観光・旅 コラム 2022/02/24

温鉄!! ローカル線に乗って温泉に行こう! 第二回 そうだ山温泉&JR予土(よど)線(高知県)【前編】弘法大師ゆかりの名湯で高知料理を堪能

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温泉をこよなく愛する温泉ソムリエ&フォトグラファー中野一行と、ローカル線に乗るのが大好きな鉄旅ライター・やまもとのりこの‟のんびり珍道中”。

第二回 そうだ山温泉&JR予土(よど)線(高知県)
【前編】弘法大師ゆかりの名湯で高知料理を堪能

今回の温鉄は、高知県!

「そうだ山温泉」と「JR予土線」の旅だ。

そうだ山温泉は高知県にある弘法大師ゆかりの名湯。

かたや、予土線は高知県の若井駅と愛媛県の北宇和島駅を結ぶローカル線で、四国西部の山あいを清流・四万十川に沿って進む。

今回、中野カメラマンとワタシやまもとは「そうだ山温泉」の最寄り駅、須崎市にあるJR土讃線の吾桑(あそう)駅で集合。

温泉からスタートして、乗り鉄しながら「予土線」経由で広島に戻る、という段取りだ。

<今回のルート>

start! そうだ山温泉→土讃線→予土線→予讃線→伊予鉄道→フェリー→呉線→広島goal!

吾桑駅で中野カメラマンと合流。木造駅舎がレトロでかわいい♪

駅舎に掛けられた“そうだやま温泉”の看板もレトロな雰囲気。
「そうだ山温泉」社長さんが駅まで車で迎えに来てくださった。

5分ほどで「そうだ山温泉 和(やわらぎ)」に到着。

昔、弘法大師・空海がここ「桑田山(そうだやま)」の麓で修行中に、岩の間から湧き出す水の癒やしの力に気づき「くすり水」と名付けて村人に教えたという。

この伝説の「くすり水」が温泉だと気づいたのが、「そうだ山温泉 和」の先代の社長だ。先代は地質学の教授を招いて相談し、やはり温泉に違いないと確信。

信念を持ってボーリングを行い、ついに温泉が湧き出した。

空海の時代から千年のときを越えて蘇った癒しの湯、それが「そうだ山温泉」なのだ。

地元の人が「龍王さん」と呼ぶお宮の裏手あたりに泉源がある。神秘的な雰囲気だ。

「そうだ山温泉」は冷鉱泉なので、地元の山の間伐材を活用した薪ボイラーで加温する。

薪ボイラーのメリットを社長さんに聞くと、「薪であたためるとお湯がやわらかいのが特徴ですね。重油を使わないのでCO2の削減にもなり環境にいいんですよ」と、教えてくれた。

高知県は面積の80%以上が山で、“全国一の森林県”といわれる。

山を維持するには定期的な間伐が必要だが、1980年代に木材価格が下落してそれが難しくなり、その結果山が荒れて害獣が増え、農業まで立ち行かなくなった時期があったとか。

そのため、社長さんは間伐材を燃料として活かすことを発案。

それによって雇用が生まれ、荒れていた山もきれいになり、山間部に人が戻るようになった。

「山がきれいになると川がきれいになり、ひいては海が豊かになるんですよ」。

山を守り、環境にもよくて、そして温泉に入れる!

いいことずくめだ〜♪

四国有数の美肌の湯へ

各自お部屋へ。明るい木の内装が落ち着ける。荷物を置いたらさっそく温泉へゴー!

宿泊棟からカランコロン木下駄を履いて温泉棟へ。

まずは内風呂でしっかりとあたたまろう。冷鉱泉なので洗い場のカランもシャワーもすべて温泉! 贅沢〜! イオウのような温泉香が立ち上る。

源泉かけ流し・まどろみの湯がある露天風呂へ。

川の音が聞こえている。

透明感のあるやさしいお湯だ。

そうだ山温泉はアルカリ性の冷鉱泉で、まろやかなとろみを感じる。

湯口からぽこぽことお湯の流れる音。それにまじって川のせせらぎも聴こえてくる。心静かな至福のひととき……。

男湯の露天風呂は内風呂から川に架けられた橋を渡って行く。

自然がいっぱい、山間の情緒たっぷり。

もちろん男湯の方も、露天・まどろみの湯は源泉かけ流しだ。

湯上がりは肌がつるつるすべすべに。

四国有数の美肌の湯といわれるだけある。

高知の美味を味わい尽くす

さて、ゆっくりしたあとはお待ちかねの夕食!

高知といえば鰹のたたき!そして鯛、カンパチ、太刀魚の炙り。高知の新鮮な海鮮が美味しい!!

高知の魚には高知の酒。

高知県土佐市の亀泉酒造の吟醸生をいただく。

旅先では、しぼりたての味わいと香りが楽しめる生酒がファーストチョイスだ。

上品な吟醸香。

甘めで濃い味わいながら、酸味も感じさせる。

程よくサシの入った黒毛和牛をしゃぶしゃぶで。ポン酢の合わせダレでさっぱりと頂く。

焼き物は地元・新荘川の天然鮎、とても香りが良い。

四万十うなぎの蒲焼きは引き締まった味わいだ。

高知県だけで改良された褐毛種の和牛「土佐あかうし」のステーキ。

甘みのある適度な霜降りで、ジューシーな肉のうま味が楽しめる。

四万十ポークの角煮。

びっくりするくらいきめ細かく、旨味がたっぷりだ。

これまた高知を代表する高級魚「金目鯛」の味噌焼きだ。

木の芽の香りが香ばしい。

揚げ物は四万十川の手長エビにアオサノリ、うるめ鰯と菜花の天ぷら。

高知ならではの食材を存分に生かした美食の数々。

豊かな海、清流、山の幸がいっぱいだ。

高知って美味しいものがたくさんあるんだなあ。

自然が豊かだから食べ物も美味しい。

“山がきれいになると川がきれいになり、ひいては海が豊かになる”……。

先ほど社長さんがおっしゃっていたことを、もう一度かみしめた。

 

【後編】四万十川の清流と共に列車に揺られて に続く

 

取材・文/やまもとのりこ
写真/中野一行

【あわせて読みたい記事】

温鉄!! ローカル線に乗って温泉に行こう! 第一回 そうづきょう温泉&錦川清流線(山口県)【前編】錦川清流線で絶景車窓を楽しむ

■温泉と鉄旅を楽しめる関連本■

『ローカル線の旅ガイドブック~愛しの三江線~』(写真右)
著者:やまもとのりこ
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著者はローカル線鉄旅ライターのやまもとのりこ。

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著者:中野一行
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数々の雑誌やメディアの制作にたずさわり、広島を拠点に活躍するフォトグラファー・中野一行。

彼のもう一つの顔は、全国400箇所以上の温泉に入り、中四国の温泉の魅力を知り尽くす温泉ファン。

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全62箇所の温泉は、どれも筆舌しがたい最高の温泉ばかり!

中野自身が入って撮って書いた、まさに温泉好きによる温泉好きのための一冊となっています。

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やまもとのりこ

やまもとのりこ[ローカル線鉄旅ライター]

ローカル線に乗って旅をするのが大好きなライター。そんな仲間を増やすべく、ローカル線沿線の観光ガイド本を手がけている。著書「中国地方ローカル線の旅ガイドブック」「ローカル線で行こう!鉄旅ガイド」HPは https://writer-norikoyamamoto.jimdofree.com

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中野一行

中野一行[フリーランスフォトグラファー/温泉ソムリエ]

宮城県出身、広島市在住。札幌の写真学校卒業後、東京のスタジオで修行。広島のスタジオで勤務後に2001年からフリーランス。主に雑誌・書籍・広告・Web等の様々な撮影を担当する。飲食店や商業施設の撮影は現在で数千件を超える。また日本で数十人しかいない「2つ星 温泉ソムリエ」でもあり温泉撮影のスペシャリスト。HPは(https://onsen-photographer.amebaownd.com)

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