当然、薬局によって働き方が違う 新人薬剤師が最初にぶつかる大きな壁【書籍『薬剤師に求められる大切なこと』より#01】
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2023年2月18日、19日に行われる第108回薬剤師国家試験。
今年度も多くの人がさまざまな思いや希望を胸に、薬剤師を目指していることでしょう。
そして、合格後は薬剤師としての人生を歩み始めます。
しかし……。
書籍『薬剤師に求められる大切なこと(入門編)(応用編)』の著者であり、現役の薬剤師でもある宮本誠二さんは「新人薬剤師が薬局に入ってくると、必ず『何を学べばいいか?』『何から学べばいいか?』『どうやって勉強すればいいか?』という質問が寄せられます」と明かします。
実は、「薬剤師の仕事は現場で学ぶしかない」というのが常識でした。しかし薬局のレベルはまちまちで、レベルの低い薬局に配属されてしまうとなかなか成長の機会を得られないというのが現状のようです。
もしもあなたの勤務する薬局が、薬局長などの年長者が正しく導いてくれる職場であれば、悩むことなくスムーズに業務になじんでいけることでしょう。
しかしそうでない上司に当たってしまった場合、さまざまな問題を自分で解決していかなければなりません。
いくら大学で6年間勉強してきたといっても、実際の薬局でそれを活かすには多くの経験とさまざまな知識・コツが必要です。
では、どのように乗り越えていけば良いのか?
これまで個人経営の薬局、中規模薬局、大規模薬局と数々の薬局での勤務経験がある現役の薬剤師、宮本誠二さんが「薬剤師として働くためのマニュアル」を綴った書籍『薬剤師に求められる大切なこと』より、一部抜粋してお届けします。(全3回の1回目)
同じ薬局でも大手と小・中規模店舗は雰囲気が違う
薬局での実務実習はやったけど、ちゃんと患者さんにミスなく薬をお渡しすることができるのか、職場の同僚と仲良くできるのか、社会人として生活していけるのか……。
そんなみなさんにまず最初にお伝えしたいのは、働く薬局の規模や大きさ、経営母体によって職場の雰囲気は大きく異なるということです。
一口に薬局と言っても、世の中にはたくさんの種類があり、それぞれの働き方があります。
たとえば多くの店舗やドラッグストアを有する大企業に入って、その中で薬剤師として働くやり方。
一方では〝まちの薬屋さん〞といった感じの家族経営のお店もあれば、従業員20人程度の中規模の薬局も存在します。
もちろん規模の大小はあれ、薬剤師の仕事は変わりません。
みなさんは患者さんから処方箋を受け取り、そこに書いてある薬を調剤して提供します。
薬の使用方法や注意点などを説明し、質問があればそれに答え、患者さんが健康で安全な生活を送れるよう〝薬のプロ〞として対応しなければなりません。
しかし実際に働くとなると、大手のチェーン薬局と個人経営の薬局では求められるものが変わってきます。
どちらにも良いところがあり、悪いところがあります。
スムーズな薬剤師生活を送るためには、両者の違いをしっかりと認識し、自分がどちらに向いているのかが分かった上で就業先を選ぶことが重要です。
大手の企業に就職することのメリットは、なんといっても安定です。
多くの店舗を抱えているので、たとえ1つの店舗が閉鎖してしまっても他店舗に異動することができ、仕事がなくなるということはありません。
どんな状況でも働ける場所がある。ずっと薬剤師として仕事できる環境がある。
それは安心して社会人、薬剤師生活を送る上で、なによりも魅力的な条件でしょう。
さらに大手薬局は多くのチェーン店があることで、多様なメリットを享受できます。
• 店舗間の異動があるのでマンネリに陥らない。新しい環境で、新しい患者さんと接することで新鮮な気持ちをキープできる。
• スタッフの異動が頻繁にあるので、人間関係が煮詰まらない。もしも苦手な同僚や性格が合わない上司がいても、人事に相談することで別の店舗に異動させても
らえる可能性がある。
•仕事内容がマニュアル化されている場合が多いので、業務にあいまいさがない。
• 新店舗の立ち上げなど滅多に立ち会えない仕事を任され、自分のスキルや経験を増やしていける。
• 研修制度などしっかりしているところが多く、社内でステップアップしていける環境が整っている。
•福利厚生も充実している。スタッフが多いので休みを自由に取りやすい。
もちろん大手にもデメリットはあります。
これはすべての大手がそうであるわけではありませんが、どうしても利益優先になりがちなので人員配置も最小限で、患者さんに対して必要最低限の対応しかできないこと
もあります。
また各薬局ごとに営業ノルマが課せられ、それをクリアするのに必死な現場もあると聞きます。
小・中規模薬局のメリットとデメリットは、まさに大手の逆になります。
•家族的な雰囲気の中で、落ち着いて患者1人1人に対応できる。
•異動がないので転勤や出勤先の変更を迫られることがない。
•マニュアルなどに縛られない、柔軟な働き方が可能。
一方でデメリットとして考えられるのは――小さな空間に同じスタッフが常駐することでマンネリが起こり、人間関係が固定化する。
個性的な薬局長の下、独自のやり方が通用している場合がある。少人数で運営しているので休みを取りにくい。経営状態が悪くなれば解雇されるおそれも……。
もちろん大手だからといってすべてが同じではなく、小・中規模薬局も薬局によって個性はまちまちです。
ただ、いい就職をするには、こうした傾向を知っておいて損はありません。
薬剤師として働くにあたり、まずは「自分はどんなふうに働きたいのか」をしっかり考えて就職先を決めましょう。
【Amazonで好評発売中 書籍『薬剤師に求められる大切なこと 入門編』】
【著者プロフィール】
宮本誠二(みやもと・せいじ)
大阪薬科大学卒業。株式会社MSファーマシーを設立。代表取締役に就任。
<取得資格>
薬日本堂、漢方認定アドバイザー・漢方養生指導士
上海中医薬大学付属日本校入校、国際中医師取得
第1回薬剤師生涯学習達成度試験合格
JPALSレベル6
薬剤師研修センター認定薬剤師、JPALS認定薬剤師
認定実務実習指導薬剤師
大塚製薬、OHTHAS女性のための健康アドバイザー等
健康サポート薬局研修済み
専門分野別学識試験 腎臓病薬物療法 合格
専門分野別学識試験 緩和医療薬学 合格
『薬剤師に求められる大切なこと【入門編】』
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堀友良平[株式会社ザメディアジョンプレス 企画出版編集・FLAG!web編集長]
東京都出身。学研⇒ザメディアジョンプレス。企画出版、SNS、冊子などの編集担当。書籍「古民家カフェ&レストラン広島」などのグルメ観光系や、「川栄李奈、酒都・西条へ」などのエンタメ系なども制作。学研BOMB編集部時にグラビアの深さを知りカメラに夢中
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