
『レモンの島 今日もあの味と笑顔に会いに行く』――なぜ瀬戸田レモンは、これほど人の心を掴むのか。
- レモン
- 瀬戸田レモン
皮に刃先が触れ、弾ける生命力
包丁の刃先が張りつめた黄色い皮に触れた瞬間、フワリと目に見えない霧が立ちのぼる。
鼻腔を突くのは、鮮烈で、どこか青い香り。
広島県尾道市、瀬戸内海に浮かぶ生口島と高根島。国産レモンの生産量日本一を誇る「瀬戸田」のレモンが放つ、生命力の息吹だ。
園芸家・国吉純さんの新刊『レモンの島 今日もあの味と笑顔に会いに行く』は、この瑞々しいレモンの島から静かに幕を開ける。

レモンが編み上げる、島の幸福な営み
著者が自宅のある横浜から瀬戸田へ通い詰めて、かれこれ17年になる。
前作『瀬戸田レモンに恋して』から10年。その間に島は、世界中から人が訪れる、最高に魅力的な場所へと育った。
しかし、本書がすくい取るのは、単なる一過性の流行としての観光地ではない。
レモンという一球の果実が、いかに地域を支え、風景をつくり、人の営みを繋いであるか。
古くからの風土と、移住やUターンでやってきた若い世代が起こす、地に足のついた、けれど圧倒的に新鮮な化学変化の記録である。

若手農家から猟師まで、島に生きる人
著者は、島で独自の試みを続ける人々の元へ丁寧に足を運び、その言葉に耳を傾ける。
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若手農家の情熱: 先代から受け継いだ柑橘畑を守りながら、自ら果汁やカレーを仕掛け、商品の価値普及から配送までを自らの手でこなす長畠弘典さんの地道で格好いい仕事。
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華やかな世界からの転身: 東京の高級宝飾店に16年勤めたのち、食の世界での起業を経て移住。喜界島のキビ糖や尾道の平飼い卵で濃厚な「レモンカード」を練り上げる齋藤明美さんの、気負いのない自然体な佇まい。
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命の循環と向き合う: 都会の会社員から女性猟師となり、イノシシの解体見学や森の散策を通じて、里山の健やかな循環を伝える長光祥子さんの暮らしの選択。
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規格外への眼差し: 廃棄されるはずだったゴツゴツのレモンに「怪獣レモン」という愛嬌ある名を授け、映画『ゴジラ-1.0』との公式タイアップ企画まで導いた山岡由明さんの圧倒的な瞬発力。
それぞれの生き方が、レモンの香りのように鮮やかに、読む者の心へ染み込んでいく。
一鉢から始まる、黄金色の暮らしの手引き
単なる旅の記録にとどまらず、本書の後半は日常へと地続きに繋がる「暮らしの手引き」として差し出される。
ベランダでの鉢植え栽培の適期や手順から、丸ごと冷凍して皮をすりおろす知恵、レモンペーストを用いたフレンチトーストの作り方まで。
園芸家としての確かな眼差しが、部屋の中に心地よい植物のある風景と、島の豊かな食卓を同時に着地させてくれる。

潮風を聴きながら、あの黄金色の島へ
本を閉じても、喉の奥に広がるまろやかな酸味や、耳の奥に響く島に吹く潮風の音が残り続ける。
車でしまなみ海道を走り抜けるか、自転車で海沿いの景色を眺めながら走るか、それとも三原や尾道から船で向かうか。
あなたなら、どの交通手段でこの島を目指しますか?
<目次>
はじめに
第1章:通い続けてわかった瀬戸田の魅力
第2章:瀬戸田を旅するための基本知識
第3章:旅の続きを自宅でも
おわりに
瀬戸田 MAP
本編でご紹介したスポットの基本情報
COLUMN
・瀬戸田の名物スイーツを都内にいながら楽しむ!
・外の世界に憧れるも、島を愛し続けた画家・平山郁夫の美術館へ
・レモンを飾るだけで部屋が華やぐ!
著者プロフィール
国吉 純(くによし・じゅん)
園芸家・レモン研究家。上智大学文学部教育学科卒業。大学卒業後大手電機メーカーにて秘書を務め、退職後出会った園芸の世界で、暮らしの中での園芸を、講演やメディア等で紹介。園芸専門学校をはじめ、住宅関連企業、集合住宅等で「楽しく簡単に華やかに育てる」をモットー に年齢や場所に関係なく植物と触れ、育て、楽しめる植物選び、メンテナンス法などの指導にあたっている。国産レモン販売拡大のためのサポートや、高齢者施設での園芸療法活動も注目されている。
レモンの島 今日もあの味と笑顔に会いに行く
著者: 国吉純
定価: 1,980円(本体1,800円+税10%)
判型: B6判
ISBN: 978-4862508744
発売日: 2026年7月24日
この記事は2026年7月9日の情報です。
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