横川おしゃれのパイオニア的衣料品店「竹田衣料品店」【横川】
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横川町のランドマーク、竹田衣料品店。昔からある店ながら、その実態はよくわからない人も多いはず。「いつからあるの?」「何が売られているの?」その秘密を解き明かすと、この店のすごさが分かった! と、同時に愛着がわきました。
食酢の製造工場が戦後、衣料品店に
取材に対して優しく対応してくれたのは、はつらつとして、笑顔がすてきな遠藤英子さん。父・清太郎さんと、母・トモヨさんが昭和22年に創業したこの店で、今も現役で働いている。英子さんいわく200~300坪あるという広い店の中には、常時10人ほどのスタッフが働いていて、そのほとんどが親戚なのだそう。なかには英子さんの姉・美津子さんの姿も。「もともとはね、ここは卸しもするような酢の製造工場で、400~500坪あったんよ。甕も並んでいてね。だけど、戦争で焼けちゃって、生きていくために両親が衣料品店を始めたの。最初はね、そこの店先で、戸板で作った小さな屋台から始めて、だんだん工場を改装して大きくしていったって両親が話していたね」。小学生の時から英子さんも手伝いをしていたという店内は、一度も建て替えをしておらず、柱や壁などいたるところに時の流れを感じることができる。そこに、1万点を超える商品が所狭しと並んでいて、その途方もない数と、置かれているアイテムのジャンルの広さに、ただただ圧倒されてしまう。正面入口を入って右側が婦人服、真ん中が紳士服、そして左側が子ども服にタオルや化粧品。奥に進むと寝具や背広なんかもある。
流行も取り入れる! 安さとセレクトがウリ
店に入って驚いたのは、裏の通りまで続いている店の広さもさることながら、その品ぞろえと商品の安さ、そして陳列の乱雑(?)さ。でも、洋服や小物が山積みにされている風景は、宝探しのようで不思議とワクワクしてしまう。おまけにどれもびっくりするほど安くて、アドレナリンは放出状態! 買い換えようと思っていたバスタオルが300円、なかなかおしゃれなセーターが950円、買おうか悩んでいた日傘が1000円……! なんでこんなに安いの? それに、おばあちゃんの洋服ばかりかと思いきや、よくよく見ると、流行を取り入れた服も多いし! これいったい、誰がセレクトしているの? そもそもどこから仕入れてるの?? 続けざまに質問する私に、英子さんはこともなげに教えてくれた。「仕入先はバラバラよ。広島や、関西、名古屋なんかの問屋から直接卸してもらってね。私の弟が社長をしていて、社長が中心で商品を仕入れとるけど、スタッフのみんなで話し合って決めるんよ。テレビとか、雑誌とかお客さんの声も参考にして、流行ものをチェックしたりしてね。たとえば今年はロングカーディガンが人気でしょう? だから、そういうのを仕入れるんよ。安いのはね、現金で仕入れとるからなんよ」。今年のトレンド……ですと!? 流行もしっかりとおさえて仕入れる。
みんなに愛され続ける街のクローゼット
店内にはこんなに品物が並んでいるのに、ちゃんとシーズンごとに入れ替えも行っているという。商品がよく入れ替わるというだけあり、取材を行った午前中もお客さんはひっきりなしに訪れる。客層はさまざまで、毎日のおしゃべりを楽しみにしている90代のおばあちゃんから、学生、親子連れまで訪れるその光景は、さながら街のクローゼット。 一人ひとりの探し物も、「あ、それ、ここにあるよ」と、魔法使いのようにすぐに持ってきてくれる。どうしてすべての商品の場所を把握しているのか聞いてみると、「みんなで仕入れる商品を選んでいるから、全員何があるかちゃんと把握しとるんよ」と笑う。「お客さんの体格を見たらだいたいのサイズもすぐに分かるんよ。だから、正しいものをすぐに出してあげる。信用第一じゃけんね、嘘はつかん。寸法もあるし、似合ってるものは似合ってる、似合ってないものは似合ってないってちゃんと伝えてあげんと」。
昔お母さんに連れられてきていた子どもが、今では自分の子どもを店に連れてくるなど、3世代にわたり愛される竹田衣料品店。そこには、リーズナブルで魅力的な商品と、英子さんたちのすてきな人柄があった。
店名 | 竹田衣料品店 |
住所 | 広島市西区横川町2-4-20 |
営業 | 9:00~18:00 |
定休日 | 水曜 |
電話 | 082-231-1300 |

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堀友良平[株式会社ザメディアジョンプレス 企画出版編集・FLAG!web編集長]
東京都出身。学研⇒ザメディアジョンプレス。企画出版、SNS、冊子などの編集担当。書籍「古民家カフェ&レストラン広島」などのグルメ観光系や、「川栄李奈、酒都・西条へ」などのエンタメ系なども制作。学研BOMB編集部時にグラビアの深さを知りカメラに夢中
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