コラム 2020/05/22

新型コロナという名の巨大モンスター。

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広島で飲食店を多店舗展開する飲食店経営者コラム。
経営者と言っても、いつも誰かに「全く大人になれてないよねっ!」とよく言われる。しかもその言葉を褒め言葉として都合よく解釈し、ポジティブに生きている。
食のお話、お酒のお話、不思議なスナックのお話など。
飲食経営者だから分かる裏話や、時代錯誤の食べ飲み歩き大好き野郎としての勝手な意見を、ぶっちゃけていきたいと思います!

今の状況が本当に悔しい

こんにちは。

さて、現在、新型コロナというモンスターが猛威をふるっています。

日本では「自粛」という名の勇者や、「3密防止」の魔法使いや、「ソーシャルディスタンス」という、剣士達が戦っています。

 

しかしモンスターの力は強力で、安心はまだまだ先になるでしょう。

多くの業界が多大なダメージを受けていますが、中でも観光業やイベント業、

そして飲食業界への影響は目も当てられません。

 

今回は、飲食店経営者として少し真面目に飲食店の現状もふまえ、書いていこうかなと思います。

 

まず、そもそも飲食店って儲かる業界じゃありません。

利益が5%残れば優秀で、10%あれば超優秀。

 

例に出してみましょう。

よくある個人店の1人か2人で切り盛りしている居酒屋さんをイメージしてください。

その店の内訳は、だいたい下記の感じになります。

売上 100万円

経費内訳

仕入 30万(30%)

人件費 30万(30%)

家賃 12万円

水道光熱費 5万

他諸経費 13万

 

経費総合計 90万円

利益10万

 

あくまでざっくりとで。

厳密に書いたら、分かりにくいんでシンプルにしてます。

 

週1休みで、お給料は総支給額30万。

ここから、諸々社会保険料等が必要です。

アルバイトさんを雇うならもちろん、給与支給額はその分減ります。

 

そうすると手取り額は……。

 

さらに残った利益で、お店を出した時に銀行から借りた借入金の返済をしなければいけません。

 

小さなお店でも、3〜500万円はお店を出すのに最低でも必要かな。500万円借りて、利益丸々返済にあてたとして、

5年でようやく借金が返せます。

 

オーナーが別にいる場合は、毎月の借入返済額を支払った後の金額がオーナーの取り分です。

 

利益が10%残る超優良店でこのような感じです。

ただし、利益が10%残る飲食店は、経験上2〜30軒に1軒とか。

 

利益が10%残る飲食店を経営していたところの、年間で残る利益は例に出した居酒屋の場合120万円です。1年コツコツ貯めた金額が120万円です。

 

しかし、新型コロナモンスターの猛威により

多くの飲食店は4月、5月の売上は壊滅状態です。

ざらに90%減とかです。

100万売上のあったお店が、売上10万円とかに余裕でなってます。

 

つまり1年間こつこつ貯めた利益が、この1、2か月でパーです。

超優良店の場合でそうなので、一般的な飲食店の場合は3〜5年分の利益が1、2か月でパーになります。

 

ということで、飲食業界は大ピンチです。

 

補助金等あるので、個人店さんは数ヶ月延命できるでしょうが、

数店舗経営していたり、家賃のある程度高いところを借りている店舗や、

社員を多く抱えている飲食店会社にとって

補助金はソッコーでなくなっちゃいます。

また、客足がすぐに戻るわけないので、

この状況は数か月もしくは年単位で続くこと前提で

経営していくことになります。

 

こんなことになるなんて、誰も予想できるわけないじゃんっ!!と多くの人が叫んでいることでしょう。

 

そもそも、飲食店をしている人たちは、飲食店が好きだから始めたのた人が大多数です。僕も含め。

料理が好きだったり、お酒が好きだったり、空間が好きだったり、人と接するのが好きだったり。

そりゃそうじゃないですか。

儲けを求めたり、安定や、休みを求めたりするなら別の仕事した方が手っ取り早いですもん。

そんな人たちのもと、多くの飲食店は成り立っているんです。

 

だからこそ今の状況が本当に悔しい。

 

日本の飲食店の多さは世界でもトップクラスです。

よって多くの飲食店がしのぎを削り、

世界一安全で、世界一美味しい料理が集まり、世界一安いグルメ大国になりました。

 

衛生環境バッチリで、300円ちょっとでお腹いっぱいになる丼ぶりがあるなんて、どの国行ってもありえません。

 

感染拡大抑制が大事なのは分かります。

 

しかし、これからは日本の多くの魅力的な飲食店がなくなってしまっていくことでしょう。

もうこの状況を受けざるを得ないところまで来てしまいました。

 

もしかすると、グルメ大魔王が

「お前ら、飲食店ありすぎっ!! 間引きが必要じゃー!!と言い出して、

モンスターを放ったんじゃないかとさえ思います。

 

飲食業界だけが厳しいなんて思いません。

ほとんどの業界が影響を受けているでしょうし、

医療従事者の方を思うとお店営業していていいのか?

とも考えます。

 

でも大それたことなんて所詮できないので、

自分達にできることは街の明かりになる飲食店が1店舗でも多く生き残れるようにやることかなあ。

なんて思ってます。

 

数多くの飲食店が、今努力をしています。

今できることを考えて行動しています。

テイクアウトにチャレンジしたり、

3密を避けれるように店内レイアウトを変えたり。

皆さん必死です。

 

なので、、、

 

「久しぶりに軽く一杯どうですか?」

落ち着いてからでいいので、是非近所の飲食店さんによってあげて下さい。

 

コロナに負けるな!!!

 

私ごとですが自分たちのできる事の一環としてクラウドファンディングで現在支援を集めています。

ぜひ、よろしければ!!

https://camp-fire.jp/projects/view/267521


ナオヤ

ナオヤ[広島駅を中心に飲食店を多店舗展開する飲食店経営者。 しかし、「仕事何してるの?」としょっちゅう誰かに聞かれる大人になれない30代後半。 君は『ピーターパン』みたいだねと、人に言われたことをちょっとだけ気にしている。 とにかく、呑む・食う・語るが大好き。 週5日で理由をつけて飲みに行く毎日。そこで得た知識を自分のモノのように話すのが得意技。]

飲食店経営者兼ライター

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