コラム 2021/07/13

100万アクセスの前衛弁当作家・nancy【思い出の絵本を弁当にしてみた】/#09『ねないこだれだ』

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前衛弁当作家のnancyです。
本棚にある絵本を一冊ずつ手に取りながら、
表紙の絵で弁当を作り、
過ぎてしまえば笑える子育ての思い出を綴っていきます。

『ねないこだれだ』

「ねないこ だれだ」

それはズバリ息子だ。

前回の話の流れで、
「ねないこがねた」という話をしたいと思う。

私は今も昔もフリーランスのデザイナー。
子育て中も仕事をしていたが、
小さな子どもがいることで、
なかなか売り込みもできず、
仕事もはかどらず、
開店休業状態だった頃の話。

このままでは、いよいよヤバいな(経済的に)というタイミングで、
知人がアルバイトを紹介してくれた。
それが、ホテルのラウンジで歌うという、ちょっとハードル高めの仕事だ。

私はダメもとでオーディションを受けた。
1日20曲以上も歌わなければならないのに、私のレパートリーは20曲。
しかも、オーディションにはおしめをした息子を連れて行った。

……にもかかわらず!
奇跡的に受かってしまい、仕事が始まった。

しかし、問題は息子のことだ。

当時、彼は2歳。
まだまだ手がかかる。
新しい仕事は、夜8時から1時間ごとに4回ステージをこなして帰るから、
仕事から帰った夫に、息子を預ければ時間的には問題はない。

ところが「ねないこは息子だ」の寝かしつけのスキルは、夫にはまだなかった。
不安ではあったけれど、ここは思い切って任せるしかない。

二人で話し合い、「やってみよう」ということになった。

いざ、仕事が始まると、息子は玄関で泣き叫んだ。
まず、それにひと苦労の夫。
しかし、その後は、最大の難関である寝かしつけが待っていたのだ。

夫は寝室を少し暗くし、
息子をひょいと抱っこして、
私がいつもしているように、
リズムをとってゆっくり体を揺らす。

そして、歌詞もメロディーもうろ覚えの子守唄を歌うことにしたらしい。

しかし、予想通り息子は寝ない。
もぞもぞしている。

これは長期戦だなと覚悟して夫は歌い続けた。
もう何度繰り返したかわからないくらい、自分でも気が遠くなるくらい歌ったそうだ。

そして、とうとう息子のもぞもぞは止まった。

夫は、心の中でガッツポーズをして、
もたれかかっていた息子の様子を確認し、ホッとして歌をやめた。

その途端、ため息のまじりに「おわった……」と、聞こえたそうだ。

その後、静かになった部屋で、
息子はスヤスヤ眠った。

その後、

夫の子守唄をそれ以来誰も聞いていない。

膝から崩れ落ちるほどのショックだったと、夫は静かに語った。

 

<弁当解説>

 

① まな板の上にキッチンペーパーをしき、カレールーを小さく刻む。
② フライパンに1を入れ、かき混ぜながら弱火で加熱する。
③ 深い茶色になるまで炒って、黒いカレールーを作る。
④ 油をひいたフライパンで玉ねぎのみじん切りを炒める。
⑤ 玉ねぎがきつね色になったら、ニンニク、生姜、挽肉、野菜のみじん切りを加えて炒める。
⑥ 挽肉と野菜に火が通ったら、裏ごしたトマトを加えて煮る。
⑦ ⑥に③を入れて水気がなくなるまでかき混ぜながら加熱。黒いキーマカレーを作る。
⑧ 弁当箱1/3にご飯を詰めて、その上に⑦をのせる。
⑨ ととしーとを切り抜いて、文字、お化けの手と目の部分を作る。
⑩ パプリカを切り抜いて口を作る。
⑪ 炊きたてのご飯をラップで包んでお化けの胴体を作る。
⑫ お化けと文字を⑨にのせて出来上がり。

■弁当で再現した絵本■

『ねないこだれだ』 (作・絵:せなけいこ/出版社: 福音館書店)


夜の9時です。「とけいがなりますボンボンボン」こんな時間におきているのはだれだ? ふくろう、くろねこ、どろぼう……。いえいえ、夜中はおばけの時間。あれ? まだ寝ていない子がいますよ。おばけになってとんでいけ!  おばけがなかなか寝ない子をおばけの世界に連れていってしまいます。シンプルなはり絵と独特のストーリーで、子どもたちをひきつけてやまない赤ちゃん絵本です。(福音館書店HPより紹介文引用)

 

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nancy

nancy[100万アクセスの前衛弁当作家]

広島県東広島市在住。「弁当×芸術=前衛弁当」を提唱するアートなキャラ弁の第一人者。子育ての中で一人息子に読み聞かせた本は数知れず。自称「プロの親バカ」。

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