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ライフ 2019/02/01

「横川創荘」は若きアーティストのアトリエだった。

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横川駅から徒歩3分、横川シネマ沿いの建物の一角にある『横川創荘』。どこか懐かしく昭和レトロな雰囲気を醸す商店街にあるその場所は、祐源紘史さんという若きアーティストが設立した、作家や学生が数人でシェアするアトリエだった。

生と死を見つめる

「もともとはグラフィックデザインを専攻しようと思っていたんです」。アーティストや建築家など、数名でシェアする広いアトリエの中に、細かい骨のパーツがたくさん入ったケースが積み重ねてある奇妙な机があった。ここが祐源紘史さんの制作スペースだ。祐源さんは、将来は広告デザインをやりたいと入学した広島市立大学で、イギリスの現代美術家、デミアン・ハーストの影響から現代美術というジャンルに興味を持ち、「生と死」をテーマに作品作りに励むようになる。
代表作はフライドチキンを食べた後の骨を再構成し、人間の骨にみたてた作品『Please eat me』を含むシリーズ。大量生産や大量消費の問題を、ユーモラスな表現で問いかけた作品は、国内外の企画展で展示され話題となった。
「この作品は〝チキンを食べる〞ということから制作がスタートしています。食べ終わった骨は丁寧に洗浄し、人間の形に構成し直すのですが、スネならスネ、アバラならアバラと、鳥の骨格を、そのまま人型の骨格として使って違和感がなく人型に仕上がるんですよ」と、細かいパーツを丁寧にピンセットで摘みながら教えてくれた。

現在は骨を使ったシリーズを制作しながら、駄菓子のパッケージを繊細にカットした平面作品『ダイアモンド ダスト』という作品制作にも取り組んでいる。「立体と平面なので、見た目には違う作風に感じるかもしれませんが、作品の構造はどちらも同じ。捨てられるものや、食べ残ったものなどを再構成することで、マイナスからプラスのイメージに転換できるような表現を意識しています。重くて普遍なものをテーマにしていますが、伝えるときは軽いタッチにすることを心がけています」と、幅広い人の心に作品のメッセージを届ける。
大学時代、長崎に滞在しながら制作を行っていた時のこと、庭に猫の死骸を見つけた祐源さんは、猫が自然へ還っていく過程を追いながら、生命循環の美しさに心を打たれたという。

横川に支えられながら作家活動

「今の世の中っていろいろな物事が分断されていて、全体の繋がりが見えにくいと感じます。だけど、生き物が死んで、そこから新しい生き物が生まれる過程を見たことが、生命の繋がりについて考えるきっかけとなり、今の作風に至っています」と、当時のことを振り返る。
そんな祐源さんは、2012年に同世代の仲間と共に、今のアトリエである『横川創荘』を設立した後、アートプロジェクトを企画、運営も行った。今でも横川で創作活動を行っている。

活動の幅を広げる祐源さんの夢は美術史に名前を残すこと。「日本だけでなく世界のマーケットで通用するアーティストになりたい」と、高い目標を掲げ、これから国内外問わず大きな展覧会にどんどん挑戦していきたいと意気込む。

 

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堀友良平
モノ

PROFILE
堀友良平[妄想好き]

学研ホールディングスでエンタメ系雑誌やムックを手がけてきた編集者。芸能・サブカル・カメラ好き。妄想を得意とする。FLAG!副編集長/FLAG!web編集長。ほか書籍やムック編集を手がける

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