コラム 2020/12/28

100万アクセスの前衛弁当作家・nancyの【思い出の絵本を弁当にしてみた】/#04『ゆきだるま』

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前衛弁当作家のnancyです。
本棚にある絵本を一冊ずつ手に取りながら、
表紙の絵で弁当を作り、
過ぎてしまえば笑える子育ての思い出を綴っていきます。

年内最後のコラムです。

『ゆきだるま』

 

息子は一人っ子である。

しかし、息子が生まれたときには
すでに毛むくじゃらの大きな犬が、我家を自由に闊歩していた。
どれくらい大きいかと言うと、
背中にジッパがついていて、開けたら人間が出てくるんじゃないの?
って思えるくらいの大きさ。

オールド・イングリッシュ・シープドックという
長ったらしい名前の犬種で、
名前はハル。
メスだから息子にとっては姉のような存在だった。

小さな頃はいつも一緒にいて、
同じところで昼寝をしていた。
息子が目覚めたら教えてくれたり、
泣いていると涙をなめて嫌がられていた。
きっとハルちゃんは
一緒に子育てをしているつもりになっていたのかもしれない。

息子が小学2年の時、
ハルちゃんは1週間の入院から帰ってきて
そのまま自宅で息を引き取った。

夫は号泣したけれど
息子は泣かなかったし、
その後も悲しいと言ったこともなかった。
一緒に育ってきたのに
そんなものなのかな……と、私は思っていた。

先日、レイモンド・ブリッグズの『ゆきだるま』を久しぶりに手に取った。

このゆきだるまを見ていると
なんだかハルちゃんを思い出してしまう。
一緒に遊んでいる姿が
まさに息子とハルちゃんに見える。

そして最後のシーンではっとした。

そう、思い出したことがあったのだ。

義母の飼い犬が亡くなった日、
高校生の息子が「おばあちゃんちに行く!」と言い出した。
その頃、息子は強豪校でソフトテニスに明け暮れる日々。
私と息子は、二人で学校の近くに部屋を借りて住んでいた。

義母の家からは遠い。

私は反対したけれど、
息子は行くと言って聞かなかった。
「きっと寂しがってる」と、そのとき言った言葉を思い出した。

あのときはただ
おばあちゃんのことが心配なんだな……と思ったけれど、

それだけじゃない。

息子はハルちゃんがいなくなったことを
思い出して、たまらなかったのだ。

生まれてからずっと一緒にいたハルちゃん。
そこにいるのが当たり前だったハルちゃん。
息子はハルちゃんがいなくなって以来、
一人っ子になって本当に寂しかったのだと思う。

絵の中の男の子の背中が息子とかぶって、
じんわりぼやけた。

<弁当解説>


1.寿司飯を作る。
2.寿司飯を少しとり、食紅で水色に染めたもの、青色に染めたもの、そのままのものと三種類作る。
3.残りの寿司飯に、煮た人参と干しいたけ、細かく切ったしそ、ちりめんじゃこ、白ゴマを混ぜる。
4.3を敷き詰め、中心部に青色の寿司飯、外側を水色の寿司飯をのせ、白い寿司飯を一粒一粒散らす。
5.はんぺんを切ってゆきだるまの胴体と頭を作る。 5.胴体部分にマフラーを書いたオブラートを貼り、黒豆のボタンをつけて4にのせる。
6.頭の部分に顔と帽子を書いたオブラートを貼り、人参で鼻をつける。
7.6の上にタイトルを書いたオブラートを貼る。

■弁当で再現した絵本■

『ゆきだるま』 (作:レイモンド・ブリッグズ)

 

少年のつくったゆきだるまが、真夜中にうごきだした! 少年は家の中をあんないし、ゆきだるまは少年をつれて空をとび、遠い外国の町をみせてくれる。そして朝がきて…。少年とゆだるまが楽しくあそんだ、ファンタスティックな一夜のできごと。
(「評論社」HPより引用)

 

■nancychannel

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nancy

nancy[100万アクセスの前衛弁当作家]

広島県東広島市在住。「弁当×芸術=前衛弁当」を提唱するアートなキャラ弁の第一人者。子育ての中で一人息子に読み聞かせた本は数知れず。自称「プロの親バカ」。

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