【広島のパイセンから学ぶ!#01】「自立心」とは何かを学ぶ!
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30歳を超えたあたりから、これまで明確にあった1歳や2歳ぐらいの年の差が気にならなくなり、35歳ぐらいから、その範囲はより広くなり、5歳前後はもうほぼ同じ世代ということで、体育会系出身の自分でも年上の人と緊張せずに話ができるようになってきました。悪くいってしまうと同年代という同じ目線ぐらいの感じです。
そうなると今の自分にとって、先輩と呼べる人ってどれぐらいの人なんだろう。一回りも二回りの年上の方と話をするときってやっぱり今もちょっと緊張するというか失礼がないようにしないとなと思う。けど、なんだかそれぐらいの方って、もう人生の酸いも甘いも経験済みだからか、多少のことで機嫌が変わることなんてなくて、優しくいろいろ教えてくれたりします。(そこに甘えてしまってはいけないんですが)
てことで、改めて、そんな一回り以上年上の先輩に、話を聞いてみようと思いました。
現在僕は37歳。会社では、中堅ぐらいになり、後輩もそれなりに増えたけど、人生の初心に帰り、先輩からなにか学べないかな、と。
初回に会いに行ったのは、僕の会社がある広島市西区横川と商店街の理事長の村上さん。過去にチャリティーTシャツを作ろうと提案したときに、二つ返事でやろうと言ってくれた方。それからいろいろとお世話になりつつも、近所のおやっさん的な付き合いもある方。
今回の取材も、二つ返事でOKでした。ありがたい。
眼光は鋭く、態度はほがらか。そう先輩はいつもほがらか。
村上先輩に話を聞きに行く場所は、自分の会社がある横川の商店街事務所。カメラマン(後輩のY君)とぼちぼち歩いて向かい、交差点で信号待ちしていると、村上さんも同じように歩いてきて、自分たちとばったり。「おおー」大きくもなく、小さくもない自然な声で挨拶をして、一緒に事務所に向かって歩き出します。なんか最初から一緒に移動してましたっけ?というような自然な合流。タモリ倶楽部のオープニングぐらい自然な合流ですね。
途中、横川商店街を通るんですが、先輩が、突然角を曲がります。「ここを抜けたほうが事務所に近いよ。昔、道路が整備される前にできた道だから私道なの。なんかカッコええ雰囲気やろ(にやり)」と、細い隙間の道を案内してくれました。さすが横川の先輩で商店街組合の理事。
事務所の会議室にて、家業を継いだこと、プレミアムなトミカの武勇伝、昔ホビーショップ前にあった大きな鉄人28号の像?が置かれた理由などなど・・・・・・そして話は横川商店街の話に。
「横川は独立精神が強い人が生まれやすい土地なんよ。昔の地図を見ると分かるんやけど、広島城ができたときに掘りが整備されるじゃろ。そのとき大雨が降ったら川の水が横川のほうにくるようになっとたんよ。住んでも良いけど大変ってことで、あんまり管理もなく。もう好きにせい!って感じかな。もうそんな感じで無法地帯。だからなのか、ここは人に頼らない独立心の強い人が育ちやすいんじゃないかね。広島発で全国区の大企業の創業者も横川出身者多いんよ。」
――ふむふむ、だから横川はいろんな新しいイベントやら取り組みをやりやすいんですね。
「そういう雰囲気もあるんかね。なんかいろんな人があれをやりたい、これをやりたいって話をもってきてくれるよ。ゾンビナイトやら、ガワフェスやら、歌が好きだからなんかしたいとか。そういう人が、横川関係ないけど、ここならできるってことで、来てくれて、自分たちの祭りとしてやってくれる。それが横川の活性化とも繋がってきている感じかね」
――そういう土地柄っていうのは分かるんですけど、他の場所ならここまでどんどんできないじゃないかなと。各団体・企業・お店とのやりとり、相談から許可から予算、準備、運営など、見えない手間がたくさんありそうで。商店街理事としてなぜそういうこと受け入れて、実行できるんですかね?
「僕が広島に戻ってきて、小田億近くの小さいスタンドで飲んでて。そしたら明らかに(当時の)横川のサラリーマンじゃないパリッとした4人組みがいて。高そうなスーツだった。んで、その男たちが帰り際に、たまにはこういう場末で飲むのもええじゃろうって言って帰っていったんよ……。あれが忘れられずにおってね。せめて下町と呼ばれたいなと」。
――普段は冗談の多い村上先輩は、いつもの冗談っぽい口調だったけど、そのときの光景は鮮明に覚えているようで、あの時の悔しさは今につながっているんだなと。
「あと、僕もそうだけど、商店街連中は、こういう話や提案がきてるよ。どう思う?っていうと、だいたい面白うね、やってみようよって、ノッちゃう。面白いもん好きの連中が多いから、変わった意見が通りやすいんじゃないかな。まぁちゃんと考えてるか疑問に思う時もあるけど、やってみておかしいならやめればいいし(笑)」
ノリの良さ、まさに村上先輩を表すにぴったりの言葉だし、商店街全体を表す一言!
その後も、話は雑談交じりにいろいろな方向にいきつつ・・・・・・。
いろいろチャレンジしている話、新しい取り組み、そこに伴うちょっと大変な話などなど、内容としてはちょっとヘビーだなと感じることでも、常に笑顔で冗談を交えて語ってくれる先輩。
眼光は鋭く、態度はほがらか。そう先輩はいつもほがらか。
いつでもだれにでも分け隔てなく、話を聞いてくれる。聞けばなんでも話してくれる。
先輩のおちゃめな血と横川の自立した血が交じり合って、なんか明るく前向きになれる。
方向性のあるほがらかさって魅力だなと。
「僕は自分の子どもに、将来扱いにくい老人になるわーって言われてる(笑)」
ちゃんと冗談で楽しく会話を〆る部分も素敵ですね。真似したい。
帰り道は、教えてもらった抜け道を通って会社に戻りましたよ、村上先輩!
今日一日を思い出して、ふらっと抜け道を歩く抜け目のなさと遊び心、これこそ先輩だな、と改めて感じました。あの抜け道は、村上ロードとひそかに呼ぼう。
■パイセンのこの1冊■
「海賊とよばれた男」(著者:百田尚樹/講談社)
攻めている姿勢なのに、社員・家族をおろそかにしない、大事にするっていう部分に感銘を受けたよ。
本には描かれていない無情な部分はあるだろうけど、やはりこういう姿は憧れるねー。
社会人になってからそんなに本は読まなくなっちゃったんだけど、これは引き寄せられるように読んだね。
<今回のパイセン>
村上正(TADASHI murakami)
1946年東京生まれ。幼少期に広島に移住。横川商店街商店街振興組合理事長。広島横川スポーツ・カルチャークラブ役員。18歳から大学進学を機に再度上京。社会人になる24歳のタイミングで再び広島に戻り、家業であるホビーショップに就職する。以降、下町のホビーショップとして多くの方に愛されるも、2018年4月に惜しまれつつも閉店。現在は商店街の活性化と女子サッカーチーム・アンジュヴィオレ広島の運営に、日々邁進中!
写真/Y
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