コラム 2020/10/10

100万アクセスの前衛弁当作家・nancyの【思い出の絵本を弁当にしてみた】/#01『おしいれのぼうけん』

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前衛弁当作家のnancyです。
本棚にある絵本を一冊ずつ手に取りながら、
表紙の絵で弁当を作り、
過ぎてしまえば笑える子育ての思い出を綴っていきます。

『おしいれのぼうけん』

子どもは押入れが好きである。

襖を閉められて、真っ暗な中にとじ込められるかもしれないのに。
そのスリルもあってからなのかわからないけれど、
いつの間にか、布団を無理やり出してはそこに潜り込む。

思い返せば私も子ども時代にしていたので、気持ちはわからなくはない。

だけど、親としては大いに困る。
自分が汚れていようが、お構いなしに潜り込み、
近くに誰がいようと突然飛び出してくる。
のんびり寝ていた愛犬も生きた心地がしなかったことだろう。

 

そんな時に私はこの絵本をみつけた。

 

古田足日さんと田畑精一さんによる名作『おしいれのぼうけん』。

今の社会風潮の中で読むと、保育園で先生が押入れに閉じ込めるなんて!! と思うかもしれないが、
そのあたりの設定はともかく、
私はこの本の絵に惹かれ、
物語が気に入り、
息子のために大げさな読み聞かせをした。

 

すると、大きく見開かれた息子の瞳の中に
押入れの世界が広がるのを感じ、
さらに私は調子に乗った。

 

結果、この本を読み聞かせて以来
息子は押入れに入らなくなった。

 

どうして? と聞くと
「押入れに閉じ込められたのは、”あきらとさとし”だ」と言う。
「僕一人では”ねずみばあさん”と戦えない」と言う。

 

襖が少しでも開いていたら怖がるようになったところをみると
どうやら、息子にはこの絵本はホラーだったようだ。

 

息子の怖がりように私も驚いて
この本を選んだことも
大げさな読み聞かせをしたことも
当時は反省したと思う。

しかし、そんなことをいちいち引きずっているほど
子育てに余裕はない。
そんな中、予想外のことが起きた。
なんと、息子がこの絵本を気に入った。
 
ハラハラドキドキの怖い絵本体験は貴重だ。
その中でも、息子が好む絵本はもっと貴重だ。
 
「これ読んだら寝ようね…」
「この後、ご飯食べようか…」などなど
 
お気に入りの物語なら
すんなり交渉成立です。
 
 
その後、
永遠に終わらないかと思うほど
何度の何度もせがまれ、
うんざりするほど読まされたけれど、
 
交渉成立は数知れず。
未熟な母はこの絵本でどれだけ救われたか……。
 
 
最後に告白しますけれど、
「ほらほら早く寝ないと、”ねずみばあさん”が来るよ!!」と
脅したことはあります。
 
何度も。


■弁当解説■

1.イカスミを練り込んだ黒いパスタ(1人前)でペペロンチーノを作る。

2.市販の食用オブラートに食用の炭パウダーを水で溶かして絵を描く。

3.薄焼き卵に2を貼り付けて、輪郭に沿って切り、パスタの上に置く。

4.薄焼きたまごを切ったものと、人参の甘辛炒めでまわりを飾る。

 

■弁当で再現した絵本■

『おしいれのぼうけん』(作:古田足日 田畑精一 発刊 童心社)

お昼寝前に、ミニカーのとりっこでけんかをしたさとしとあきらは、先生に叱られておしいれに入れられてしまいます。そこで出会ったのは、地下の世界に住む恐ろしいねずみばあさんでした。ふたりをやっつけようと、追いかけてくるねずみばあさん。でも、さとしとあきらは決してあきらめません。手をつないで走りつづけます―。
80ページものボリュームがありながら、かけぬけるように展開するふたりの大冒険。1974年の刊行以来多くの子どもたちが夢中になり、版を重ねてきました。累計228万部を超えるロングセラー絵本。(童心社/「おしいれのぼうけん」記載本文より引用)

■nancychannel

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nancy

nancy[100万アクセスの前衛弁当作家]

広島県東広島市在住。「弁当×芸術=前衛弁当」を提唱するアートなキャラ弁の第一人者。子育ての中で一人息子に読み聞かせた本は数知れず。自称「プロの親バカ」。

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