グルメ 2020/08/27

【SPICE CAFE COYOTE/尾道】レトロな尾道商店街のおしゃれ空間で楽しむ本格スパイスカレーと読書

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店主の山本圭二さん。現在はコロナ禍で中止しているが、年に数回、尾道でカレーイベントも開催している

JR尾道駅から東に向かい、昭和のレトロな雰囲気が残る尾道本通り商店街に入って100メートルほど行った場所で、おしゃれな看板が目に入る。店の入り口をくぐると、食欲をそそられる香りに包まれた。

店主の個性が溢れる空間と本

「SPICE CAFE COYOTE(スパイスカフェ コヨーテ)」は、店主の山本圭二さんが地元の尾道にUターンし、2013年にオープンしたカフェ。入り口からカウンターとテーブル席のある細長いスペースを抜けると、隠れ部屋のような中2階が広がる。そこには、実はプロのカメラマンとしての肩書も持つ山本さんが世界各地で撮影した写真や、アート作品が飾られ、また棚には画集や写真集、趣味の旅やアートに関する雑誌などを中心とした本のコレクションが多数並べられている。そういえば、入り口付近やカウンターの上にもたくさんの本が積まれていた。好きな本を選んで、ゆっくりと穏やかな時間を過ごすことができそうだ。

店の奥に広がる中2階のカフェスペース

感覚が刺激されるくつろぎカフェ

オープン当初は普通のカフェとして営業していたが、2015年、山本さんに転機が訪れた。
「『尾道自由大学』で行われたスパイスの講座を受講したことがきっかけで、組み合わせ次第で無限の可能性が広がるスパイスの面白さにはまりました」と、奥深いスパイスの世界に魅了されたのだという。
講座終了後も、講師を務めていた鎌倉のスパイス専門店「アナン株式会社」の社長で、インド・スパイス料理を探究する日印混合料理ユニット「東京スパイス番長」のメンバーでもあるメタ・バラッツ氏に教わり、スパイスを使った料理の提供を始めた。

アナン株式会社からホールで仕入れるスパイス。メニューによってオリジナルのミックススパイスを使い分ける

それから5年が経った現在、メニューに並ぶのは、スパイス料理の代表格であるカレーを中心に、シナモンを使ったハニートーストや、自家製ジンジャエールなどのスパイスをたっぷり使ったドリンク。カレーは「スパイシーキーマカレー」「チキンカレー」「ダルカレー」の3種で、作り方はホールスパイスを油で熱して香りと効能を引き出す「テンパリング」という工程から行うインドの本格的なものだ。
「私の好みは甘い香りと刺激があるクローブ。スパイスの個性が生きるように好みのものをブレンドしています。配合はベースはありますがカレーの種類によって変えていて、気まぐれで微妙に変えることもありますね(笑)」と山本さん。

チキンカレー(950円)。無農薬の自家栽培野菜は店頭でも販売

早速人気のチキンカレーを注文してみる。運ばれてきたのはスープのようなサラサラのルーと、ご飯、チキン、日替わりの副菜4種がのる、目にも鮮やかで彩り豊かなワンプレート。エスニックな香りに刺激されて口に入れると、じわじわと心地よい辛さとスパイスの複雑な風味が広がり、そしてなぜか、まろやかな酸味を感じる。聞くと、カレーは約10種のスパイスと、トマト、玉ねぎ、ショウガ、ニンニクなどを煮込んでいて、酸味の正体は最後に絞りかける地元瀬戸田産のレモン果汁なのだそう。じっくり煮込んでありながらもしっかりと肉感のあるメインのチキンに、キャベツのココナッツ炒め、インド料理に欠かせないパパド、豆を使ったダルカレー、スパイスを混ぜたヨーグルトなどが添えられ、アジアンな気分が味わえる大満足の一皿だ。

 

なお店名はコレクションにある旅行雑誌『Coyote』にちなんだものだとか。山本さんの本好きがうかがえる。
「非日常をより身近なものに感じて、時間を忘れてくつろいでいただきたいですね」。 尾道を訪れた際にはぜひ、町巡りのプランにスパイスに魅せられた本好きな店主の店を追加して、本を片手に刺激たっぷりのカレーを楽しんでほしい。

店主の山本圭二さん。現在はコロナ禍で中止しているが、年に数回、尾道でカレーイベントも開催している

(取材・文/Kco)

■おすすめの本■
『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』(著者:米原万里/発刊:角川学芸出版 )

1960~64年ごろ、共産圏であるチェコスロバキア共和国の首都・プラハにあるソビエト学校で子ども時代を過ごした著者が、大人になって再訪し、当時を回想するエッセイです。さまざまな国の子どもに出会い、文化に接していく話が出ていてとても面白いです。

≪あらすじ≫
1960年、プラハ。小学生のマリはソビエト学校で個性的な友だちに囲まれていた。男の見極め方を教えてくれるギリシア人のリッツァ。嘘つきでもみなに愛されているルーマニア人のアーニャ。クラス1の優等生、ユーゴスラビア人のヤスミンカ。それから三十年、激動の東欧で音信が途絶えた三人を捜し当てたマリは、少女時代には知り得なかった真実に出会う!大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。

■SHOP DATA■

店名 SPICE CAFE COYOTE(スパイスカフェ コヨーテ)
住所 尾道市土堂1-2-12
電話 0848-23-2640
営業時間 11:00~19:00(L.O.18:00)
定休日 水曜(祝日の場合は翌日)
HP http://www.spicecafe-coyote.com/

 

 

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