コラム 2020/08/13

第二章 「逆襲のキャノン」(一新と革命)

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温泉ソムリエとして、いつも温泉の話題を提供してくれる「中野一行」。もちろん本業は広島を中心に活躍する一流のフォトグラファー。FLAG!のせいで?すっかり温泉ソムリエとしての認知度が高まってしまったが、本当は写真の方が何十倍も詳しいのです。そんなフォトグラファー中野一行が綴る、歴代カメラのマニアック考察の第二幕。

キャノンが見た革新のその先に

私が小学校高学年だった、ある日の午後のことです。
立ち読みしていた写真雑誌に、とんでもない発表が載っていました。

「キャノンがマウントを変更する!」

私はその場で気絶しそうになりました。

 

カメラメーカーが持っている「意外な資産」をご存じでしょうか。
それは「マウント」です。
簡単に言うと、「カメラとレンズの接合部分」です。

これは基本的に、同一メーカー同士のカメラとレンズの組み合わせで最も正確に動作します。
たとえば「キャノンのカメラ」に「ニコンのレンズ」は付きません。
通常は「キャノンのカメラ」には「キャノンのレンズ」が必要なのです(一部のレンズメーカーを除く)。

キャノンの場合は1985年の「α(アルファ)ショック」の時点で14年間続けてきたマウントがありました。
さらに1959年に発売した、キャノン初の一眼レフ専用レンズも「とりあえず付く」優れたマウントだったのです。

これを変更するということは、それまでキャノンレンズを何十本とそろえてきたユーザーへの背徳行為ともいうべき事態になるのは明白でした。
ですが、窮地に立たされたキャノンは「賭け」に出たのです。

「ミノルタに勝つためには、キャノンの英知を結集した新たなマウントにする。それが10年、20年後の成功に続くと信じて!」

そして1987年3月に「世界初の完全電子制御マウント」を搭載した最初のカメラ「EOS 650」を世に送り出したのです。

私が初めて、このEOSシステムを触ったときは、それはもう「超絶ビックリ!」しました。
当時の基準からいうと、信じられないくらいAFが速かったのです!!!

その頃、私は正直に言うとマウントを変えたキャノンが大嫌いでした。
「以前のレンズを持っているユーザーを無視している」「長期で使っている顧客を大切にしていない」など、小学生とは思えない大人びた考えを持っていました。

ですが、そんな子供を一瞬で「EOSファン」にしてしまうほどの、素晴らしすぎる完成度でした!

今、私が撮影で使っている「キャノン・EOSシステム」にも、33年前に採用されたマウントが使用されています。

キャノンが渡ったルビコン川の先には、「2019年まで17年連続レンズ交換式カメラの世界シェアNo.1」という、とんでもない場所があったのです。

次回『第三章「圧倒的相互性 Kマウント」 ペンタックス(連合勢力と孤軍奮闘)

 

フォトグラファー・中野一行

広島を中心に雑誌やメディアでの写真撮影を行い活躍中のフォトグラファー。もう一つの顔は、全国で数十人しか持たない「2つ星温泉ソムリエ」の資格を持つ。中国四国地方だけでなく、全国の名湯珍湯に足を運び、その身で確かめた「本当にいい温泉」を、入浴マナーや温泉の保全とともに広める活動をしている。

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温泉ソムリエ・中野一行 中国・四国かけ流し温泉ガイド&メモ

書名 温泉ソムリエ・中野一行 中国・四国かけ流し温泉ガイド&メモ
著者 中野一行
内容 フォトグラファー中野一行が魂を込めて撮り、温泉ソムリエとして情熱を注ぎ込んで書いた「中国・四国地方の温泉ガイドのバイブル的存在」である一冊。マニアックな内容で温泉ファンから絶大な人気を得るいっぽう、温泉を知らない人でも、ていねいな説明で分かりやすく、一度は掲載している温泉に訪れたくなる一冊。
発売 ザメディアジョン
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<バックナンバー>

第一章 「驚異のF」ニコン(伝統と継続)


中野一行

中野一行[フリーランスフォトグラファー/温泉ソムリエ]

宮城県出身、広島市在住。札幌の写真学校卒業後、東京のスタジオで修行。広島のスタジオで勤務後に2001年からフリーランス。主に雑誌・書籍・広告・Web等の様々な撮影を担当する。飲食店や商業施設の撮影は現在で数千件を超える。また日本で数十人しかいない「2つ星 温泉ソムリエ」でもあり温泉撮影のスペシャリスト。HPは(https://onsen-photographer.amebaownd.com)

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