映画『鹿の王 ユナと約束の旅』2月4日公開 謎の病に侵食された世界で、唯一抗体を持つ孤独な戦士と少女の物語を描く。広島県府中市出身・安藤雅司監督がベストセラー小説「鹿の王」をアニメ映画化
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「精霊の守り人」や「獣の奏者」シリーズなど、数々の人気作を手がける上橋菜穂子のベストセラー小説「鹿の王」がアニメ映画化します。
監督は、広島県府中市出身のトップアニメーター・安藤雅司。
『もののけ姫』や『千と千尋の神隠し』、『君の名は。』など国内有数のヒット作で作画監督を担ってきました。
本作が初監督作品でありながら、キャラクターデザイン、作画監督などアニメ制作における骨子の部分も務めるなど、作品への思い入れが伺えます。
そんな大注目作品が、2月4日(金)から広島県内各地で公開されます。
そこでFLAG!webは、広島バルト11の試写会に参加しました!
映像化不可能と言われた本作が、安藤雅司監督の手によってどのような作品に仕上がったのか。注目です。
壮大なファンタジー作品
現代に通じる親子の絆が人々を救う物語
過去に妻と息子を流行り病で失ってしまった主人公のヴァン。身寄りのない少女ユナ。謎の病から生き延び、旅を続ける二人の間には、血は繋がっていないけれど、ともに過ごすうちに親子愛にも似た絆が生まれていきます。
二人が身を寄せることになるオキの里は、そこに住む人々も素敵な人たちばかり。
里の人々との交流、ユナとの絆を深める時間は、寡黙で人を寄せつけなかったヴァンに他者と繋がる喜びをもう一度思い起こさせてくれたように感じられます。
しかし、謎の病〈黒狼熱(ミッツァル)〉の抗体を持っているが故に、ツオル帝国とアカファ王国の因縁の争いに巻き込まれ、離れ離れになってしまう二人。
二人が抗体を持つ血にはどんな秘密が隠されているのか。立ちはだかる過酷な運命を、二人は乗り越えることができるのか——。
卓越された世界観のファンタジー作品でありながらも、現代社会に通じる親子の絆が心を救う物語。ユナを守りたいと思うヴァンの気持ちが、彼を取り巻く周りの人たちの心を癒やし、救う姿に胸打たれます。
物語のキーパーソン
医術師ホッサルの存在
本作は、ヴァンとユナの絆の力、大切な人を守りたいというテーマを主軸に描きながらも、「病から人を救いたい」とひたむきに医療に向き合うホッサルの存在も、とても丁寧に描かれます。
医学者の立場として、「病に国境があるはずがない」と人々を救うため、ヴァンから抗体を手に入れることに尽力するホッサル。
病が国を選ばないのと同様に、「治療にも国境があるはずがない」と誰であろうと傷ついた人には分け隔てなく手を差し伸べるホッサルの理念や、医学的な観点から病と闘う術を手に入れようと奮闘する姿には、心動かされるものがあるはず。
新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威をふるう中、期せずして公開になる「医療、感染症、絆」をテーマにした映画は、私たちにどんなメッセージを与えてくれるのでしょうか。
ヴァンの過去や、ホッサルが治療薬の開発する方法について、登場人物一人一人のバックボーン、そして上橋菜穂子さんの壮大な物語の世界観を感じたい方は、この映画をきっかけに原作「鹿の王」シリーズをぜひ、読んでみてください。
〈STORY〉
かつて東乎瑠(ツオル)帝国から恐れられていた戦士団"独角"の頭・ヴァン(堤真一)は戦いに敗れてすべてを失い、囚われの身となっていた。
ある日、山犬の襲撃を受けるも混乱に乗じて脱獄に成功するが、その最中、自分と同じように家族を亡くした少女ユナと出会い、共に過ごすことでヴァンは徐々に生きる目的を取り戻していく。
一方、謎の病〈黒狼熱(ミッツァル)〉がツオル帝国で猛威を振るいつつある中、ツオルの支配下にあるアカファ王国では、ウイルスを体内に宿す山犬たちを利用して水面下で反乱が計画されていた。
抗体を持つことで陰謀に巻き込まれるヴァンとユナだったが、ついにはユナが山犬たちに連れ去られてしまう。ヴァンはユナを追う途中で、ミッツァルの治療法を探す天才医師ホッサル(竹内涼真)と、それを阻止したいアカファ王国によって送り込まれた跡追い狩人のサエ(杏)と出会い、彼らはそれぞれに思惑を抱えながら共にユナを助ける旅に出る。
果たしてヴァンはユナを助け出すことができるのか?
〈監督〉
安藤雅司 宮地昌幸
〈キャラクターデザイン・作画監督〉
安藤雅司
〈声の出演〉
堤 真一 竹内涼真 杏
〈制作スタジオ〉
Production I.G
〈公式HP〉
■関連本の紹介■
「鹿の王 」シリーズ(著者:上橋菜穂子/角川文庫)
強大な帝国・東乎瑠(ツオル)から故郷を守るため、死兵の役目を引き受けた戦士団“独角”。妻と子を病で失い絶望の底にあったヴァンはその頭として戦うが、奴隷に落とされ岩塩鉱に囚われていた。ある夜、不気味な犬の群れが岩塩鉱を襲い、謎の病が発生。生き延びたヴァンは、同じく病から逃れた幼子にユナと名前を付けて育てるが!? たったふたりだけ生き残った父と子が、未曾有の危機に立ち向かう。壮大な冒険が、いまはじまる――!
芝紗也加[株式会社ザメディアジョン メディア関連事業部クリエイティブサポート]
高知県出身。冊子やリーフレット、パンフレット、広告などを企画。マリーナホップ発刊の情報誌『Aletra』、お好み焼アカデミーによる『お好み焼シンポジウム』プロジェクトなどを運営。映画、読書が趣味。最近は刺繍に目覚めたり、絵本講師になるため勉強中。
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