広島第一劇場が閉館へ ひとつのカルチャーが消える
- カルチャー
- ストリップ
- ストリップ劇場
- 広島
- 広島第一劇場
- 第一劇場

2021年、5月20日。広島から一つのカルチャーが消える。
ストリップ劇場「広島㐧一劇場」は中国地方に残る唯一のストリップ劇場として知られ、40年以上親しまれてきた。しかし、ビルの老朽化から閉館が検討され、ファンや踊り子さんたちの存続署名運動や、常連たちが足繫く劇場に通うなどして、何度か危機を乗り越えてきた劇場だが、その歴史についに幕が下されることが発表された。
同劇場の福尾禎隆社長は、建物解体の延長を何度も更新してくれた地権者に感謝を述べつつ「みなさんに支えれてきた劇場でした。自分の力不足で閉館という形になり、ファンの方や踊り子さんたちに申し訳ないという気持ちです」と、さみしい思いをにじませた。
2019年に映画『彼女は夢で踊る』の舞台となり、今では「聖地」としても崇められている場所として注目を集めていた。同作品では、「閉館詐欺」を繰り返す第一劇場が閉館を迎えるにあたり、館長やスタッフ、そして踊り子さんたちによって描かれる人間模様は、ストリップ劇場を性風俗としてとらえずに、ひとつのエンタメとして演出している。
【インタビュー】広島㐧一劇場への想いが詰まった映画『彼女は夢で踊る』7・15公開 主演・加藤雅也「踊り子が脱ぐ姿にも、ちゃんと意味はある」
こうした映画のほかにも、近年ではストリップをエンターテインメントやアートとして考え直す動きがあり、女性客が増えてきたという。
しかしながら、ストリップ文化は娯楽の多様化により衰退の道を歩んでいる。第一劇場の営業開始当時は全国に約200軒のストリップ劇場があり、1985(昭和60)年ごろには、広島県内には4軒あったという。現在は全国でも18軒しか残っておらず、中国地方では第一劇場のみとなった。
残すこと約1か月の営業となった福尾社長は「常連の方はもちろん、昔に比べたら少しは雰囲気は明るくなって、女性のお客さんも増えています。一回でも足を運んでいただいて鑑賞してもらい興味を持っていただければ、それはストリップ業界全体にとってはいいこと。女性の人にも見に来てほしいです」と話し、「私にとって第一劇場は人生でした。全国で数少なくなったストリップ劇場ですが、おこがましいですが頑張っていただきたい」と、全国の劇場へエールを送った。
文・写真/堀友良平

堀友良平[株式会社ザメディアジョンプレス 企画出版編集・FLAG!web編集長]
東京都出身。学研⇒ザメディアジョンプレス。企画出版、SNS、冊子などの編集担当。書籍「古民家カフェ&レストラン広島」などのグルメ観光系や、「川栄李奈、酒都・西条へ」などのエンタメ系なども制作。学研BOMB編集部時にグラビアの深さを知りカメラに夢中
堀友良平の記事一覧関連記事
-
エンタメ PR
映画『ABYSS アビス』9月15日より公開(広島は10月6日より公開)――「この恋と、沈むだけ」 渡辺あやと須藤蓮の共同脚本。待望の監督第2作
都会の喧騒と海の静寂を行き来する 若者の<傷>と<再生>を描く 等身大で現代の渋谷を描く『ABYSS アビス』(2023年)は、広島……
2023.09.12
-
新刊 エンタメ
【7月7日発売】RCCアナウンサー19人によるエッセイ集第2弾!『RCCアナ本②』
19年ぶりに第 2 弾が完成! RCC アナウンサー 19 人の個性豊かなエッセイ集 2004年1月に発売した、広島初、そしておそらく全国初!? アナウンサー……
2023.06.15
-
エンタメ
【6月2日公開直前】映画『スパイスより愛を込めて。』3つの見どころ!
6月2日(金)より全国公開の映画『スパイスより愛を込めて。』は、スパイスが希少品になった世界で、カレー好きの高校生たちが繰り広げる群像劇です。 同日に公式……
2023.05.31
-
エンタメ PR
【舞台挨拶レポ】6冠達成! 話題の映画『ミューズは溺れない』――広島出身の新鋭・淺雄監督「上原さんが演じたから、朔子が初めて生まれて、映像の中に立ち現れてくれた」
5月27日(土)に映画『ミューズは溺れない』の舞台挨拶が八丁座にて行われ、主演の上原実矩さん(写真左)と監督の淺雄望さん(写真右)が登壇。 本作は新人監督……
2023.05.31