映画『恋のしずく』が災害復興に貢献!
- 映画
- 本
ロケ地情報誌「ロケーションジャパン」が、毎年、地域を盛り上げた映画やドラマとその地域を表彰し「エンタメ×地域」の頂点を決める「ロケーションジャパン大賞」の第9回が開催され、東広島市で撮影された映画『恋のしずく』(監督:瀬木直貴)が、審査員特別賞を受賞した。
映画公開をきっかけに108%まで回復
「昨年7月の豪雨災害後、観光客数が前年比5割減まで落ち込んだが、映画公開をきっかけに108%まで回復(昨年10月時点)。災害からの復興への大きな後押しとなった」という受賞理由だ。昨年、本作品の公式ガイドブックの制作に携わっていたとき、瀬木直貴監督がインタビューで話してくださった「映画づくりは町づくり、人づくりなんです」というビジョンが、リンクしたように思えた。
瀬木監督は、映画をオールロケで撮り続けて、『恋のしずく』で16作品目となる。本作では2017年7月から半年間滞在し、一人の人間としてその街や、その街に住む人と向き合う。監督の映画製作のプロセスは、「地域について学ぶ・調査する・知る」ということから始まる。その町の魅力や課題を浮き彫りにし、意識して制作に入る。そのような丁寧なロケハンや取材が、結果、町の人や町から理解を得て、撮影期間では多くのボランティアが参加し、映画公開に向けて町全体が盛り上がっていった気がする。
映画の役割
7月豪雨災害では、瀬木監督は映画スタッフを連れて、東広島市内を含めて多くのボランティアに参加し、ロケ地の一つでもある、この災害で被害に遭った安芸津町の「柄酒造」で土砂撤去作業を手伝っていた。10月公開直前の9月末には、同町で『西日本豪雨被災地復興イベント 映画「恋のしずく」安芸津町特別先行上映会』が開催され、無料で安芸津町民を招待したのも監督の発案だった。町全体が精神的にも体力的にも疲労困ぱいしている中、監督は「映画を観て少しでも元気になってくれたら」と励ましてくれた。
10月20日(広島では10月13日先行公開)より、作品は昨年12月末まで多くの広島県内外の劇場で公開され、今もなおロングランを続けている。
作品は単なる人間ドラマではなく、いわゆる「地方」が抱える問題や課題を浮き彫りにしながら、お酒の魅力をあんなにも丁寧に描いている作品は稀にない。災害前の東広島市の景観美もしっかりと映し出され、監督が街の美しさを理解していないと撮れない映像だった。
「地方創生」が注目される中、瀬木監督は「映画」というフィルターを通して、地方が抱える問題や課題と向き合い、その処方箋を出している。
<関連記事>
堀友良平[株式会社ザメディアジョンプレス 企画出版編集・FLAG!web編集長]
東京都出身。学研⇒ザメディアジョンプレス。企画出版、SNS、冊子などの編集担当。書籍「古民家カフェ&レストラン広島」などのグルメ観光系や、「川栄李奈、酒都・西条へ」などのエンタメ系なども制作。学研BOMB編集部時にグラビアの深さを知りカメラに夢中
堀友良平の記事一覧関連記事
-
新刊 エンタメ
【1月22日発売】小芝風花主演! 映画 『レディ加賀』公式ガイドブック
令和6年能登半島地震の被災者の方々へ心よりお見舞い申し上げます。 被害を受けられた皆様の安全と1日でも早く平穏な生活に戻られますことを心よりお祈り申し上げます……
2024.01.22
-
エンタメ PR
映画『愛にイナズマ』音楽担当・渡邊崇 11月3日サロンシネマで舞台挨拶決定
10月27日から全国公開の映画『愛にイナズマ』で、音楽を担当した広島市安佐南区出身・渡邊崇さんによる舞台挨拶が決定。 渡邊さんは、映画音楽を数多く手がけ、……
2023.10.26
-
エンタメ PR
映画『ABYSS アビス』9月15日より公開(広島は10月6日より公開)――「この恋と、沈むだけ」 渡辺あやと須藤蓮の共同脚本。待望の監督第2作
都会の喧騒と海の静寂を行き来する 若者の<傷>と<再生>を描く 等身大で現代の渋谷を描く『ABYSS アビス』(2023年)は、広島……
2023.09.12
-
新刊 エンタメ
【7月7日発売】RCCアナウンサー19人によるエッセイ集第2弾!『RCCアナ本②』
19年ぶりに第 2 弾が完成! RCC アナウンサー 19 人の個性豊かなエッセイ集 2004年1月に発売した、広島初、そしておそらく全国初!? アナウンサー……
2023.06.15