コラム 2024/11/02

【広島本大賞受賞】花井さんが危惧する広島の食文化 少しでも多くの方に知ってもらうために

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これまでに『100万人の幸せごはん』(南々社)、『空飛ぶ野菜ソムリエ 世界の旅ごはん』(ザメディアジョンプレス)を書きおろし、このたび、3冊目の著書『土と人と種をつなぐ広島』(ザメディアジョン)を発売した花井綾美さん。

その『土と人と種をつなぐ広島』が、第14回広島本大賞ノンフィクション部門を受賞しました。

わが社の販促担当から受賞を知らされて、すぐに花井さんへ連絡。花井さんからの第一声は「そうなんですかー」という、何ともうすーーーいリアクション…。花井さんらしいといえば、らしいのですが(笑)。

授賞式は、広島駅南口広場にて11月9日(土)13:00~14:30で行われます。

 

花井さんとの出会いは、『空飛ぶ野菜ソムリエ 世界の旅ごはん』の企画からでした。とにかくパワフルで明朗快活。当初予定していた頁数を大幅に超える原稿が届き「何とかしてほしい!」とごり押し。予算が追いつかないなーと思いながらも、野菜ソムリエとして実に世界30カ国以上を飛び回っている花井先生の原稿は、花井さん自身の性格を現した力強さと躍動感があり、何よりも食への愛が深い。文章を削りすぎると、そのパワーが失われてしまうと思い、結局ページ増で進めた記憶を今でも鮮明に覚えています。

それから、コロナ禍でステイホームとなり、社会全体の動きがトーンダウンしていた頃、花井さんから「一般社団法人むすぶ広島」を立ち上げたことを聞きました。その話を聞いてから約2年後に、書籍化の話が持ち込まれたのです。同書は、「一般社団法人むすぶ広島」の思いや理念の一部を掘り下げ、まとめられた一冊です。

あらためて、花井さんが本書にかける思いを綴った「はじめに」を全文紹介します。

あらためて、花井さん、おめでとうございます!

まだ『土と人と種をつなぐ広島』を読まれていない方で、少しでも興味を持たれた方は、お近くの書店やAmazonでお買い求めいただけるとうれしいです。

はじめに

持続可能な社会をうたいながらも経済効率を優先する物づくりから脱却できないまま、私たちの周りは不安を抱えながら目まぐるしく動き続けています。そんな中で、今見直したいのが「農業」という存在です。あなたが暮らす町にも地域に根ざし、その土地の人の胃袋を満たすことに喜びを覚える農業があるはずです。その価値に気づき、認め、みんなで守る社会であって欲しいと願います。

農業は、常に自然と共にあります。自然はわがままで農家の都合には合わせてくれません。大雨になるかと思えば、一滴も降らない日照りが続く。冷夏だと思えば猛暑、暖冬に困ったかと思えば大雪に見舞われる。それでも、農家は鍬くわを捨てない。その辛抱強さはどこから生まれてくるのか、敬意をもって目を向けたいと思います。

多くの農家は年々歳々繰り返される農の営みのなかで土と向き合い、知恵を蓄え、種を育みます。経済から離れた場所で、土から生まれる生命を愛おしんでいます。もちろん生活するために経済は必要です。が、損得勘定抜きで畑を守りたいのだという農家の声を聞けば、食べさせてもらう私たちもそれをしっかりと応援せねばという気持ちになります。

近年の気候変動や度重なる災害で、農業を取り巻く環境は厳しくなっています。それでも諦めることなく、きょうも土に向かう農家の気持ちを感じていただきたい。一粒の種から生まれる生命の強さを知り、食の隣にある農の豊かさを知り、農はあなたの隣にあることを感じていただきたいと思います。

農は知らない世界ではなく、食べるあなたの隣にあります。あなたの「いただきます」が、きっと農家の大きな励みになります。農耕が始まった古代から「食が生まれる場所」であり続ける田畑が、あなたにとってもだいじな場所であると思えますように。本書をお届けします。

 

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堀友良平

堀友良平[株式会社ザメディアジョンプレス 企画出版編集・FLAG!web編集長]

東京都出身。学研⇒ザメディアジョンプレス。企画出版、SNS、冊子などの編集担当。書籍「古民家カフェ&レストラン広島」などのグルメ観光系や、「川栄李奈、酒都・西条へ」などのエンタメ系なども制作。学研BOMB編集部時にグラビアの深さを知りカメラに夢中

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