温鉄!! ローカル線に乗って温泉に行こう! 第二回 そうだ山温泉&JR予土(よど)線(高知県)【前編】弘法大師ゆかりの名湯で高知料理を堪能
- 予土線
- 温泉
- 温泉旅
- 鉄道
- 高知県
温泉をこよなく愛する温泉ソムリエ&フォトグラファー中野一行と、ローカル線に乗るのが大好きな鉄旅ライター・やまもとのりこの‟のんびり珍道中”。
第二回 そうだ山温泉&JR予土(よど)線(高知県)
【前編】弘法大師ゆかりの名湯で高知料理を堪能
今回の温鉄は、高知県!
「そうだ山温泉」と「JR予土線」の旅だ。
そうだ山温泉は高知県にある弘法大師ゆかりの名湯。
かたや、予土線は高知県の若井駅と愛媛県の北宇和島駅を結ぶローカル線で、四国西部の山あいを清流・四万十川に沿って進む。
今回、中野カメラマンとワタシやまもとは「そうだ山温泉」の最寄り駅、須崎市にあるJR土讃線の吾桑(あそう)駅で集合。
温泉からスタートして、乗り鉄しながら「予土線」経由で広島に戻る、という段取りだ。
<今回のルート>
start! そうだ山温泉→土讃線→予土線→予讃線→伊予鉄道→フェリー→呉線→広島goal!
吾桑駅で中野カメラマンと合流。木造駅舎がレトロでかわいい♪
駅舎に掛けられた“そうだやま温泉”の看板もレトロな雰囲気。
「そうだ山温泉」社長さんが駅まで車で迎えに来てくださった。
5分ほどで「そうだ山温泉 和(やわらぎ)」に到着。
昔、弘法大師・空海がここ「桑田山(そうだやま)」の麓で修行中に、岩の間から湧き出す水の癒やしの力に気づき「くすり水」と名付けて村人に教えたという。
この伝説の「くすり水」が温泉だと気づいたのが、「そうだ山温泉 和」の先代の社長だ。先代は地質学の教授を招いて相談し、やはり温泉に違いないと確信。
信念を持ってボーリングを行い、ついに温泉が湧き出した。
空海の時代から千年のときを越えて蘇った癒しの湯、それが「そうだ山温泉」なのだ。
地元の人が「龍王さん」と呼ぶお宮の裏手あたりに泉源がある。神秘的な雰囲気だ。
「そうだ山温泉」は冷鉱泉なので、地元の山の間伐材を活用した薪ボイラーで加温する。
薪ボイラーのメリットを社長さんに聞くと、「薪であたためるとお湯がやわらかいのが特徴ですね。重油を使わないのでCO2の削減にもなり環境にいいんですよ」と、教えてくれた。
高知県は面積の80%以上が山で、“全国一の森林県”といわれる。
山を維持するには定期的な間伐が必要だが、1980年代に木材価格が下落してそれが難しくなり、その結果山が荒れて害獣が増え、農業まで立ち行かなくなった時期があったとか。
そのため、社長さんは間伐材を燃料として活かすことを発案。
それによって雇用が生まれ、荒れていた山もきれいになり、山間部に人が戻るようになった。
「山がきれいになると川がきれいになり、ひいては海が豊かになるんですよ」。
山を守り、環境にもよくて、そして温泉に入れる!
いいことずくめだ〜♪
四国有数の美肌の湯へ
各自お部屋へ。明るい木の内装が落ち着ける。荷物を置いたらさっそく温泉へゴー!
宿泊棟からカランコロン木下駄を履いて温泉棟へ。
まずは内風呂でしっかりとあたたまろう。冷鉱泉なので洗い場のカランもシャワーもすべて温泉! 贅沢〜! イオウのような温泉香が立ち上る。
源泉かけ流し・まどろみの湯がある露天風呂へ。
川の音が聞こえている。
透明感のあるやさしいお湯だ。
そうだ山温泉はアルカリ性の冷鉱泉で、まろやかなとろみを感じる。
湯口からぽこぽことお湯の流れる音。それにまじって川のせせらぎも聴こえてくる。心静かな至福のひととき……。
男湯の露天風呂は内風呂から川に架けられた橋を渡って行く。
自然がいっぱい、山間の情緒たっぷり。
もちろん男湯の方も、露天・まどろみの湯は源泉かけ流しだ。
湯上がりは肌がつるつるすべすべに。
四国有数の美肌の湯といわれるだけある。
高知の美味を味わい尽くす
さて、ゆっくりしたあとはお待ちかねの夕食!
高知といえば鰹のたたき!そして鯛、カンパチ、太刀魚の炙り。高知の新鮮な海鮮が美味しい!!
高知の魚には高知の酒。
高知県土佐市の亀泉酒造の吟醸生をいただく。
旅先では、しぼりたての味わいと香りが楽しめる生酒がファーストチョイスだ。
上品な吟醸香。
甘めで濃い味わいながら、酸味も感じさせる。
程よくサシの入った黒毛和牛をしゃぶしゃぶで。ポン酢の合わせダレでさっぱりと頂く。
焼き物は地元・新荘川の天然鮎、とても香りが良い。
四万十うなぎの蒲焼きは引き締まった味わいだ。
高知県だけで改良された褐毛種の和牛「土佐あかうし」のステーキ。
甘みのある適度な霜降りで、ジューシーな肉のうま味が楽しめる。
四万十ポークの角煮。
びっくりするくらいきめ細かく、旨味がたっぷりだ。
これまた高知を代表する高級魚「金目鯛」の味噌焼きだ。
木の芽の香りが香ばしい。
揚げ物は四万十川の手長エビにアオサノリ、うるめ鰯と菜花の天ぷら。
高知ならではの食材を存分に生かした美食の数々。
豊かな海、清流、山の幸がいっぱいだ。
高知って美味しいものがたくさんあるんだなあ。
自然が豊かだから食べ物も美味しい。
“山がきれいになると川がきれいになり、ひいては海が豊かになる”……。
先ほど社長さんがおっしゃっていたことを、もう一度かみしめた。
取材・文/やまもとのりこ
写真/中野一行
【あわせて読みたい記事】
温鉄!! ローカル線に乗って温泉に行こう! 第一回 そうづきょう温泉&錦川清流線(山口県)【前編】錦川清流線で絶景車窓を楽しむ
■温泉と鉄旅を楽しめる関連本■
『ローカル線の旅ガイドブック~愛しの三江線~』(写真右)
著者:やまもとのりこ
発売:2016年12月/ザメディアジョン
中国地方のローカル線の乗り鉄旅に便利なハンディサイズのガイドブックです。
山陰・山陽エリアのローカル鉄道のうち、平成30(2018)年4月に廃線した三江線の情報は貴重。
現在でも重宝したい芸備線・木次線・山陰本線・錦川清流線・一畑電車の6路線の情報を掲載。
持ち運びやすいハンディサイズです。
著者はローカル線鉄旅ライターのやまもとのりこ。
彼女が実際に体験した沿線の見どころ、グルメ、温泉、宿泊を徒歩圏内を中心に紹介。
ただ乗るだけじゃない、“もっと楽しむ” 乗り鉄旅のプランが広がります。
他の路線やバス・タクシーへの乗り継ぎを紹介する乗り継ぎマップ&インフォメーションページも便利。
緑の山々、清らかな川、青い海……三江線をはじめとする中国地方のローカル鉄道を撮り続ける山岡亮治氏ほか、写真愛好家による四季折々の美しいローカル鉄道写真も多数掲載しています。
『温泉ソムリエ・中野一行 厳選 中国・四国かけ流し温泉ガイド&メモ』(写真左)
著者:中野一行
発売:2018年12月/ザメディアジョン
数々の雑誌やメディアの制作にたずさわり、広島を拠点に活躍するフォトグラファー・中野一行。
彼のもう一つの顔は、全国400箇所以上の温泉に入り、中四国の温泉の魅力を知り尽くす温泉ファン。
「温泉ソムリエアンバサダー」をはじめ「温泉入浴指導員」の資格を保持し、「湯原温泉指南役」「別府八湯温泉道・名人」に認定されている。
その中野一行が【厳選】した、『中国・四国地方のかけ流し温泉』のみを紹介するガイドブック。
全62箇所の温泉は、どれも筆舌しがたい最高の温泉ばかり!
中野自身が入って撮って書いた、まさに温泉好きによる温泉好きのための一冊となっています。
温鉄!! ローカル線に乗って温泉に行こう! 第一回 そうづきょう温泉&錦川清流線(山口県)【前編】錦川清流線で絶景車窓を楽しむ
やまもとのりこ[ローカル線鉄旅ライター]
ローカル線に乗って旅をするのが大好きなライター。そんな仲間を増やすべく、ローカル線沿線の観光ガイド本を手がけている。著書「中国地方ローカル線の旅ガイドブック」「ローカル線で行こう!鉄旅ガイド」HPは https://writer-norikoyamamoto.jimdofree.com
やまもとのりこの記事一覧中野一行[フリーランスフォトグラファー/温泉ソムリエ]
宮城県出身、広島市在住。札幌の写真学校卒業後、東京のスタジオで修行。広島のスタジオで勤務後に2001年からフリーランス。主に雑誌・書籍・広告・Web等の様々な撮影を担当する。飲食店や商業施設の撮影は現在で数千件を超える。また日本で数十人しかいない「2つ星 温泉ソムリエ」でもあり温泉撮影のスペシャリスト。HPは(https://onsen-photographer.amebaownd.com)
中野一行の記事一覧関連記事
-
コラム
【広島本大賞受賞】花井さんが危惧する広島の食文化 少しでも多くの方に知ってもらうために
これまでに『100万人の幸せごはん』(南々社)、『空飛ぶ野菜ソムリエ 世界の旅ごはん』(ザメディアジョンプレス)を書きおろし、このたび、3冊目の著書『土と人と種……
2024.11.02
-
グルメ コラム
【ヤサカくん 広島グルメ探訪記】#20 世羅でお茶
Instagramで日々の全国グルメ旅を投稿しているヤサカくん。 「おいしいお店がある」と聞きつければ、愛車ジムニーを運転して全国どこへでも駆けつける。 ……
2024.07.12
-
グルメ コラム
【ヤサカくん 広島グルメ探訪記】#19 安芸高田でラーメン
Instagramで日々の全国グルメ旅を投稿しているヤサカくん。 「おいしいお店がある」と聞きつければ、愛車ジムニーを運転して全国どこへでも駆けつける。 ……
2024.06.28
-
グルメ コラム
【ヤサカくん 広島グルメ探訪記】#18 西区のガナッシュ
Instagramで日々の全国グルメ旅を投稿しているヤサカくん。 「おいしいお店がある」と聞きつければ、愛車ジムニーを運転して全国どこへでも駆けつける。 ……
2024.06.21