『本屋の未来を、なぜか僕らが考えてみた』——広島で“新しい本屋体験”を “本屋”という場所にワクワクできる一冊
- 坂上俊次
- 寺嶋良
- 本屋
- 本屋をなくすな

広島を舞台に、本屋という場所をもう一度見つめ直す。
町の本屋が消えている——そんなニュースを目にした人もいるだろう。
全国の本屋の数は、ピーク時に比べて7割減。
本屋のない市区町村は、全国の27.9%に及ぶ(2024年8月末時点)。
本屋の減少は、広島も例外ではない。
「本屋をなくすな」
そんな思いで本書『本屋の未来を、なぜか僕らが考えてみた』を手がけたのは、アナウンサーの坂上俊次さんと、広島ドラゴンフライズの選手であり、日頃から読書をライフワークにしている寺嶋良さん。
ふたりが目を向けたのは、広島の街に息づく書店たちです。
蔦屋書店やLounge B books、ジュンク堂など、地元に根ざした店の取り組みを紹介しながら、本屋がどんな存在として街に寄り添っているのかを探っていきます。
坂上さんは「広島は、街のサイズがちょうどいい。本屋が街の呼吸のように生きている」と語ります。
地方都市・広島を舞台に、本屋という場所をもう一度見つめ直す。
都会のカルチャーとは少し違う、“生活の中にある文化” が、この本の中にはちゃんと息づいています。
偶然の出会いこそ、本屋の醍醐味。
スマホで本を買うのは早いけど、“予定になかった出会い”までは運んでくれない。
ふとした瞬間、タイトルに惹かれて立ち止まる。
ページをめくったら、今の自分にぴったりの言葉がある。
本屋って、そういう奇跡が起こる場所だ。
寺嶋さんは「ネットでも本は買えるけれど、店で本を選ぶと“偶然の出会い”がある」と語ります。
本書は、そんな“偶然の幸福”をもう一度思い出させてくれる。
読み終えたら、なんだか本屋に行きたくなる。
その衝動が、この本のいちばんのご褒美です。
本屋をめぐる旅は、街を知る旅でもある。
本書では、広島にある複数の書店の姿を通して、「街と人と本の関係」を描き出しています。
カフェを併設して人が集まる空間をつくる店、地域出版社の作品を推す店、夜遅くまで灯りをともす大型店——。
それぞれの本屋が違うリズムで街に溶け込んでいます。
坂上さんは「どの本屋も、街の中でちゃんと役割を持っている」と話します。
人が集まる場所があり、本を介して会話が生まれる。
それが街の文化をゆっくりと育てていく。
読んでいるうちに、地図の上の広島が少しずつ立体的に見えてくるような気がします。
“新しい本屋体験”を。
「ただの本屋紹介」でも「ただの書店論」でもない。
『本屋の未来を、なぜか僕らが考えてみた』は、街・人・本が交わるあたたかい交差点を開いてくれます。
読み終えたあと、そっと街の本屋を覗いてみたくなる。
その「一歩」が、本好きの心に残る価値になる。
手に取った一冊が、あなたの“新しい本屋体験”になるはずです。
『本屋の未来を、なぜか僕らが考えてみた』
著者:坂上俊次・寺嶋良
発行:株式会社ザメディアジョン
発売日:2025年11月1日
定価:1,980円(税込)
坂上 俊次(さかうえ・しゅんじ)
1975年、兵庫県生まれ。中国放送(RCC)アナウンサー。『イマナマ!』『Eタウン・SPORTS』『それ聴け!Veryカープ!』などを担当。広島を拠点に、ニュースからスポーツまで幅広いジャンルで「街の今」を伝える。本書では“放送”とは異なる角度から、街と人をつなぐ“本屋”の魅力を掘り下げた。
寺嶋 良(てらしま・りょう)
1997年、東京都生まれ。プロバスケットボール選手。広島ドラゴンフライズ所属。ポジションはポイントガード。チームの司令塔としてプレーする傍ら、読書家としての一面も持つ。「本を読むことで、心が整う」と語る彼のまなざしが、本書の随所に息づいている。

堀友良平[株式会社ザメディアジョンプレス 企画出版編集・FLAG!web編集長]
東京都出身。学研⇒ザメディアジョンプレス。企画出版、SNS、冊子などの編集担当。書籍「古民家カフェ&レストラン広島」などのグルメ観光系や、「川栄李奈、酒都・西条へ」などのエンタメ系なども制作。学研BOMB編集部時にグラビアの深さを知りカメラに夢中
堀友良平の記事一覧