観光・旅 2019/07/18

ゲストハウス「みはらし亭」に泊まる【尾道市】

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尾道の文化を伝える絶景の宿

尾道の観光スポットの一つ、千光寺の真下に位置するゲストハウス「みはらし亭」からは、尾道の町並みや尾道水道、対岸の向島が一望できる。「箱庭的と言われるこの絶景を目的に、ここへ宿泊される方も多いですよ」と、みはらし亭の支配人で、NPO法人尾道空き家再生プロジェクトの一員でもある牧原秀雄さんが教えてくれた。

その建物は、折箱製造業で財をなした豪商の別邸として大正10年に建てられた。昭和30年には現オーナーの手に渡って旅館として使われたが、廃業後は30年以上も空き家となり、その後は、尾道市の空き家バンクにも登録されていた。この絶景の建物の再生を託されたのが、尾道空き家再生プロジェクトだった。「ワークショップを通じて検討された再生後の姿として、地域のコミュニティ・スペースやギャラリーなどいろんな案が出されました。ですが世界中から尾道に来てもらえるようにと、最終的にゲストハウスに落ちつきました」。

千光寺に続く階段を上がる途中に佇む「みはらし亭」

1年をかけた再生では、地元の職人たちや全国から集まったボランティアの力が結集された。その作業では、建物が登録有形文化財であったこともあり、当時の部材を活かして往事の佇まいそのままを残すことに意を用いた。解体した部材を改修し、天井板や瓦も下ろして洗浄した後で、再び組み上げた。もともと頑丈な建物だったが、耐震補強なども怠らなかった。山の斜面に建つ物件のため車は入れず、資材や道具の運び込みは全て人力。大人に混じって地元の小学生たちも運搬作業を手伝った。

中庭に埋められた六角タイル。六角形は隠れたテーマ

資料が展示される別館の奥が共同キッチン

「再生にあたって建物を調べたときに気づいたんですが、1階と2階で釘隠の金具のデザインが違っていたんです。また畳が台形だったり、垂木が放射状に組まれていたりもします。そういった当時の風流な造りもそのまま残しました」。

尾道の街並みが眼下に広がる

男女混合ドミトリー。箱庭的と言われる尾道の風景が一望できる

デザインガラスの照明などの備品も趣きある空間をつくる

そのこだわりは、客室にも表れている。各部屋にベッドが置かれていないのは、腰を下ろしてゆっくりと景色を眺める際に、ベッドが視界を遮らないようにとの配慮からだという。

1階のカフェバーからも尾道水道が一望できる。瀬戸内レモンを使ったドリンクや地元の茶舗のお茶も提供する

尾道らしく操舵輪など船の備品が飾られている

1階のカフェバーで人気のレモンバターのアメリカンビスケット350円

「こうした別邸は尾道では茶園と呼ばれ、茶席で客人をもてなすために使われたと言います」。そうした歴史も踏まえ、今後はお茶に関連したイベントも開きたいという牧原さん。その客室からの眺望のように、みはらし亭の未来は啓けているようだ。

<オーナーのおすすめ>

名称 尾道ゲストハウス みはらし亭
電話 0848-23-3864
住所 尾道市東土堂町15-7(Googleマップはこちら)
料金 ・男女混合ドミトリー・9名
1泊2800円/1人
・女性専用ドミトリー・4名
1泊2800円/1人
・個室 桜の間
1泊7000円・2名まで
・個室 藤の間
1泊10000円・3名まで
HP http://miharashi.onomichisaisei.com/

 

photo:masato yamaguchi
writer:yoshio arakawa
direction&rewriting:ryohey

●記載の内容は取材時点の情報に基づきます。変更される場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください

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堀友良平

堀友良平[株式会社ザメディアジョンプレス 企画出版編集・FLAG!web編集長]

東京都出身。学研⇒ザメディアジョンプレス。企画出版、SNS、冊子などの編集担当。書籍「古民家カフェ&レストラン広島」などのグルメ観光系や、「川栄李奈、酒都・西条へ」などのエンタメ系なども制作。学研BOMB編集部時にグラビアの深さを知りカメラに夢中

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