不思議なスナックの小話 /#02 「聞かないわよ! あんたの話なんか!!」ママ、吠える。
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広島で飲食店を多店舗展開する飲食店経営者コラム。
経営者と言っても、いつも誰かに「全く大人になれてないよねっ!」とよく言われる。
しかもその言葉を褒め言葉として都合よく解釈し、ポジティブに生きている。
食のお話、お酒のお話、不思議なスナックのお話など。
飲食経営者だから分かる裏話や、時代錯誤の食べ飲み歩き大好き野郎としての勝手な意見を、ぶっちゃけていきたいと思います!
#02 「聞かないわよ! あんたの話なんか!!」ママ、吠える。
実際にあるスナックでのお話。
ここは広島にあるとあるスナック。
言い方は悪いかもしれないけど、言ったら場末のスナック。
このお話は、前回の続き。
「聞いてよ、ママ!」
ベージュ帽の女性が軽く発狂して、カウンターをドン!!っとたいた。
絶対怒られる。俺は分かる。
確実に君は怒られる。
同性の?ライバルだからなのか分からないけど、経験上ここのママ兼パパはすごぶる女性に厳しい。そんな時を何度か俺はみてきた。
ママ「何があったの?」
えっ!?
めっちゃ今日優しいじゃん…
少しびっくりして思わず薄めの水割り焼酎を多めに飲んだ。
ベージュ帽女「あのね、こないだ話した最近付き合い始めた彼氏いるじゃん!その彼がね、全然最初と態度違うくなって。ゴニョゴニョ…」
うっすー!!
俺が今飲んでる焼酎より内容うすっ!後半の声ゴニョゴニョしか聞こえんし。
大抵オトコなんてそうだっつーの。声に出そうなのをグッと堪える。
ママ「男なんて、そんなもんよ。私が言うのもなんだけど。なおちゃんもそう思わない?」
俺に話が振られる。
絶妙なタイミングで知らないお客さん同士を会話させるテクニックがニクい。
「そうですねぇ。男なんて結局バカなんで、そんなもんじゃないんですか?やっぱり。せこいんですよ男って」
もう綺麗事言うような歳でもないので正直に思ったことを答えた。
ベージュ帽「そんなもんなのかなぁ。」
「どうやって、知り合った彼氏さんなんですか?」
ママ「あー、この子と二人で飲みに行った時に知り合ったのよ。別のお店で」
でたー。
飲食店あるある。
飲食店で知り合ってそのまま仲良くなって付き合うパターン。
俺の知る限り、男側が30代をこえると飛躍的にその確率が高くなる気がする。たぶん会話スキルで20代とかと差がつくのかな。
三人でしばらくいろんな話を2時間くらいした。
少し笑ったり、少し真剣になったり。すごい盛り上がるでもなく、盛り上がらないわけでもなく。
内容はぺっらぺっらのうす〜い会話。
唯一の収穫は彼氏が30代だったことくらい。
今回もまた一つ俺の統計確率が上がったのだ。
しばらくすると、さっきまで泣いて、キレ気味だった女性も落ち着いてきてた。
会話が一段落し、ちょっとした沈黙。
ベージュ帽「なんか、ごめんね。愚痴っぽくなっちゃった。」
ママ「いいわよ。そんなの。
このお店はお客さんが愚痴言って、笑って、たまに泣いて、それでぜーんぶ忘れて帰るお店よ。
たいしたお酒もでないし、料理もでないけどそんなお店なの。まあ次の日にはどうせまた思い出すんだけどね。」
ズドーンと、心に突き刺さった。
シブい!しびい!!
さすが飲み屋一筋のママは言うことが違う。飲食店しているモノとして、頭が下がります。
時間がまた流れる。
そろそろお会計のタイミングかな。
ベージュ帽「でも、あとね、その彼が…」
・・・・まだ続くのぉ
「もー! 聞かないわよっ!! あんたの話なんか! 長いところがあなた達側の嫌いなとこ! カウンター叩いたのも忘れてないから!!」ママ、吠える。
はは。やっぱり怒られた。
今夜も楽しい夜です。
※実際にあるお店であったお話です。
フィクションを入れる場合もありますが、そこはご愛嬌で。
※実際にあるお店であったお話です。
フィクションを入れる場合もありますが、そこはご愛嬌で。
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ナオヤ[広島駅を中心に飲食店を多店舗展開する飲食店経営者。 しかし、「仕事何してるの?」としょっちゅう誰かに聞かれる大人になれない30代後半。 君は『ピーターパン』みたいだねと、人に言われたことをちょっとだけ気にしている。 とにかく、呑む・食う・語るが大好き。 週5日で理由をつけて飲みに行く毎日。そこで得た知識を自分のモノのように話すのが得意技。]
飲食店経営者兼ライター
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