第一章 「驚異のF」ニコン(伝統と継続)
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温泉ソムリエとして、いつも温泉の話題を提供してくれる「中野一行」。もちろん本業は広島を中心に活躍する一流のフォトグラファー。FLAG!のせいで?すっかり温泉ソムリエとしての認知度が高まってしまったが、本当は写真の方が何十倍も詳しいのです。そんなフォトグラファー中野一行が綴る、歴代カメラのマニアック考察
1985年の業界革命「α(アルファ)ショック」
みなさんは「写真業界に激震が走った年」をご存知ですか?
それは「1985年」です。
あまりにも大きな出来事だったので「その騒動」に名前がついています。
「αショック」
今考えると嘘みたいな話ですが一眼レフカメラに、ちゃんとしたAF(オートフォーカス)が付いたのは、1985年2月発売のミノルタ「α-7000」からでした。車で言うと、それまで「マニュアル」しか無かったのに「オートマが出た!」みたいな感じです。カメラの細かい事は抜きにして「フィルム」を入れる事以外は「ほぼ」現代のカメラと同じシステムです!
それが1985年に突然「まったく期待していなかったメーカー」から出たのです!
今回は、そのミノルタを追う筆頭「ニコン」の話です。
ニコンとは「イコール」日本の一眼レフカメラと言えるほどのメーカーです。それほど強いインパクトを持った会社なのです。特に昭和30年代から平成の初めにかけて新聞、雑誌等で見ていた写真の多くは「ニコン」で撮られたものだと思います。
そんな「最強のニコン」でも「αショック」では苦渋を味わっているのです。ニコンが長年守っていた一眼レフカメラの「シェア」をミノルタに奪われていったのです。これに「世界で一番あせった」のは間違いなくニコンそのものでした。キヤノンは、その対応策として「マウント」を新しくしてミノルタを追撃しました。
ニコンはキヤノンとは「真逆」の事をしてきます。
1959年発売の「ニコン F」以降守り続けている「Fマウント」を継続したままAF化していったのです。さすが「伝統のニコン」です。その後、間髪入れずAFカメラを次々に投入していきました。
中でも1988年発売のF-801は世界初の1/8000秒シャッターを内蔵した事で多くの注目を集めました。
そして同じ年に「名機 F4」が登場したのです。
この「F4」は前代未聞のカメラです。
当時の本流は「素晴らしいAFカメラ」を作る事が大命題でした。ですが「F4」は「MFカメラにAFの機能を付けた」と言われたカメラでした(MF・マニュアルフォーカス)。今までの「ニコンユーザー」が持っているMFレンズも快適に使えるようにして「新たなAFレンズ」も問題なく使える。まさに「いいとこ取り」です。
こうしてニコンは、その後も質実剛健の歩みを続けながら「確固たる地位」を取り戻したのでした。
ちなみに先日発表された最新のカメラ「D6」にも、この「Fマウント」が使われています。なんと1959年に発売されたレンズも2020年発表の「D6」に付ける事ができるのです!
過去と現在を結ぶ「Fマウント」によってニコンユーザーは写真を撮り続けるのです。
次回 『第二章「逆襲のキヤノン」(一新と革命)』
中野一行さん
広島を中心に雑誌やメディアでの写真撮影を行い活躍中のフォトグラファー。もう一つの顔は、全国で数十人しか持たない「2つ星温泉ソムリエ」の資格を持つ。中国四国地方だけでなく、全国の名湯珍湯に足を運び、その身で確かめた「本当にいい温泉」を、入浴マナーや温泉の保全とともに広める活動をしている。
温泉ソムリエ・中野一行 中国・四国かけ流し温泉ガイド&メモ
書名 | 温泉ソムリエ・中野一行 中国・四国かけ流し温泉ガイド&メモ |
著者 | 中野一行 |
内容 | フォトグラファー中野一行が魂を込めて撮り、温泉ソムリエとして情熱を注ぎ込んで書いた「中国・四国地方の温泉ガイドのバイブル的存在」である一冊。マニアックな内容で温泉ファンから絶大な人気を得るいっぽう、温泉を知らない人でも、ていねいな説明で分かりやすく、一度は掲載している温泉に訪れたくなる一冊。 |
発売 | ザメディアジョン |
購入先 | ▶Amazonはこちらから |

中野一行[フリーランスフォトグラファー/温泉ソムリエ]
宮城県出身、広島市在住。札幌の写真学校卒業後、東京のスタジオで修行。広島のスタジオで勤務後に2001年からフリーランス。主に雑誌・書籍・広告・Web等の様々な撮影を担当する。飲食店や商業施設の撮影は現在で数千件を超える。また日本で数十人しかいない「2つ星 温泉ソムリエ」でもあり温泉撮影のスペシャリスト。HPは(https://onsen-photographer.amebaownd.com)
中野一行の記事一覧
石川淑直[株式会社ザメディアジョンプレス 企画出版編集]
広島県出身。『カープ計算ドリル』シリーズや、カープ関連書籍の編集担当。アウトドア・釣り雑誌の編集部を経て帰広。MTB、釣り、DIYとPunk Rock。いちおうFLAG!編集長の肩書はあるが、実際はお茶を淹れたりコピーを取ったりの雑用係
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