人を「へぇ~!」と唸らせるクイズ作家の脳内探訪 仕事や日常生活で役立つ『クイズ作家のすごい思考法』
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あなたはクイズが得意ですか? それとも9割カンで答える派?
正直、僕はクイズが苦手だ。というか、カンで答えるしかない。たとえば「世界で一番長い川は?」と聞かれたら、「うーん、アマゾン?」とそれっぽいことを言うが、実際はナイルだったりする(知ってた?)。そんな僕が、この『クイズ作家のすごい思考法』(近藤仁美 著)には、うっかり感心してしまった。ちなみに、この本の著者、近藤仁美さんは、日本に10人ほどしかいないプロのクイズ作家のひとりで、国際クイズ連盟日本支部長でもあるそうだ。なんというレア職業……!
本を通して感じたのは、クイズ作家というのは「知識のシェフ」みたいな存在だということ。情報を仕入れ、組み合わせ、スパイスを効かせ、人を「へぇ!」と言わせる絶妙な味付けをする。本書では、「この思考って、日常の雑談や仕事のアイデア出しにも使えそうじゃない?」ということを、ユーモアたっぷりに解説している。クイズ作家の頭の中をちょっと覗いてみよう。
クイズ作家の能力アップ術
著者は毎日、多いときには70問もの問題を作っているらしい。だが、ひたすら作り続けているわけではない。「パーキンソンの法則」をうまく利用し、決められた時間内で集中して作業を終わらせる。つまり、「時間があるだけダラダラやる」のではなく、締め切りを設定して効率よく仕上げることで、質と量を両立させているのだ。
さらに、「マリ・キュリーの作業法」というものも紹介されていた。複数のクイズ作成を並行して進め、ひとつが行き詰まったら別のものに取り組むことで、脳をリフレッシュさせていたらしい。これ、僕らの仕事にも使えそうじゃない? たとえば「この企画詰まったな~」というときは、別の案件に手をつける。すると、いつの間にか最初の問題が解決しているかもしれない。
より具体的な「能力アップ術」は、ぜひ読んで知ってほしい。
非常口のマークはなぜ緑色?
クイズの作成過程では、単に答えを提示するのではなく、いくつもの可能性を検討し、その中から最も興味深いものを選び取る。これこそ、相手を惹きつける会話のコツそのものではないか? 自分の興味を広げるだけでなく、相手の関心を引き出し、より深いコミュニケーションにつなげられるのだ。
そして、クイズ作家は一つの正解に固執しない。問題を作る際には、多くの視点から情報を分析し、複数の仮説を考えた上で、最も面白く、確からしい答えを導き出す。この思考法は、日常の意思決定や仕事での分析にも応用できる。たとえば、「金魚がいれば銀魚もいる?」「非常口のマークはなぜ緑色?」など、ものごとの常識を決めつけずに多面的に考えることで、新たな発見や発想の転換が生まれるかもしれないという。
また、ウィキペディアの賢い使い方も解説されている。僕たちが普段「まあ、合ってるっしょ」と雑に見ているウィキペディアには、もちろん誤情報も混じっている。でも、ものごとの概要としてはとても優秀な百科事典だという。その理由についても書かれているのだが……
なるほど、クイズ作家は「調べる達人」でもあるわけだ。また、読み進めると情報の扱い方に長けていることにも驚かされる。
そのほか、クイズイベントの陰で起こった悲喜こもごもな著者自身の体験談も随所に綴られていて、クイズづくりの裏側が知ることができるのもおもしろい。著者も人間なんです。
さて、この本には、読者が実際に考えるクイズも散りばめられている。僕は……うん、全然解けなかった。でも、問題に向き合ううちに、「どうやってこれを思いついたんだ?」と考えるようになった。そう、この本は「クイズの作り方」を通じて思考のフレームワークを学べる一冊なのだ。
クイズが得意な人はもちろん、僕みたいに「えー、勘でいくわ」派の人にも、きっと役立つ一冊。知識を詰め込むのではなく、知識をどう料理するか。その秘訣がここにある。
そして、それはクイズに限らず、仕事でのプレゼンや交渉、日常の雑談にも応用できる。
たとえば、相手が「それ、知らなかった!」というような話の展開を考えることや、適度に驚きを交えた説明をすることで、より印象に残るコミュニケーションができるのだ。
次、誰かと会ったときに「ナイル川の長さ、知ってる?」とサラッと言えたら、あなたも立派なクイズ作家見習いだ!
<書籍概要>
タイトル:クイズ作家のすごい思考法
発売日:令和7年2月7日(金)
体裁:新書版/本編224頁
販売エリア:全国の主要書店、Amazon、楽天ブックスほか
販売価格:968円(税込)
発行:集英社インターナショナル
<著者プロフィール>
近藤仁美 (こんどう・ひとみ)
クイズ作家。1988年、三重県生まれ。早稲田大学教育学部卒業および同大学院修了。在学中からクイズ作家として活動を始め、日本テレビ系『高校生クイズ』の問題作成を15年間担当したほか、『頭脳王』『クイズ! あなたは小学5年生より賢いの?』『せっかち勉強』などのテレビ番組や、各種メディア・イベント等で問題作成・監修を行ってきた。2018年より国際クイズ連盟日本支部長。クイズの世界大会では日本人初・唯一の問題作成者を務める。

堀友良平[株式会社ザメディアジョンプレス 企画出版編集・FLAG!web編集長]
東京都出身。学研⇒ザメディアジョンプレス。企画出版、SNS、冊子などの編集担当。書籍「古民家カフェ&レストラン広島」などのグルメ観光系や、「川栄李奈、酒都・西条へ」などのエンタメ系なども制作。学研BOMB編集部時にグラビアの深さを知りカメラに夢中
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