エンタメ PR 2023/05/31

【舞台挨拶レポ】6冠達成! 話題の映画『ミューズは溺れない』――広島出身の新鋭・淺雄監督「上原さんが演じたから、朔子が初めて生まれて、映像の中に立ち現れてくれた」

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5月27日(土)に映画『ミューズは溺れない』の舞台挨拶が八丁座にて行われ、主演の上原実矩さん(写真左)と監督の淺雄望さん(写真右)が登壇。

本作は新人監督の登竜門とされるTAMA NEW WAVEと田辺・弁慶映画祭の双方でグランプリに輝いた他、観客賞など計6冠を達成し、大きな話題となりました。

主人公の朔子を演じるのは、主演作『この街と私』(2019年)の他、話題作への出演が続く上原実矩さん。監督の淺雄望さんは、万田邦敏監督や大九明子監督の元で助監督を務めながら中・短編を制作してきた期待の若手映画監督。

そんな二人が、映画『ミューズは溺れない』にかける思いや製作時のエピソードなどをお話しました。

 

――この度はお越しいただきありがとうございます。広島の皆さんに、ご挨拶をお願いできますか? ※以下、話者の敬称略

上原「『ミューズは溺れない』で主演の朔子を演じさせていただきました。上原実矩です。昨日、初めて広島に来て、八丁座の舞台挨拶で映画を観に来てくださった皆さんに暖かく迎え入れていただき、広島に来てよかったなと心から思いました。昨日と今日の2日間で、広島観光もさせていただき、楽しい思い出でいっぱいです。今日は短い時間にはなりますが、よろしくお願いします」

淺雄「『ミューズは溺れない』の監督を務めさせていただきました。淺雄望です。本日はご来場いただきありがとうございます。学生時代に何度も通った大好きな劇場で、映画を上映できることにうれしい気持ちでいっぱいです。八丁座で映画上映できるようになったのも、去年の11月に母校・広島女学院での上映会に参加した生徒さんの働きかけがあったからで、今日まで映画を撮ってきて、がんばってよかったなと報われた気持ちになりました。改めて、地元広島の皆さんに支えていただいて、今日この場に立てているんだなと幸せな気持ちでいっぱいです」

――お声をいただきありがとうございます。2日間、広島を観光されたとのことですが、今日はどちらに行かれましたか?

上原「今日は監督と、監督のお母様に宮島に連れて行っていただきました。さっきまで、靴に宮島の砂浜の砂が残っていて、慌てて取ったところです(笑)あと、実は今日はカープの赤い靴下を履いていまして」

(会場拍手)

――その甲斐あってか、カープは勝ったみたいです。上原さんは朔子を演じるにあたって、どういうところからこの役に入っていきましたか?

上原「監督にお会いする前に脚本をいただいて読んだとき、なんとなくだけど脚本に書かれている朔子の気持ちがわかったので、朔子になるために何か特別なことをしないと、という気持ちはありませんでした。それば、朔子だけじゃなくて、他の二人の女の子もそうです。だから、その思いを掘り下げていく感覚で役には入っていけました。他にも、実際に、撮影が始まって監督とリハーサルを繰り返して、他のキャストとお芝居を構築する中で、手繰り寄せていったというような形です」

――監督はシナリオ・企画を随分前から作られていたとお聞きしました。上原さんが演じる朔子を観て、いかがでしたか?

淺雄「シナリオを書き始めたのが2012年で、初稿ができたのは2019年。『ミューズは溺れない』は、約7年の歳月をかけて作り上げました。朔子は、10代の頃の私を重ねたキャラクターです。だから、10代の私にあった暗い時期を脚本には投影していたのですが、生命力あふれる力強い印象の上原さんに出会って、朔子ってこういう子だ、と思ったんです。出会ったときの印象もそうですが、上原さんが演じる朔子を観て、自分を投影したはずなのに、自分は朔子のことを何も知らなくて、上原さんが演じたからこそ、朔子というキャラクターが初めて生まれ落ちて、人間として立ち現れてきたという感覚になったんです。映画の中で、辛いことや悲しいことに出会う局面もあるのですが、パワフルさや前向きさを持つ上原さんじゃないと朔子を演じることはできなかったなと思いました。本当にありがとうございます」

上原「でも、撮影中は、やはりどこか監督の作品というか、気持ちが投影されているんだろうなと私は思っていたので、撮影しながらも監督を観察しつつ朔子のキャラクターを取り入れましたね」

淺雄「それを知れてすごくうれしいです。ありがとうございます」

 

――そうやって朔子を作っていかれたんですね。他の共演者との交流はいかがでしたか? 例えば、ベテランの川瀬陽太さんとの共演のお話や演技のアドバイスなどがあれば教えていただきたいです。

上原「川瀬さんとのシーンは、撮影当初の早い段階で撮り終えてしまったので、長くご一緒することはできなかったのですが、現場に居てくださるだけで、大きな安心感がありました。映画の中だけではなくて、現場全体のお父さんというか、ムードメーカーというか。撮影当時、私は20歳くらいで初めてやらせていただく主演に、がんばらないと、とプレッシャーを感じてしまっていたんですけど、そういった部分をほぐしてもらいましたね」

――最後に一言ずつ、コメントをいただけますか?

上原「広島に来て、昨日もここ八丁座で1時間近く舞台挨拶をさせていただいて、本当に素敵な劇場とお客さんに見ていただいてうれしい気持ちで過ごすことができました。また広島の皆さんに、作品を届けられるように、撮影などでも広島に訪れることができるようにがんばります。『ミューズは溺れない』も、またたくさんの人に観ていただけるよう広げていきたいので、これからもよろしくお願いします」

淺雄「上原さんが素敵な言葉で締めてくださったので、私からいうことは何もないです。これから上映する映画を、観て楽しんでいただけたら嬉しいです。本日はありがとうございました」

 

映画『ミューズは溺れない』は、八丁座にて公開中。6月23日(金)からは福山シネマモードにて公開予定。

〈『ミューズは溺れない』公式HP〉

https://www.a-muse-never-drowns.com/

〈出演〉
上原実矩『この街と私』
若杉凩『MINAMATA―ミナマタ―』
森田想『アイスと雨音』
新海ひろ子 渚まな美 桐島コルダ 佐久間祥朗 奥田智美
菊池正和 河野孝則 川瀬 陽太 広澤草

〈あらすじ〉
美術部に所属する高校生の朔子は、船のスケッチに苦戦している最中に謝って海に転落。それを目撃した西原が「溺れる朔子」の絵を描いて絵画コンクールで受賞、絵は学校に飾られるハメに。悔しさから絵の道を諦めた朔子は、取り壊しの決まった家で「船」をモチーフとした新たな創作に挑戦しようとするが、西原から「次回作のモデル」を頼まれてしまい……。アイデンティティのゆらぎ、創作をめぐるもがきなど、葛藤を抱えながらも前進しようとする高校生たちのひと夏をみずみずしく鮮烈に描き切った傑作が、ついに拡大公開。

〈配給〉
カプフィルム


芝紗也加

芝紗也加[株式会社ザメディアジョン メディア関連事業部クリエイティブサポート]

高知県出身。冊子やリーフレット、パンフレット、広告などを企画。マリーナホップ発刊の情報誌『Aletra』、お好み焼アカデミーによる『お好み焼シンポジウム』プロジェクトなどを運営。映画、読書が趣味。最近は刺繍に目覚めたり、絵本講師になるため勉強中。

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