新刊書店がなくなった本通に2日間限定 移動式本屋『雨雪書店』オープン
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今年5月、小網町にオープンした本屋兼カフェバー『りんご堂』。
知る人ぞ知る店として口コミが広がり、連日多くのお客さんでにぎわっている。
その『りんご堂』の姉妹店ともいえる移動式本屋『雨雪書店』が、本通に2日間限定(10月26~27日)でオープンした。
今月、PARCOでプレオープンしたが、こうして路面店としては初となった。
広島は現在、本通に本屋がない。
唯一、古書店『アカデミイ書店 金座街本店』は健在だが、いわゆる新刊書籍や雑誌、漫画、実用書などをそろえる「町の本屋さん」は、ない。
以前、取材で『りんご堂』店主の野崎泰弘さんにお話を伺ったとき
「(広島の)町で育った僕としては、町から本屋さんを無くしたくないです」という思いを聞いた。
『りんご堂』オープンから5か月。その思いをひとまず形にした。
「お店を構えるというのはまだ無理ですけど、ひとまず臨時でも始められたらと思いまして」

ラウンドワンの向かい、かつドクターマーチンの向かいのコインパーキング内の建物
例え2日間であっても、本通に新刊を取り扱う本屋が復活したことは、なんだかとてもうれしい。
『りんご堂』でメインに並ぶ詩やアート系の書籍や文庫本を中心に、写真集やエッセイなどもセレクトされている『雨雪書店』。本通りという場所もあって、幅広い層に手に取ってもらえるようにと意識したという。

ナナロク社やミシマ社などの書籍のほか、最果タヒさんをはじめ広島の作家による短歌集などの新刊がそろう
『雨雪書店』の店名の由来は、野崎さん自身が好きだという宮沢賢治の詩「永訣の朝」にある一文「あめゆじゅとてちてけんじゃ」から引用したものだという。
死の床にいる宮沢賢治の妹が、熱で渇いた喉を潤そうとして、兄の賢治に「霙(みぞれ)を取ってきて」と頼むシーンが書かれているのだが、賢治が24歳で生涯を終えた最愛の妹を想う詩といわれている。
『雨にも負けず』と同じぐらい有名な詩である。
「雨雪」は、東北地方では「みぞれ」のことをいう。
詩の解釈は人それぞれだ。
次回のオープンはまだ未定だが、「必ず次もオープンします」と力強く答えてくれた。
オープンは、みぞれが降る頃なのか定かではないが、今後も『りんご堂』と『雨雪書店』から目が離せない。

おまけ←書店看板を設置する店主
店名 | 雨雪書店 |
住所 | 広島市中区本通3-19(ラウンドワンの向かい、かつドクターマーチンの向かいのコインパーキング内の建物) |
営業時間 | 11:00~20:00 |
営業日 | 10月26日、27日のみ |
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堀友良平[株式会社ザメディアジョンプレス 企画出版編集・FLAG!web編集長]
東京都出身。学研⇒ザメディアジョンプレス。企画出版、SNS、冊子などの編集担当。書籍「古民家カフェ&レストラン広島」などのグルメ観光系や、「川栄李奈、酒都・西条へ」などのエンタメ系なども制作。学研BOMB編集部時にグラビアの深さを知りカメラに夢中
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