グルメ 2019/08/27

移ろう景色と日本茶を楽しめる築170年の古民家カフェ【世羅】

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8月26日。夏の終わりを告げるかのような涼しい午前に、広島を車で出発。個人的には、今夏最後のかき氷を求めて世羅町に向かいました。そこは、想像を超える風景が広がり、吹き抜ける風の音と、控えめな蝉の鳴き音のみが聞こえる心地よい空間でした。

▼記事は下記▼

奥行きのあるお座敷広い空間と絶景

参道は木々のトンネルとなっており、春夏は新緑に、秋は紅葉、冬は雪景色に包まれる

世羅町にある今高野山は、弘法大師が開いたといわれる。世羅町甲山を中心とする世羅郡の東半一帯は、鎌倉時代以来、紀州高野山領大田荘として栄え、藤原時代初期の秀作、木造11面観音立像(国重文)をはじめ、鎌倉時代の作で墨塗りに金泥や朱で彩色された丹生神社の獅子頭(国重文)など貴重な文化財が数多く残されている。

夏は新緑の色彩が美しく、秋は紅葉が見事に彩る。実は、まだあまり知られていない知る人ぞ知る場所で、最近ではSNSを通じて知った観光客が、カメラ片手に県内外から訪れるようになった。

築170年の宿坊を改修して再生

そんな今高野山にある「福智院」。かつては宿坊として活用されていた建造物を改修し、2018年の春、カフェ「雪月風花 福智院(せつげつふうか ふくちいん)」としてよみがった。

「雪月風花」という言葉の意味は「四季折々の自然の美しい景色のこと。 また、それを見ながら、詩や歌を作ったりする風流なさまのこと」を指す

店まで続く中庭を歩き、のれんをくぐれば暖かい照明に包まれる玄関にたどり着く。どこか懐かしい気分になりながら、店内をのぞくと、およそ30畳あるであろうお座敷が広がる。数百年前には、ここで修行僧が寝泊まりしていたのかと思うと、感慨深い。

お座敷席には外の光がやさしく差し込む

縁側の席

奥行きがあり、天井は高く吹き抜けている。歴史を感じさせる梁(はり)と柱は、立派だ。店内はテーブル席と、畳のお座敷席。そのお座敷には庭を対面に縁側が伸びている。特筆すべきは、その店内から眺める中庭。四季折々の自然の美しい景色を眺めることができるという。春は花、夏は新緑、秋は紅葉、冬は雪と景色を変えていくその様は、まさに「雪月風花」。

撮影ポイント

また、丁寧に撮影ポイントなる場所があり、そこから映し出される景色は、見事なもの。この記事でも写真は掲載しておくが、やはり実際に目で見てほしい! そんな思いになるぐらい、美しい「絵」だ。いくらSNSの写真が素晴らしくても、実物にかなうものなし! 写真では感じ取ることが難しい音、空気、肌触りにふれてこそ、その空間がより思い出となる。

地産地消と世羅のお茶

「お茶氷り」(シングル730円、ダブル880円、トリプル1030円 ※すべて税込)。ベースとなるお茶シロップは濃厚煎茶、濃厚ほうじ茶、濃厚和紅茶の3種から選ぶ。写真は3種+氷蜜と練乳

そんな極上の雰囲気でいただくのは、今回の目的でもある「かき氷」。福智院の氷りは身体に馴染む、「やさしい氷り」を目指しているという。精進を基本に、ゼラチンの代わりに寒天でとろみを出し、世羅で無農薬・無肥料で育てられた Tea Factory Genさんのお茶を使っている。

お茶の香りやコクを味わうことができ、後味をひかないあっさりとした口どけは、まさに夏にぴったりの一品でした。氷は9月いっぱいの予定ということで、電話して訪ねることをお勧めします。

写真は「ひろしま在来 煎茶(一番茶)」(600円税込)。温かいのと冷たいものが選べる

また、カフェといえばコーヒーのイメージが強いが、ここでおすすめしたいのは日本茶。先述した Tea Factory Genさんは、世羅茶再生を目指して、2016年から世羅で茶葉の栽培を始めました。かつて、世羅は茶葉の栽培が盛んだったこともあり、世羅町と茶は深いかかわりがある。そんな世羅だからこそいただける樹齢60年の古木から摘んだ世羅の在来茶を、煎茶・ほうじ茶・和紅茶・浜茶というさまざまな状態で味わうことができる。お茶の楽しさは、淹れる人の思いと、素材の歴史を味わえること。ぜひともお勧めしたい!

「お茶パフェ」(680円税込)

通常メニューのパフェ「お茶パフェ」には、あんこは世羅の和菓子店「大手門」、ジェラートは「ジェラート工房ドナ」など、世羅の食材をふんだんに味わえます。ほかに、「白玉ぜんざい」や「二色団子」、季節限定の一品を提供。季節を大切にし、旬のものを使うからこそ、一品一品が丁寧な味わいです。メニューはインスタグラムで日々更新しているようなので、要チェック。

カフェとしての役割

吉宗五十鈴さん

福智院をよみがえらせた吉宗誠也さんは、自身が営む花観光農園の観光客が周遊できる拠点を作れば、街中にもにぎわいを呼びこめると活動の一環として、何度も足を運んで持ち主の住職を説得し、2016年に念願の使用許可を得たのです。そして、現在、店を切り盛りする吉宗五十鈴さんの提案で、近くのお店と共存すべく、世羅で栽培されたお茶を中心に、世羅の食材を生かした甘味を扱う和カフェとしてオープン。店内では地元名産品や、農家が作った品を販売するほか、歴史や自然の勉強会やお茶を楽しむ会、味噌づくりツアーなど、地域と観光の拠点としての活動を広げている。

カフェといえば聞こえは現代っぽいが、私が感じたこの店は、まさに喫茶。地域の人や地域外の人が集まり、自然とコミュニケーションがとれるサロンだと思う。五十鈴さんの話を聞きながら飲むお茶は、思い出と一緒に染みていきますよ!

店名 雪月風花 福智院(せつげつふうか ふくちいん)
住所 広島県世羅郡世羅町甲山158-1(Googleマップはこちら)
営業 10:00~17:00(L.O.16:30)
電話 090-7286-9418
定休日 火・水曜
駐車場 今高野山観光客駐車場 ※満車の折は「今高野山”展望台”駐車場」(徒歩5分・ただし道が狭い)または世羅町役場(徒歩10分)をご利用ください
HP https://www.facebook.com/fukuchiin.imakouya

movie&photo:堀友良平

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堀友良平

堀友良平[株式会社ザメディアジョンプレス 企画出版編集・FLAG!web編集長]

東京都出身。学研⇒ザメディアジョンプレス。企画出版、SNS、冊子などの編集担当。書籍「古民家カフェ&レストラン広島」などのグルメ観光系や、「川栄李奈、酒都・西条へ」などのエンタメ系なども制作。学研BOMB編集部時にグラビアの深さを知りカメラに夢中

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