【編集推し】年末年始に改めて読みたい! 不均衡で不確実な世の中を乗り越えるために ウルグアイ元大統領のホセ・ムヒカの言葉
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めまぐるしく変わる現代。
さらに、2020年は誰しもが予想しえなかったパンデミックも。
先の見えない世の中で、わたしたちって一体何を信じればいいのだろう。
そんな世に金言をくれるのが、第40代大統領ウルグアイ元大統領のホセ・ムヒカだと、わたしは思う。
今もなお猛威を振るうウィルスのため、今までとは違う年末年始を過ごす方も多いと思います。
そんなときだからこそ、ムヒカの言葉に耳を傾けたい。
ムヒカの言葉が持つエネルギー
2020年10月22日。日本の裏側に位置する国、ウルグアイの第40代大統領ホセ・ムヒカが政界引退を表明した。彼は、2012年にリオで開催された国連会議で「われわれは発展するために地球上にやってきたのではない、幸せになるためだ」というスピーチをし、人間が目指すべき根源的な豊かさとは何かについて世界中に問いかけ、一躍有名人になった。
彼の哲学がたっぷりつまったスピーチは、日本では『世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ』という絵本として出版され、50万部ものベストセラーを記録することになる。
『世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ』(発刊:汐文社)公式
そんなムヒカを取材したことをきっかけに、息子に「歩世」と名付けるほど魅了されたテレビディレクター、田部井一真が監督を務めたドキュメンタリー映画『ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ』が、日本全国の劇場を行脚している。当初、上映は4月だったが、新型コロナウィルス感染拡大の影響により延期し、10月より上映がスタートした。
なぜ、彼の言葉には力があるのだろうか。
ムヒカは、公邸ではなく首都モンデビデオから離れた郊外に、妻・ルシアと二人で住み、作物や花を育て、給与の大半は寄付するという清貧な暮らしするのだ。
その慎ましい生活について聞けば、「大統領というのは多数派が選ぶのだから、多数の人と同じ生活をしなければいけなんだ」と。この言葉から、彼が慕われる理由がありありとわかると同時に、彼は「特別」ではないことを表している。まるで、面倒見の良いおじいちゃんから説教されるような、言葉が持つ力とやさしさを感じざるを得ない。
また、親日家でもあるムヒカは、田部井一真監督が日本に招いた際、広島への訪問を切望した。彼には、「日本に来て広島を尋ねなかったら日本の歴史に対する侮辱だ」という思いがあったようだ。
そのときの映像が同作でも流れるのだが、ムヒカは資料館を訪れ、「未来に向けて記憶しよう。人間は同じ石につまずく唯一の動物だと歴史が示しているのだから」という言葉を残した。
日本の大学生に講義する場面では、「人生で一番大切なことは歩むことだ。転んでも再び立ち上がることだ。打ち負かされるたびにまた一から始める勇気を持つことだ」と伝えた。
ムヒカの言葉は、常に過去を受け止め、未来を示してくれる。
ムヒカの普遍的な言葉は多くの人に響く
ムヒカには、青年時代、独裁政権に抵抗し、投獄された過去がある。それでも諦めなかった彼は、獄中生活から解放された後、武力が何も意味をなさないことに気づき、自分の言葉で世界を変えたいと政治家を目指した背景がある。
結果的に彼は、世界中が考えさせられる金言を投げかけている。もちろん国や年齢、生きる場所で気になる言葉は違ってくる。だからこそ、ムヒカの普遍的な言葉は多くの人に響くはずだ。
地球の裏側で起きている不均衡について、立ち止まって考えてみたりすることってあるだろうか。
なんでも手に入る豊かさとは、確かに反比例している幸福度、
どこかの誰かの皺寄せのような格差、そして世界中で猛威を振るう未曾有のパンデミック。
未来は見えない、幸福の輪郭も描けない。でも、ムヒカの経験から紡ぎ出される含蓄のある言葉が、すっと胸に入ってくるのなら、その言葉が目の前をきっと照らしてくれると信じている。先の見えない不安な日々を、みんなで乗り越えていきたいと感じる映画だった。
映画は残念ながら上映が終わってしまっている地域もあるが、絵本は書店やインターネット販売でも購入できる。
彼の「言葉」をまだ知らない人は、ぜひ一度、手に取ってみてほしい。
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芝紗也加[株式会社ザメディアジョン メディア関連事業部クリエイティブサポート]
高知県出身。冊子やリーフレット、パンフレット、広告などを企画。マリーナホップ発刊の情報誌『Aletra』、お好み焼アカデミーによる『お好み焼シンポジウム』プロジェクトなどを運営。映画、読書が趣味。最近は刺繍に目覚めたり、絵本講師になるため勉強中。
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