
パン屋日記 #42 君たちのお母さんは
- パン屋日記
町のパン屋さんで働くフワフワの日々……を想像してパン屋で働き始めた筆者が、味わい深い同僚やとんでもないお客さまとくり広げる必ずしもフワフワではない日々の記録です。
人のやさしさや仕事の本質、心に残る一言から、「かんべんしてくれよ」と思うようなできごとまで。自分や自分の身近な人のことを思い出して、ニヤッとしたりじんわりしたりしていただけたら、これ以上の幸せはありません。
#42 君たちのお母さんは
人手不足の、とある日曜日。
ご来店のピークタイムが
思ったより早く来てしまい、
未曾有の大行列ができました。
右のレジに7人、左のレジに5人。
こんなときに限って先頭のお客さまが、
「食パン切ってもらえますか。3本」
などと言い出したりします。
レジスタッフの背中に
同じお客さまからの2回目の電話が
いらいらと鳴り響き、
BGMが流れているにもかかわらず
店内にいやな静けさと緊張感が垂れ込めます。
スタッフみんなが
いよいよ絶望しそうになったそのとき
「お待たせしました!」と、
太陽のように明るい声が受話器を取りました。
振り返ると、
午後から来るはずだったパートさんが
なんと、1時間も早く来ているではありませんか。
お子さんと一緒に店の前を通りかかったそのパートさんは、
行列を見て、びっくり仰天。
「パン屋のお姉ちゃんたちが呼んどるけん、
お母さん行ってくるけん!」
と言って、
お子さんを一人で家に帰して
その足で出勤したというのです。
毎日お子さんを学童に預け、
急いで出勤してくださっている
太陽のようなパートさん。
「パン屋のお姉ちゃんたち」は、
いつかお子さんが大きくなったら
君たちのお母さんが
いかにかっこよかったか話して聞かせるのを
楽しみに、楽しみにしているのでした。
今日の食パンアレンジ ♯17
FLAG!vol.04「&パン」での企画で、実際に編集が30品目の食パンアレンジを試食してグラフ化した企画。意外とね、おいしいアレンジあるんです! そうでないものも、ありましたが……。興味ある方は、ぜひお試しあれ!(担当編集のぼやき)
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