温泉総選挙2024でランクイン！　かけ流し温泉の魅力

2016年より、5省庁後援のもと実施している、国民参加型の温泉地活性化プロジェクト「温泉総選挙」の2024年ランキングが発表されました。

ランキングは８つの部門別に分かれ、広島県からは絶景部門で「きのえ温泉」が見事に１位！　近県では島根県から美肌部門で「美又温泉」が１位、名湯／秘湯部門で「有福温泉」が３位、湯治ウェルネス部門で「風の国温泉」が３位、歴史／文化部門で「旭温泉」が１位、徳島県からはおもてなし部門で「大歩危・祖谷温泉峡」が２位に選出されるなど、中・四国地方の上位ランクインが目立つ結果となりました。

国民を魅了してやまない「温泉」。温泉といってもさまざまな種類がありますが、今回ランクインした温泉のなかで「かけ流し」に着目し、かけ流し温泉の掲載に特化した書籍『温泉ソムリエ・中野一行 厳選 中国・四国かけ流し温泉ガイド&メモ』（2018年／ザメディアジョン発刊）の著者であり、温泉ソムリエのフォトグラファー中野一行さんが、書籍でピックアップした「美又温泉」「有福温泉」「大歩危・祖谷温泉峡」の温泉施設を紹介します。

美又温泉「とらや旅館」

「とらや」は想像以上です

美又温泉に初めて入湯してから15年以上が経ちました。長い間、当初から入浴していた施設が「美又のオリジナル」だと思い込んでいました。

ですが最近、衝撃的な施設を発見してしまったのです。

それが、とらや旅館です。

静かな温泉街にあるとらや旅館の看板に、小さく「源泉かけ流し」の文字。館内は1階に浴室が２つ。奥の大浴場に入湯すると、そこには紛れもなく「源泉かけ流し放流型浴槽」があったのです。

入ればすぐに分かります。

非加熱・非加水・非循環で、しかもヌルヌル感がすばらしい源泉が、絶えずかけ流されています。温泉がピュアです。ぜいたくすぎます。今まで入ってきた、美又だと思っていた温泉とは別次元です。これこそ「美又のオリジナル」だと、強く納得してしまった初秋でした。

有福温泉「御前湯」

有福は山陰の共同浴場天国です

有福温泉は非常に狭いエリアに３つの共同浴場があります。入浴者専用駐車場の目の前にある「さつき湯」。少し道の奥にあるのが「やよい湯」。ちょっと坂を上った場所にある有福温泉の象徴「御前湯」です。

この３施設は、それぞれを巡っても、歩いて5分かからない距離です。一瞬、この位置関係を見て「ここは山陰の共同浴場天国か」と思ってしまいました。それほど近くにあるのです。

なかでも特に外せないのが、御前湯です。外観からして、大正ロマンを感じさせ、建物の内部も趣があります。

もちろん温泉も素晴らしい。男湯は熱めの47度が、そのまま注がれています。加水などできません。

そんなことを容認する軟弱な利用者は入浴することはできないのです。

これが冬になると、適温に近く心地よく入ることができます。

大歩危・祖谷温泉峡「祖谷温泉　和の宿 ホテル祖谷温泉」

言葉は不要。感動の連続です

平家の落人伝説が残る祖谷は、険しい渓谷が続く場所です。そんな所にホテル祖谷温泉があります。右を見ても左を見ても、この宿しかありません。

本館から「渓谷の湯&せせらぎの湯」に行くには、徒歩では行けません。なんと専用ケーブルカーに乗って行くのです！

傾斜角42度の谷底に向かって約170メートルも下りていきます。

露天風呂に到着して、まず目につくのは湯口です。

適温の単純硫黄泉が「Theかけ流し」と言わんばかりに大量に注がれていてるさまは、見ていて楽しくなってしまいます。

さらに湯に浸かって気づきます。なんと肌に泡付きがあるのです。つまり肌が炭酸成分でコーティングされるのです。これは感動です！

硫黄泉と炭酸泉の特徴を持ち合わせた、とんでもない温泉です。すごい！

しかも、ぬるめの適温です。

書籍『中国・四国かけ流し温泉ガイド＆メモ』では、上記施設を含めて62施設を掲載しています。

どれも温泉ソムリエの中野さんが自身を持って厳選した「かけ流し温泉」となっておりますので、旅行で温泉をお探しの方は、ぜひ参考にしてください。

そして、不定期連載の『温鉄！』が2025年発売予定です。こちらもお楽しみに！