エンタメ 2019/09/21

国民の嫌われ者から思わぬ変貌を遂げた総理大臣 映画『記憶にございません!』レビュー

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俳優の魅力をたっぷり味わえる待望の新作

興行収入60億円と大ヒットを記録した『THE有頂天ホテル』公開から13年という長い構想期間を経て生まれた本作。「もしも自分が、ある日突然総理大臣になったら……?」という三谷幸喜監督の空想から実現したシチュエーションコメディだ。

総理大臣・黒田啓介(中井貴一)は国民から石を投げられ記憶を失い、悪徳政治家から善良な“普通のおじさん”になってしまう。混乱をさけるため、秘書をはじめ官邸スタッフ、マスコミ、家族の助けを借りながらなんとか公務をこなすようになる。そして、嫌われ者だった頃には気づかなかった周囲の人たちの思いを知り、黒田の中に政治を動かしたい、内閣を改造したという気持ちが芽生え始める……という筋書きだ。

三谷作品ここにあり! 俳優陣のイキイキとしたコミカルな演技

三谷幸喜監督の映画は、主役級の俳優が勢ぞろいするオールスターキャスティングとその俳優らをイメージして台本を書く“当て書き”が特徴的だ。本作も、メインキャストはほぼ全員が当て書きのため、超豪華俳優たちのイキイキとしたコミカルな演技にお目にかかれる。

人間味あふれる総理を熱演した中井貴一や、三谷作品でおなじみの佐藤浩一は、安定の演技力で観る人たちを映画の世界に引き込んでくれた。さらに、悪役なのにどこか憎めない官房長官役の草刈正雄は、物語の空気感を守りながらも、黒田の敵役として観客に緊張感を与えている。

まさに、三谷監督の台本でしか観ることができない俳優陣の演技はとても見ごたえ十分。監督自身、「俳優さんを見せるための映画作りが、僕の作品ではメインなんです」というコメントを寄せており、俳優陣の魅力を多分に感じられる本作はその思いに適っていると言えるだろう。

いつだって人は変わることができる

黒田は記憶を失い、誠実で純朴な人間に生まれ変わったからこそ、真摯に政治に向き合えるようになった。少しずつ、“普通のおじさん”から“総理大臣”の顔つきに変わっていく姿に、周りの人たちも自分の夢を託すようになる。国のトップだって、心機一転し国政が好転するよう舵取りできる。私たちの生活に、突然石が飛んできて生まれ変わることなんてそうそうないだろうけど、「いつだって人は変わることができる」と、観る人の背中をそっと押してくれる、そんなメッセージにわたしはじんわりと心を温めてもらった。

映画『記憶にございません!』は、八丁座ほか、全国東宝系にて公開中。

<八丁座 上映スケジュール>
https://johakyu.co.jp/schedule/month.html

<『記憶にございません!』公式HP>
https://kiokunashi-movie.jp/

 

文/芝紗也加

 

【STORY】
国民から嫌われ、史上最低の支持率2.3%を叩き出した総理大臣・黒田啓介(中井貴一)。ある日、一般市民の投げた石が頭に当たり、記憶喪失になってしまう。金と権力に目がない悪徳政治家から、一夜にして善良で純朴な普通の「おじさん」に変貌してしまった啓介。国政の混乱を避けるため、記憶喪失の事実を知るのは、直近の秘書官3名のみ。国民はもちろん、大臣たち、家族にさえ、記憶を失ったことを隠し、秘書官たちに助けられながら、ギリギリなんとか日々の公務をこなしていくが……事態は思わぬ展開に。

<脚本と監督>
三谷幸喜

<出演>
中井貴一 ディーン・フジオカ 石田ゆり子 草刈正雄 佐藤浩市
小池栄子 斉藤由貴 木村佳乃 吉田羊
山口崇 田中圭 梶原善 寺島進
藤本隆宏 迫田孝也 ROLLY 後藤淳平(ジャルジャル) 宮澤エマ 濱田龍臣 有働由美子

【配給】
東宝

 

 


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