コラム 2021/04/29

100万アクセスの前衛弁当作家・nancyの【思い出の絵本を弁当にしてみた】/#07 『くろずみ小太郎旅日記』

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前衛弁当作家のnancyです。
本棚にある絵本を一冊ずつ手に取りながら、
表紙の絵で弁当を作り、
過ぎてしまえば笑える子育ての思い出を綴っていきます。

『くろずみ小太郎旅日記』

絵本の読み聞かせの思い出を語ってみる。

私は絵本の読み聞かせを積極的にやった方だと思う。
寝る前には、必ず本の読み聞かせをした。
ハリーポッターは、最後の2巻を除き、ほぼ読み聞かせたと思う。

それくらい頑張ったのだ……というアピールをするつもりはない。
と、書きたいところだが、
子育てを褒めてもらいたいという気持ちが、ないわけではない。
そこは正直に、白状したいと思う。

そんなわけで、
私の読み聞かせ歴は数年におよんだ。
息子の成長に合わせて私も腕を上げないと飽きられてしまう。
そんな日がやってくることを恐れて、
プレッシャーをいだきつつ、私は日々切磋琢磨したのだ。

そう、読み聞かせは
本を読めば良いというわけではない。

意識して声色を変えたり、
情緒的に語ったり、
自分なりにドラマティックな演出を工夫して、
とにかく息子の気をひいた。

私が特によく利用した図書館では、
私が本を読みはじめると子どもたちが自然と集まってきて、
一緒に聞いてくれた。

特に『くろずみ小太郎』の冒険譚は、
子どもが大好きな要素満載なので、私も得意とするところ。
サービス精神が爆発してよりオーバーに語ってしまう。
そうなると、もう誰のために語っているのか忘れて、
暴走してしまうのだ。

そんなある日のこと。
息子が風邪を拗らせて、中耳炎になった。
週一回通う市内の病院は、いつも患者さんがいっぱいで、
待ち時間が恐ろしく長い。

そう、その長い長い待ち時間。
息子は退屈しのぎに私に絵本の読み聞かせをせがんだ。
幸いなことに待合室には絵本が置いてあり、
私はその一冊に手を伸ばした。

最初は迷惑になるので、
小声で語っていたのだが、
息子の目が訴える。

「いつものように語れ」と。

「いやいや、ここは待合室だから、静かにしないといけないの」と、
私はジェスチャーで息子に伝えた。

息子はしぶしぶ承知して、
「いいから読んで」とせがむ。

私は小声で読みはじめた。
息子の目が輝く。
それを見てほんの少しだけ、私の声が大きくなった。
すると息子の目は、さらに輝く。
周りの子どもたちも注目しはじめる。
その視線を感じて、私の声も少しだけ高くなる。

気付いたら絵本に大きな影が映り、
見上げると看護師さんと目が合った。
明らかに、私に注意を促している。
「シー!!」のジェスチャーとともに、
小声で「静かにしてください」と言われた。

私も小声で「すいません」と言って息子を見た。
すると共犯者であるはずの幼児は、
静かに横を向き他人のふりをした。

他人の顔する息子


<弁当解説>


① すし飯に、チリメンジャコ、白ゴマ、ミョウガと青じそを刻んだものと白だしをほんのすこし入れて混ぜる。
② ①を弁当箱に詰める。
③ 卵焼きを焼き、簀巻きで三角柱になるように成形する。
④ 下1/3に生ハムを敷き、2の卵焼きを3mmの厚みに切って盛る
⑤ オブラートアートで胴体と団子のお店を描き、スライスチーズに貼って切る。
⑥ 白玉粉、小麦粉と竹炭パウダーに水を加え混ぜ、顔の部分を成形し茹でる。
⑦ ⑥にオブラートアートし、顔を作る。
⑧ 卵焼きとオブラートアートで笠を作り、人参にオブラートアートで文字を入れる。
⑨ ⑤⑦⑧を盛りつけ、オブラートアートで作ったタイトルを貼る。
⑩ 卵焼きに黒ごまをつけて出来上がり。

 

■弁当で再現した絵本■

『くろずみ小太郎旅日記』 (作:飯野 和好/出版社: クレヨンハウス)


「くろずみ小太郎」は忍術修行中の「炭(すみ)」。行く先々で恐ろしい妖怪たちと出会います。さまざまな忍術を使いこなして妖怪を退治していく「くろずみ小太郎」の冒険活劇シリーズです。

 

■nancychannel

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nancy

nancy[100万アクセスの前衛弁当作家]

広島県東広島市在住。「弁当×芸術=前衛弁当」を提唱するアートなキャラ弁の第一人者。子育ての中で一人息子に読み聞かせた本は数知れず。自称「プロの親バカ」。

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