グルメ 2019/12/05

広島のソウルミュージック界を牽引する「SOUL TRAIN GANG」

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新天地の地下、暗がりの店にいる。「SOUL TRAIN GANG」だ。音楽を聴くと心が騒ぐ。体のどこかが踊り出す。
どんな世代でも音楽を聴けばそうなるものだが、ソウルミュージックはやはり格別だ。

 ソウルミュージックが世の中に広がった1970年代、時代も人間も熱かった。
その時代に青春時代を送った人ならなおさらだろう。
店の匂いや町の景色、好きだった人、傷ついたあの言葉、仲の良かった仲間、気に入っていたブーツや少し伸ばした髪型まで記憶が蘇る。

音楽と記憶は直結する。

 かといって、ただ懐かしいだけではない。
目まぐるしく変わる今どきのエンターテインメイントは一線を画し、クオリティの高い音楽、本当にかっこいい音楽は永遠だという思いすらする。
——

ドアを開けると、70年代のソウルミュージックが鳴り響く。店主は平本博秋さん。70年代、六本木で一世を風靡(び)したディスコ「メビウス」の初期スタッフとしてアルバイトをし、大学卒業後、一般企業に就職。その後、メビウス、ラジャコート、キング&クイーンなどのナイトレジャー店舗を展開する日本レヂャー開発(現:NOVA21)の幹部を勤め、広島に帰ってきた。

現在は同店のほかに中区流川に「OUR GANG」の2店舗を持つ。一緒に店を営む奥様の美江子さんも、当時六本木でニューヨークのハーレムをイメージしたディスコ「アフロレイキ」で働いていた、いわば同志のような夫婦だ。


「SOUL TRAIN GANG」はDJブースとステージのほか、カウンター、ボックス、ロフトのほかにミラーボールの輝くダンスフロアがある。音楽に身を委ねて体を揺らす客、話し込んで笑う客、オーナーと音楽談義をする客。R&Bを肴に思い思いに過ごしている。

平本さんにお話を伺った。

——ソウルミュージックの全盛期、当時の六本木「メビウス」で働かれてたということで。当時の様子はいかがでしたか
私は昭和45年(1970年)、広島から東京の大学に行ったんですが、大学1年の頃からR&Bが大好きで、六本木に新しくできるという「メビウス」でアルバイトの面接に行ったんです。「学生はダメ」と言われたんですが、ちょっと嘘をついてね(笑)。雇ってもらいました。いい時代でしたね。当時の「メビウス」は宇宙的な空間というのかな。ファッション関係、芸能関係、外国人など踊る客がギチギチに埋まっていて、フロアからトイレになかなかたどり着けないくらい。そのくらい熱気を帯びた店でした。赤坂、渋谷、次々とディスコができていった時代です。R&Bはロックやジャズとは違うあの独特のリズム、心や体が揺さぶられるような、血が騒ぐような、少し切なくなるような。そんな気持ちになるのは今も変わりませんね。いまのクラブとは雰囲気が全然違うんじゃないですかね。

——R&Bやソウルミュージックから得たなと思うことは何でしょうか?

やはり仲間でしょうか。70年代の音楽に詳しくライナーノーツを書いていた紺野彗さん、吉岡正晴さん。後の日本の音楽シーンに影響を及ぼした人、この店にもたくさんミュージシャンが来てくれています。音楽を好きな気持ちを共有できた人はたくさんいます。

——ー番影響を受けたミュージシャンは?

ジェームス・ブラウン、アース・ウインド・ファイヤなど。一番好きなのはマーヴィン・ゲイですね。なかでも「What’s Going on」(1971年)という曲が一番好きです。(そう言って流してくれる)ソウルミュージックの多くはラブソングですが、この曲は反戦歌なんです。ゲイの弟がベトナム戦争に行ったのですが、その様子を曲にしたことで当時は物議を醸しましたが、ゲイは発売に踏み切った。苦しいこと、リアルな社会問題にも触れた上にドラマティックでメロウな曲なんです。ね、いい曲でしょう?

——広島に戻って40年、時代の移り変わりは平本さんの目にどう映っていますか?

私たちの時代は携帯電話もインターネットもなかったから、人とコミュニケーションを取るために人と会い、よく話していました。その中から感性のようなものが生まれてきたと思います。今はスマホやゲーム、便利で楽しいものが増えたかもしれません。ただ、便利なものに囲まれて、人との関わりが昔に比べると希薄になってしまったのかな。もっと外に出て、人と話すってことも大切なのではないかと思います。人の顔を見ないと会話はできません。音楽もそう。自由に配信されてたくさんの曲を聴くことができるのはいいことだけど、好きな音楽を聴くために足を運ぶこと、お金を使うこと、これも大事だと思っています。

「このお店に来てくださる方はソウルミュージックが好きな人、お酒が好きな人、いろいろですが、たくさん人と関わって、音楽を聴いたり、時には踊ったりしてリフレッシュして欲しいです。いろんなことを忘れていい時間もあるんです。」と、語る平本さん。

後に世界中の音楽に影響を及ぼした、古き良きソウルミュージック。移ろいゆく時代の中で、変わらず愛される音楽を感じに足を運んでみてほしい。もちろんそのそばにお酒や話せる友人がいるとなおいい。そこには新しい出会いがあるかもしれないから。

店名 SOUL TRAIN GANG
電話 082-246-4123
住所 広島県広島市中区新天地1-9 新天地レジャービルB1F
営業 月~木、祝日、祝前日: 18:30~翌3:00 (料理L.O. 翌2:30 ドリンクL.O. 翌2:30)
金、土: 18:30~翌4:00 (料理L.O. 翌3:30 ドリンクL.O. 翌3:30)
休み 日曜日

 

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