温鉄!! ローカル線に乗って温泉に行こう! 第一回 そうづきょう温泉&錦川清流線(山口県)【中編】錦パレスでワーケーション&焚き火体験
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温泉をこよなく愛する温泉ソムリエ&フォトグラファー中野一行と、ローカル線に乗るのが大好きな鉄旅ライター・やまもとのりこの‟のんびり珍道中”。3回に分けて紹介します。
地方をガタンゴトンと走るローカル線に乗って、温泉へ行こう!
中野カメラマンとワタシ・やまもとの「温鉄」旅、前回はJR岩国駅から錦川鉄道の錦川清流線に乗った。
西中国山地の山並みと錦川の眺めを楽しみ、終点の錦町駅からバスに乗りこんだ。
さて今回は……。
第一回 そうづきょう温泉&錦川清流線(山口県)
【中編】錦パレスでワーケーション&焚き火体験
錦川清流線終点の錦町駅で下車し、鉄印をもらったり資料館を見学した我々は、駅前から岩国市生活交通バス「深谷峡温泉行き」に乗った。
実はそうづきょう温泉まではバス以外にも「とことこトレイン」という観光用のトロッコ遊覧車もあるのだが、この日は運休していた。
「とことこトレイン」は春〜秋の土日祝と春休み・夏休みの運行なので、それ以外の平日や冬の運休期間はバスを利用するといい。
観光トロッコ遊覧車「とことこトレイン」とは?
「とことこトレイン」について少し説明しておこう。
錦川清流線の前身となった岩日線は、元々は岩国駅から島根県にある山口線の日原駅までを結ぶ陰陽連絡線として計画された。
岩国から錦町までは1963年に開通したが、そこから先の岩日北線と呼ばれた区間は、その後建設が凍結されてしまった。
このような完成に至らなかった路線のことを「未成線」という。
だが凍結が決まった時は既に、錦町から島根県の六日市までは線路の土台になる路盤がほぼ完成していた。
そこで、そうづきょう温泉付近までの路盤を記念公園として整備し、トロッコ遊覧車を走らせることになったのだ。
途中に、6色の光る石で彩られた「きらら夢トンネル」もあり、人気がある。
バスの車窓からは岩日北線の路盤や高架が見える。
「あそこにとことこトレインが走るんですよね〜。乗りたかったな〜」とぼやいていると、両脇に桜が植樹されている道へさしかかる。
路盤は走行路として整備、両脇には桜が植樹されており、桜が見頃の時期にはウォーキング大会などもあるらしい。
そうこうするうちに「雙津峡温泉」バス停に着いた。
1つ手前のバス停が宿泊予定の「錦パレスホテル前」だったんで、そこで降りれば良かったですね〜なんて言いながらバスを見送る。
せっかくだから「とことこトレイン」の停車する場所に行ってみよう。
「雙津峡温泉駅」の看板。
あずま屋風の待合室から、トロッコのタイヤのわだちが錦町方面へ伸びている。また春になったら乗りに来るぞう。
目の前の川のなんと澄み切って美しいこと! 錦川支流の宇佐川だ。
鮎で有名だと聞く。
水温の高くなる春から夏は鮎の餌となる苔が川石に付く。
冬の時期は水温が下がって苔が少なくなるので、目で見ても水の透明感がよくわかり写真映えもするらしい。
赤い吊り橋を渡って、しばし散策としよう。
宇佐川の支流、雙津川に沿って雙津峡渓谷を歩く。
道は「元湯憩の家」の横から付いている。
野鳥の声と川の瀬音だけが聞こえる静かな山の中。
澄み切った空気。黄金色のイチョウの葉が敷き積もった道をゆっくりと歩く。
「あ〜〜。いいところですねえ……」と、しみじみとつぶやいてしまう。
こういうのがいいんですよ。
街ナカとは違う、温泉地で味わう非日常。
さて、宿泊のそうづきょう温泉・錦パレスに向かおう。
温泉地でワーケーションしてみた
ちょっと早めのチェックインはワーケーションのためだ。
錦パレスの支配人・吉本辰夫さんが出迎えてくれた。
中野カメラマンは持参のMacBookで写真の編集をするという。
ワタシは次の執筆に向けてのアイディアをまとめることにした。
リストアップしておいたメモを見ながら構成を練るのは思った以上にはかどった。
気をそらすものが少ない静かな環境は集中して思考するのにいい。
が、それ以上に、忙しい日常から離れたリフレッシュ効果が、集中力を後押ししてるのかもしれない。
ひと仕事した後は温泉で温まり、楽しみにしていた夕食だ。
通常のワーケーションプランは1人部屋で部屋食を頼めるが、今回は複数部屋なので別の食事室で用意して頂いた。
錦パレスのシェフは本格四川料理の達人。
メインは山口県のブランド豚で、錦川源流域で育てられる「鹿野高原豚」の陶板焼き。
麦を飼料に肥育された四元豚で、臭みがなく風味がよく、脂身に甘みがある。
鹿野高原豚の角煮もとろけるような美味しさだ。
錦町の名産で、ワタシの大好物でもある刺身こんにゃくもぷりぷりした歯ごたえ。
錦町の地酒・金雀の熱燗との組み合わせを楽しんだ。
焚き火体験で大人のくつろぎ
夕食後にロビーで休んでいると、支配人の吉本さんが「ちょうど天候が良いので、広場で焚き火体験をしませんか」と声をかけてくださった。
パレス敷地内の宇佐川沿いにある芝生広場に、準備が整った。
焚き火台に積まれた薪に、温かな炎がパチパチと音を立ててゆらめく。
寒さもあまり感じないほどのぬくもりだ。
そうづきょうの温泉水で淹れた熱いコーヒーをいただく。
様々に表情を変える炎は黙って見ているだけで飽きない。
「今日はよく晴れて、風もあまり無いので焚き火に最適なのですよ」と吉本さん。
見上げると満天の星。
幸運の木星がきらめいている。
街中とは違い、人工の光が少ないせいで、ダイヤモンドをちりばめたような見事な星空だ。
「来て良かったなあ……」。
温泉コーヒーのおかわりをいただく。
ゆっくりと時間が流れていく。
木々の間から宇佐川の瀬音が聴こえている。
取材・文/やまもとのりこ
写真/中野一行
■温泉と鉄旅を楽しめる関連本■
『ローカル線の旅ガイドブック~愛しの三江線~』(写真右)
著者:やまもとのりこ
発売:2016年12月/ザメディアジョン
中国地方のローカル線の乗り鉄旅に便利なハンディサイズのガイドブックです。
山陰・山陽エリアのローカル鉄旅のうち、平成30(2018)年4月に廃線した三江線の情報は貴重。
現在でも重宝したい芸備線・木次線・山陰本線・錦川清流線・一畑電車の6路線の情報を掲載。
持ち運びやすいハンディサイズです。
著者はローカル線鉄旅ライターのやまもとのりこ。
彼女が実際に体験した沿線の見どころ、グルメ、温泉、宿泊を徒歩圏内を中心に紹介。
ただ乗るだけじゃない、“もっと楽しむ” 乗り鉄旅のプランが広がります。
他の路線やバス・タクシーへの乗り継ぎを紹介する乗り継ぎマップ&インフォメーションページも便利。
緑の山々、清らかな川、青い海……三江線をはじめとする中国地方のローカル鉄道を撮り続ける山岡亮治氏ほか、写真愛好家による四季折々の美しいローカル鉄道写真も多数掲載しています。
『温泉ソムリエ・中野一行 厳選 中国・四国かけ流し温泉ガイド&メモ』(写真左)
著者:中野一行
発売:2018年12月/ザメディアジョン
数々の雑誌やメディアの制作にたずさわり、広島を拠点に活躍するフォトグラファー・中野一行。
彼のもう一つの顔は、全国400箇所以上の温泉に入り、中四国の温泉の魅力を知り尽くす温泉ファン。
「温泉ソムリエアンバサダー」をはじめ「温泉入浴指導員」の資格を保持し、「湯原温泉指南役」「別府八湯温泉道・名人」に認定されている。
その中野一行が【厳選】した、『中国・四国地方のかけ流し温泉』のみを紹介するガイドブック。
全62箇所の温泉は、どれも筆舌しがたい最高の温泉ばかり!
中野自身が入って撮って書いた、まさに温泉好きによる温泉好きのための一冊となっています。
やまもとのりこ[ローカル線鉄旅ライター]
ローカル線に乗って旅をするのが大好きなライター。そんな仲間を増やすべく、ローカル線沿線の観光ガイド本を手がけている。著書「中国地方ローカル線の旅ガイドブック」「ローカル線で行こう!鉄旅ガイド」HPは https://writer-norikoyamamoto.jimdofree.com
やまもとのりこの記事一覧中野一行[フリーランスフォトグラファー/温泉ソムリエ]
宮城県出身、広島市在住。札幌の写真学校卒業後、東京のスタジオで修行。広島のスタジオで勤務後に2001年からフリーランス。主に雑誌・書籍・広告・Web等の様々な撮影を担当する。飲食店や商業施設の撮影は現在で数千件を超える。また日本で数十人しかいない「2つ星 温泉ソムリエ」でもあり温泉撮影のスペシャリスト。HPは(https://onsen-photographer.amebaownd.com)
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