コラム 2020/11/15

100万アクセスの前衛弁当作家・nancyの【思い出の絵本を弁当にしてみた】/#02『かいじゅうたちのいるところ』

タグ:
  • 広島
  • 絵本
  • 絵本を弁当にしてみた
  • 絵本弁当

前衛弁当作家のnancyです。
本棚にある絵本を一冊ずつ手に取りながら、
表紙の絵で弁当を作り、
過ぎてしまえば笑える子育ての思い出を綴っていきます。

『かいじゅうたちのいるところ』

子どもは冒険譚が好きである。

実際には知らないところに行くことも、
怪獣も怖いはずなのに、
物語になると夢中だ。

息子も物語を読み聞かせた後は
少し威勢が良くなって強がったりしたものだけど、
しばらくしたら「トイレについてきて」と言い出し、
夜の廊下を手をつないで歩いたりもした。

そう、息子は怖がりだったのだ。

私は怖がりというのは別に困ったことだとは思っていない。
むしろ慎重だし、安全意識が高い証拠だと思う。
正直、怖がりだった息子は感受性も強く無謀なことをしなかったので
親としては安心だった。

ところが、
子育てというのは親の都合に合わせてはくれない。
内なる怯えを一つ一つ克服すると同時に、
息子自身の冒険譚がはじまったのは
ちょうどこの本を読み聞かせている頃だったように思う。

同時に私の心配も増えたし、怒りのボルテージも上がった。

ある日、保健室の先生から電話がかかってきた。
私が受話器を取ったとたん、先生は吹き出した。
電話口で笑いを嚙み殺しながらしてくれた話によると、
息子の顔がお月さまみたいになっているらしかった。
あまりにひどい(面白い)ので大事をとって病院に行けという。

急いで迎えに行った私は息子の顔を見て吹き出した。
まさにお月さま。
あまりにひどい(面白い)ので
笑いを嚙み殺しながら大事をとって病院に向かって車を走らせた。

なんでも、前日に秘密基地を作ろうとして藪の中に入ったのだと言う。
夢中になっているうちにヤブ蚊に顔を刺され、
時間が経つうちにこんなことになってしまったのだと。

笑い事ではないが、これには笑った。

しかし、
笑えない話も随分あって
怪我もしたし、物も壊した。
時には菓子折りを下げて謝りに行ったこともある。
私はその都度怒ったり悩んだりしたものだが、
そんな親の心配とは裏腹に、息子自身は外の世界に興味津々。

ちっぽけではあるのだが冒険譚が増えるたびに胸を張る。
それはまさに吠える怪獣を「うるさい!」と一括し、
王冠をかぶったマックスの気分そのものだったのだろう。

そう、私も
「ただいま」の息子の声の中にマックスの姿を重ねたこともあった。

■弁当解説■

1. 卵焼きと肉のそぼろを作る。

2. 小松菜を炒め、ごぼうとかぼちゃ、パプリカを煮る。

3. マッシュポテトを食紅で着色する。

4. 市販の食用オブラートに食用の炭パウダーを水で溶かして絵を描きチーズに貼る。

5. 弁当箱の2/3にご飯を盛り、1とブロッコリーを詰める。

6. 2.3.4をご飯の上に盛り付けて絵を作る。

7. オブラートに書いたタイトルをご飯に貼る。

 

■弁当で再現した絵本■

『かいじゅうたちのいるところ』 (作:モーリス・センダック)

 

かいじゅうの国をたずねよう。コルデコット賞を受賞し、世界中の子どもたちをひきつけてやまないセンダックの代表作。子どもの内面のドラマをみごとに描いて、今世紀最高の絵本と言われています。

■nancychannel

HP:

https://nancychannel.pw/

インスタグラム:

https://www.instagram.com/nancychannel/

 


nancy

nancy[100万アクセスの前衛弁当作家]

広島県東広島市在住。「弁当×芸術=前衛弁当」を提唱するアートなキャラ弁の第一人者。子育ての中で一人息子に読み聞かせた本は数知れず。自称「プロの親バカ」。

nancyの記事一覧

関連記事

トップに戻る