のハルバン当日。不慮の事故で参加できなかった「嘘とカメレオン」が、ようやく広島のステージに立つ。2012年に結成して以来、東京の下北沢を中心に爆発的なライブを武器に、その知名度をあげていったバンド。YouTubeで公開した初めてのMV「されど奇術師は賽を振る」は、現在480万回再生されている注目のバンドだ。
ボーカルのチャムは広島出身で、このハルバンはある意味凱旋となる。ギターの渡辺壮亮は「やっと来れたぞ!」と客にシャウト。チャムが涙を流しながら歌う姿が印象的だった。
2日間にわたる音楽サーキット。若者ばかりではなく30~40代のお客さんもいて、本当に音楽好きが集うイベントなんだということを感じた。ライブハウスを行き来しているとき、おばちゃんが「若い人がたくさんいるけど、町が元気に見えていいわよね」と、うれしそうに話しかけてきた。地方による町の衰退化が進むなかで、こうした若者向けのイベントを続けていくことは、とても重要なことなのかもしれない。ハルバンはまだまだ2回目だが、今後も続けていけるような環境作りに期待したい。
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堀友良平[株式会社ザメディアジョンプレス 企画出版編集・FLAG!web編集長]
東京都出身。学研⇒ザメディアジョンプレス。企画出版、SNS、冊子などの編集担当。書籍「古民家カフェ&レストラン広島」などのグルメ観光系や、「川栄李奈、酒都・西条へ」などのエンタメ系なども制作。学研BOMB編集部時にグラビアの深さを知りカメラに夢中
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