新刊 コラム 2023/05/06

新刊『土と人と種をつなぐ広島』 著者が危惧する広島の食文化

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2020年5月22日、広島に新しいプラットフォームが産声をあげました。

その名も「むすぶ広島」。

(ここからは2020年5月29日掲載記事を改訂したものになります)

そして、その理事代表を務める花井綾美さんが、2023年5月27日に書籍『土と人と種をつなぐ広島』を発刊します。

同書は、「一般社団法人むすぶ広島」の思いや理念の一部を掘り下げ、まとめられた一冊です。

むすぶ広島は、私たち消費者にどういったことをもたらしてくれるのか。

花井綾美さんに、お話を伺った。

 

広島の食文化を守っていく場所

「農と食と地域を繋ぎ結んで、おいしい広島。」というキャッチコピーを掲げている「むすぶ広島」。ここでいう「農」とは、林業や漁業も含まれている。

どういうことかというと、「消費者と生産者(農家、メーカーなど)を直接的につないで、広島の食文化を守っていく場所なんです」と、花井さん。

花井さんは、農産物関係の販促の仕事をきっかけに、「食」と「農」に興味を抱き、野菜ソムリエの資格取得後、農水省をはじめさまざまな機関の講演講師、地元野菜を使った野菜料理教室、新聞コラムを執筆。

また、農家さんとのコラボレーションによる「食」と「農」のイベント企画など、よりよい「食」を広める活動を行うなど、いわばコーディネーターという役割を率先して担っている。

そんな活動を約12年続けてきた中で、たくさんの一般の方(消費者)と、農家(生産者)とつながってきた花井先生は、双方の思いを「むすぶ」ことができたら、と考えていたという。

「農家さんは自分たちが生産しているものを、もっとたくさんの方に知ってほしい。消費者の方はもっと産品のことを知りたい。両方からの声が聞こえてくるんですね。その両方の声を拾えるプラットフォームみたいなものは作りたい」という思いが、ずっとあった。

そして昨年、花井さん自身の仕事が落ち着きはじめたところで、そのシステムの構想を練りはじめた。

「誰が見てもわかるプラットフォーム。個々でテレビとかラジオとかセミナーでやってはいるけど、そのたびに場所を設けなくてはいけない。でも、誰もがいつでも、クリックすればその場に入っていける、そんな場所を目指したんです」と、立ち上げに向けて動ている中で、世間では新型コロナウイルスが蔓延した。

そんなコロナ禍で、花井さんは確信を得た。

「みんな自粛でしょ。だからSNSでやりとしていると、今日何食べた? とか献立のこととか、SNSの世界の中で、食に対する高い関心で人と人がつながっていくのを見て、私がしてきたことは間違っていなかった!」という確信だ。

「食」というテーマで、人と人がつながっていく感覚を実感できたという。

だからこそ、余計に「今しかない!」と強く思い、いろいろな人に手伝ってもらいながら、プラットフォームを完成させた。

花井さんを知る人たちにとって、これほど安心できるプラットフォームはほかに類を見ないだろう。

「今、動いてるプロジェクトはコロナ支援という名目で、農家さんが作った産品を一般の方に直接販売しています。そんな農家さんと消費者をつなぐ場所しても活用していただいてます」困っている生産者が集える場所があり、需要のある消費者に直接届ける。

花井さんだからこそ発想できたこのカタチは、農家さんと消費者を助ける場所としてスタートを切った。

 

「顔」が見えるプラットフォーム

今後について花井先生は「広島の産品、伝統野菜にスポットをあてて、より知ってもらって食べてもらえるような食づくりを生産者としていきたいです」と話した。

「自慢の産品をPRしたい、新商品の原料となる野菜を探している、新しい商品を売るにはどうしたらいいだろうか、イベント開催の告知をしたい、農家さんの畑の草取りをお手伝いしたいなど、気軽にクリック一つで問い合わせできるようにしました。農と食に関わる声を拾って、食文化を守る点、面にして広げていきたい」という思いがあるという。

また、プラットフォームには生産する人、流通させる人、研究する人などを広島県の「食を耕す人」としてピックアップし、記事にしていく予定だという。

私たち消費者にとって、「安心して食を購入できる場所」は重要だ。現在、インターネット上で「食」を手に入れる方法はいくらでもある。

そんな中で、食の「向こう側」が見える場所はまだまだ少ない。そういった意味でも「むすぶ広島」が、生産者やメーカーなどの顔と声がちゃんと見える場所として機能するのであれば、消費者と生産者がつながる一つの新しいカタチになるだろう。

そのなかの手段のひとつともいえる書籍化は、クラウドファンディングで成立した。

支援があってこその今回の書籍化は、花井先生の他にも「むすぶ広島」の理念に共感してくれる人がいるという証にもなる。

「むすぶ広島」のこれからの活躍から目が離せない。

 

現在、パートナーシップを募集中!

▶むすぶ広島」HPはこちら。

 

【PROFILE】
講演講師、料理講師、食ライター。国立広島大学教育学部卒業後、フリーランスのコピーライターに。農産物関係の販促の仕事をきっかけに食と農に興味を持ち、野菜ソムリエの資格取得。農水省をはじめ県市町村や幼稚園、学校、企業主催の食育文化講演講師、地元野菜を使った野菜料理教室、新聞コラム執筆、農家さんとのコラボレーションによる食と農のイベント企画など、地産地消、スローフード、食の安全安心などをテーマとしたよりよい食を広める活動を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

<花井先生の著書は下記>

 


土と人と種をつなぐ広島

土と人と種をつなぐ広島

【2023年5月27日 発売】これまでに『100万人の幸せごはん』(南々社)、『空飛ぶ野菜ソムリエ 世界の旅ごはん』(ザメディアジョンプレス)を書きおろし、このたび、3冊目の著書となる『土と人と種をつなぐ広島』(ザメディアジョン)を発売する花井綾美さん。 花井さんは、コピーライターから野菜ソムリエに転身し、野菜に携わる仕事をスタート。 地産地消、スローフード、食の安全安心などをテーマとした講演や料理教室を開催するなど、幅広く活動を続けています。 そして、2020年には生活者と生産者の距離を縮め、農業への理解を深めていくことを目的とした「一般社団法人むすぶ広島」を立ち上げ、より農業と食へのアプローチに特化した活動を開始しました。 そのなかで発刊する『土と人と種をつなぐ広島』。 花井さんは、本書に下記の言葉を綴っています。 「情報があふれる時代に広島の地に根づいた魅力的な野菜、伝統野菜、在来野菜と呼ばれる野菜についてほとんど知られていないことに驚きます。 知らなきゃ、消えてなくなっても知らないまま。 それではあまりにも残念です。 広島にどんなお宝な野菜があるのか、どんな人たちが作っているのか、知ってください。 食べて一緒に守ってください。」 本書は、近い将来食糧難危機を迎えるだろう今、農業の本質を問い直し、農業者と消費者がしっかりと手を携えて、日本の農業と食を守る体制に入るためのバイブルとなる一冊です。 <著者プロフィール> 1953年広島県生まれ。広島大学教育学部卒業。一般社団法人むすぶ広島代表理事。2011年、広島県初野菜ソムリエ上級プロの資格を取得。農業と消費者の橋渡し役として、講演、セミナー、マルシェ開催などさまざまな活動を続けている。
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空飛ぶ野菜ソムリエ 世界の旅ごはん

空飛ぶ野菜ソムリエ 世界の旅ごはん

【2018年5月13日 発売】 ★旅に出て食事を楽しみたくなる一冊 みなさん、元気にモリモリ楽しく食べてますか!? 食事は生活するうえで、やはり重要な行動の一つ。「医食同源」ともいわれるように、健康は日頃のおいしくて楽しい食生活が大切です。そんな食事を、旅をしながらできるなんて最高じゃないですか? <内容> 本書は、広告代理店でコピーライターとして活躍し、野菜ソムリエとして実に世界30カ国以上を飛び回る花井さんが、本誌ではヨーロッパやアジア、中南米など、そこで触れた各国の食文化を交えた紀行本となっています。臨場感ある写真と、花井先生自身の性格を現したパワフルで躍動感ある文章は、読み手に親近感を持たせ、読みながらワクワクしてしまいます。そして、何よりも読み終えたあと旅に出て食事をしたくなる。そんな一冊です。 ■本体1,500円+税 【著者プロフィール】 花井綾美 広島生まれ。シニア野菜ソムリエ。広島大学卒業後、フリーランスのコピーライターに。農産物関係の仕事をきっかけに食と農に興味を持ち、野菜ソムリエの資格取得。食育講演、野菜料理講座の講師、テレビ・新聞などで旬の野菜情報を発信するなど、広島の地産地消をテーマに広く活動。広島市認定ひろしまそだち野菜アドバイザー
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堀友良平

堀友良平[株式会社ザメディアジョンプレス 企画出版編集・FLAG!web編集長]

東京都出身。学研⇒ザメディアジョンプレス。企画出版、SNS、冊子などの編集担当。書籍「古民家カフェ&レストラン広島」などのグルメ観光系や、「川栄李奈、酒都・西条へ」などのエンタメ系なども制作。学研BOMB編集部時にグラビアの深さを知りカメラに夢中

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