日本を救う存在! オオサンショウウオの生態をおもしろおかしく解説した書籍『オオサンショウウオと暮らすための50のこと』
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「オオサンショウウオが日本を救うかもしれません」そう語るのは、広島大学総合博物館准教授の清水則雄さん。
清水さんは、広島大学でオオサンショウウオの研究を行い、書籍『オオサンショウウオと暮らすための50のこと』( NextPublishing Authors Press)を出版した。
一文目の言葉は、出版に至った理由などを聞きに向かった際、清水さんから出た言葉だった。
あのオオサンショウウオが……どうゆうことなのか? 日本を救う?
オオサンショウウオの存在
そもそもオオサンショウウオとはどんな生き物なのか?
清水さん曰く「一番身近な特別天然記念物」とのこと。その言葉の通り、東広島市豊栄町では、民家の横を流れる川で見ることができます。
またオオサンショウウオは、岐阜県以西の山間部にしか生息していないことが調査で確認されています。そして同じ姿の両生類の化石が約2300万年前の地層から見つかったことから、生きた化石とも言われています。
オオサンショウウオ絶滅の危機
清水さんは、元々は鹿児島県の世界自然遺産屋久島の隣にある小さな離島・口永良部島で7年間、陸に上がった魚「ヨダレカケ」の調査をしていた。2006年から広島大学総合博物館の開設に携わっていた清水さんが、オオサンショウウオに出合ったのは2010年のこと。「豊栄町でオオサンショウウオの調査をしていた人に、道を聞いたのがオオサンショウウオの調査を始めたきっかけなんですよ」と話す。2011年からオオサンショウウオの調査を本格的に開始すると、60頭のオオサンショウウオが発見された。現在は発見した個体すべてにマイクロチップを埋め込み、生態の調査をしている。「調査では、巣が見つかり、繁殖も行われており、幼生も見つけることができるなど、素晴らしい結果を得ることができました」。しかし、10センチ以下の幼生、繁殖を行う大きな個体の存在は確認することができたが、10~30センチの幼体がいないことに気づく。
さらに調査を進めると、川にある堰の下ばかりにいて、巣穴がある上流への移動が堰により妨げられていることが原因の一つだと判明した。
清水さんはこの結果に「豊栄町のオオサンショウウオは消滅の最前線だと思った」と、絶滅の危機を感じた。この状況をなんとかしたいと思った清水さんは、手段の一つとして本の制作を選んだ。
一緒に暮らし続けるために 広く深く伝えたい
「僕たちが外から守り続けることには限界があると考えています。オオサンショウウオが生息する地域の方々が自発的に保全活動に参加をして、みんなで守ろうという気運が大切です。僕たちは今そういう仕組み作りをしている最中です。地元の人をはじめとした多くの人にオオサンショウウオをもっと知ってもらいたい。認知度を上げない限りは守ることはできません。そのためにこの本を出版することにしました」と熱い思いを語ってくれた清水さん。これからの保全活動を担っていく存在である子どもたちに向けて作ったということもあり、生態やオオサンショウウオが置かれている現状、未来のことなどが、分かりやすい四コマ漫画と詳細な解説が書かれている。
オオサンショウウオを守ることは自然界にどのような影響を与えるのかを清水さんに尋ねると、「河川生態系の頂点に立ち、『フラッグシップ種』と呼ばれ、環境保全活動の象徴となりやすいオオサンショウウオを守ることで、河川全体の生態系を守る、日本の河川を守ることにもつながります」と教えてくれた。
最後に本のタイトルにもなっている『オオサンショウウオと暮らすため』に大事なことを聞いてみると、「『相手を知ること、ゆずること』だと思います。農業のために作られた堰にスロープを付けたり、保護施設を運営するには税金を使います。子どもたちや市民が『守りたい』という想いや理解、オオサンショウウオを身近にしないと守り続けることは不可能です」と教えてくれた。そして「今後は今回出版した本や、副読本を使って、オオサンショウウオを守り続けることの大切さを次の世代に伝えていくことが、僕の使命だと思っています」と語ってくれた。
本の詳細や購入は下記へ
「オオサンショウウオと暮らすための50のこと」
(文:清水則雄 漫画:山﨑大海)
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高雄翔也[株式会社ザメディアジョンプレス 編集・FLAG!webアシスタント]
グルメ情報誌『エースグルメ』のほか、主にグルメ系のコンテンツ記事を担当。無事に三十路を迎えることができた独身。女子サッカーチームのアンジュヴィオレ広島の大ファン。プランター菜園に興味あり。
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