ストリップ鑑賞のススメ ~女ひとり、広島第一劇場へ~ part1
- サブカル
知っていますか? ここ広島に、長い歴史を持つストリップ劇場が存在することを。一歩足を踏み入れれば、目に焼き付いて忘れられない瞬間を目にすることを。そして多くの女性が、踊り子によるヌードショーに惹きつけられているという現実を。
「スト女」という言葉が存在すると知ったのは、この記事を書こうとしてからのこと。「スト女=ストリップ鑑賞にハマっている女子」を意味するらしい。かく言う私もその一人だけど、近年ストリップ劇場に足を運ぶ女性が、全国的に増えているのは確かな事実。
ただ女が裸になるわけじゃない、踊り子が放つ「生」と「性」のエネルギーに圧倒される世界。「ヌードの殿堂 広島第一劇場」に魅せられた女ライターによる、ストリップコラム、スタートします。
中国地方で唯一残る、広島の希少なストリップ劇場
夕暮れ時になると、無数のネオンが輝きだす広島の大歓楽街、薬研堀。飲食店や風俗店、ラブホテルがひしめき合う一角にある、昭和レトロな趣を残す建物が、ストリップ劇場「ヌードの殿堂 広島第一劇場」だ。
第一劇場が開館したのは、広島カープが初優勝を遂げた1975年。そこから44年間、外観はその姿かたちを変えずに、ストリッパー(以下、踊り子)によるヌードショーが日々催されている。
ストリップとは簡潔に言うと、舞台上で踊り子さんが、自身が選んだ曲や演目に合わせて踊り、ハラリハラリと衣類を脱いでいくショーのこと。最終的には、上半身はもちろん下半身も全開オープンになるのだが、客との「行為」的なものは全くなし。客は、ただただ鑑賞して、羨望の眼差しで拍手を送る。演劇仕立てのもの、アクロバティックなもの、妖艶なもの、と踊り子さんによって個性が爆発しているので、その違いを楽しみにするのもいい。
昭和の最盛期には、全国に300箇所はあったストリップ劇場。現在残っているのは、たったの22箇所だという。中国5県に残るのは、広島第一劇場のみ。つまり非常にレア。わざわざ他県から訪れる客も多数いるというのに、広島県民は行こうと思えばすぐ行ける距離。なんて幸運なこと!
年齢や性別の垣根を超えたストリップラヴァーズ
そもそも、「女がストリップを観に行っても安全なのか?」という疑問が一番に浮かぶと思うので回答を。
答えはイエス!
ここ数年、何度も第一劇場に1人で足を運んだが、一度たりとも危険を感じたり、不愉快な思いもしたことがない。むしろ、スタッフさんやお客さんもみな優しく、アットホームな雰囲気で溢れている。「おねえさん、どの踊り子さんを観に来たの?」と突然話しかけられ、そこから会話が弾み、常連の男性客(40代~70代がメイン)と談笑することもある。
ストリップ初心者であれば、常連さんと話をすると、劇場のシステムなど分からないことを教えてもらえる。歳の離れたおじ様たちと、「推し」の踊り子さんについて話が弾み、友情に似たような連帯感が生まれることもある。女友達と、好きな俳優(個人的に花沢将人が好きだっ!)について話す時間は楽しい。それと変わらない感覚。なんだか不思議だけれど。
男性客に比べれば比率は落ちるが、女性客も多い。わたしのように1人でフラッと観に来ている人、数人で訪れている女性グループ、踊り子さんとのポラロイド写真を収集している熱烈女性ファン……、年代もさまざまで、それぞれが思い思いにストリップショーを楽しんでいるのが見てとれる。
男の欲望の塊というイメージが強い世界(過去は実際にそうだった様子)に、女が足を踏み入れるのは勇気がいることだが、入れば拍子抜けするほどクリアな空間なのだ。
今回は、今ある第一劇場やストリップの事実関係を書いたのみ。「ストリップ」と聞いて卑猥なイメージを浮かべる人がいるのも事実。だけど、本当はそうではない。そのイメージをただ払拭したいという個人的な思いからこの記事を書いている。劇場に行けば、クオリティの高いパフォーマンスに目を奪われる。体も心も全て曝け出す踊り子さんから、女が持つ「本物の芯の強さ」を目の当たりにすることができる。
次回は、女がハマるストリップの魅力や劇場主へ直接お話を伺ったことについて、ツラツラと。
場所 | 広島第一劇場 |
HP | https://www.hiroshima-daiichi.jp/ |
住所 | 広島県広島市中区薬研堀9−3 |
大須賀あい[フリーランス エディター&ライター]
呉市出身、広島市在住。大学院在学中から、RCCラジオでラジオパーソナリティを務めた後、ライターに転身。情報誌の取材、インタビュー、音楽誌の記事からラジオドラマまで「書く」フィールドはさまざま。どこか儚くも強い生命力を感じるものが好き。そして、音楽と海と本。男児2人、絶賛子育て中。<お仕事のご依頼は右記まで>alohasurf1030@gmail.com
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