コラム 2018/03/02

【vol.02 影響をストレートに受け取り、吸収するということ】本棚という名の頭の中。

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  • サブカル

まさに「三寒四温」。
そんな寒波の波を乗り越えて、
デザイナーでもあり、個人的に大好きなイラストをがしがし描かれているイラストレーターでもある、
僕が尊敬してやまない方のお1人、カメレオンワークスの上田さんに、本棚を見せていただきました。

どのような本に興味を持ち、どのような本から影響を受けてこられたのか、楽しみです!

■本棚を見せてくれた人■
上田昇辰 さん
尾道生まれ、尾道育ち。奈良の大学を卒業後、尾道のデザイン事務所に就職。その後印刷会社勤務を経て、
カメレオンワークスを創業。活版印刷体験と紙もの雑貨のお店「活版カムパネルラ」も展開中。

まずは上田さんの机周辺から

 

上田さんの机近くの本棚には、仕事のデザインに関する本が多く並んでいます。

上田さん「デザイン系の本は仕事柄ちょこちょこ買います。参考になるもの、勉強になるなって感じた本を買ってるよ」

確かにデザイン系が多いですね。

 

デザインが気になった小物が置いてあったりします。

上田さん「これはフィンランドのシャンプーのボトルでデザインがいいなーって思ったんで、ここに置いてます。あとで分かったんですが、マリメッコのデザイナー『マイヤ・イソラ』のデザインなんですよ!」

気になったものが、有名テキスタイルデザイナーのものだなんて……なんだかいきなりセンスを感じさせられて、びっくりしちゃいます。

 

旅行記に丁寧に記されたインドでの衝撃

 

棚の一番上を見てみると旅行関係の本がズラリ。
インドやネパールなどを放浪旅行したときの1冊がでてきました。『地球の歩き方インド』です。

上田さん「これは初めての海外旅行のときに、購入した本やね。もう20年前ぐらい前かな。現地でこれを頼りにしようと思ってたんだけど、なんか宿屋の情報とか全然載ってなくて、おかしいなーって思ってて……。現地で知り合った日本人がこれを見て「これは心得的なことを書いているパターンの地球の歩き方だよ」って教えてくれたんです。オーソドックスじゃない違うタイプの方を買ってました(笑)」

青春時代の旅行でありがちな間違いは今でこそ笑えますが、
当時、インターネットが普及していない時代に、見当はずれの情報誌を持って旅に出るなんて、生死を分ける危ない経験のような……。
こういう経験が度胸を育むんですね。

入国審査に備えて予習をした跡が。1monthのメモに初々しさを感じます

 

次に上田さんが手に取ったのは、スケッチ?ノート?の束。

 

出るわ出るわの旅行メモの数々。

上田さん「当時、インターネットがないから宿の情報とか、メモせざるを得なかった。もともとイラストも好きでずっと描いていたし、見たものや感じたことなど、なんでもとにかく書いてた」

メモの領域を超えたこの記録の数々……。こういうふうにアウトプットを積み重ねることで、感性が磨かれていくのかなと感じました。
猿岩石日記にあこがれて、日記をつけ始め、見事な三日坊主で終わった中学生の時の自分に言い聞かせてあげたい!「アウトプットの積み重ねることは重要だよ…」と。

 

ここで疑問が沸きました。
なぜ、インドやネパールなどを旅行したんだろう。ここまで惹かれてらっしゃるんだろう…。

上田さん「ノリですね。大学の時、友達に「ゾウに乗ってみない?」って誘われて。それで実際に行ってみたら、世界広いなーって、カルチャーショックを受けて。1か月ぐらいいたのかな。自分の常識は非常識で、非常識が常識みたいな。もうやられたもん負け、っていう。これはもう一度来ないといけないな、と。それで、就職して3年ぐらい経ったときに再度時間を作って、東南アジアを含めて半年ぐらいかけて回りました。インドに行って、そのあとタイに寄ったんだけど、そこであった人が横浜でデザイナーしている人で「これからはマックができないとだめだよ」って教えてもらって。それでマック、いやウィンドウズを買って、デザインを学んだんですよ」

放浪の旅で、その後の仕事を見つけるっていう偶然なのか、運命なのか…やはり人は巡りあわせに正直になるって大事ですね。

 

ついに、バイブル登場!

本の話から、旅、仕事の話になって、いろいろ教えていただいていると、
上田さんがおもむろに立ち上がり、本棚から2冊の本を持ってこられました。

左:『猫と庄造と二人のおんな』谷崎潤一郎/左:『若者たち』永島慎二

上田さん「これがバイブル的な本ですね。『若者たち』は買ったのはここ数年やけど、作品自体は大学時代に読みました。知ったきっかけは、サニーデイサービスってバンドです。ファーストアルバムのタイトルが「若者たち」だった。で、歌詞カードの最後のほうにスペシャルサンクスってあるやん。そこにこの本が載ってて、なんだこりゃって思って、奈良の大学だったので、大阪のまんだらけとかで見つけて買って。みんな凄い貧乏なんだけど、すごい狭い一つの部屋に5、6人が住んでて、みんなそれぞれ、絵とか、小説とか、ギターとかをやってる。俺はこれでやっていくぞっていう。けど、食べていけない。紆余曲折を経るけど、別に誰かが成功するわけでもない。最後にはそれぞれ部屋を出て行っていく……。まさに若者の1ページ。その時の自分の環境ともリンクする部分があって、うわーこうありたいっていう。人と違うことこそ、正義っていうか。俺、ポケベル持ってないことが、かっこいい……みたいな」

いやー、まさに若者ですね! 具体的にこれを学んだっていうものではなく、作品の雰囲気が背中を押してくれてるってニュアンス。
違うタイミングで上田さんがこの作品に出合っていてもきっとバイブルにはならなかったのではないでしょうか。

上田さん「『猫と庄造と二人のおんな』は、まぁ純文学に目覚めた一冊ですね。俺はずっとマンガばっかりだったんよ。漫画を神と崇めるっていうね(笑)。で、大学生の時に、『ノルウェイの森』を読んで、情景が浮かぶやん! 面白いって、ドはまりして。そこからいろいろメジャーどころを読んでて、そこから純文学に手を出すタイミングで初めて手に取ったんよ。猫飼ってる庄造と、その庄造を巡った二人の嫉妬のどろどろした感じ。だけど、庄造は結局猫が一番大事っていう。タイトルも権力をもっている順番を表現してて。このどろどろとした人間関係とか、ちょっとした些細な表現にしびれたね。ここから純文学にのめりこむようになっていった」

ページをめくりながら、当時を思い出すようにお話をされる上田さん。
幅広いジャンルを読まれるんですが、そこにひとつの流れがあるように感じます。
そして、それぞれの作品から受けた影響をストレートに受け取っている、そんな印象を受ました。

 

話はいろいろな方向に行きつつ、改めて本棚に目をやると、隅っこのほうに……。

上田さん「「これは間違えて2冊買ってしまったんよ(笑)。なので織田君(カメレオンワークススタッフ)に1冊あげてここにあるって状態ですね」

ここまで仕事関係、旅行記、バイブルなどの話を中心にしてきましたが、上田さん、マンガがお好きなんですね。
そういえば、先ほど、マンガを神と崇めている発言がありましたし……。

そんなマンガについては後半で!!

 


西村公一

西村公一[メガネとヒゲ]

なんだか思いや本音がにじみ出ている、あふれ出ているものが好き。自然・抜け道・補充・やる気がないように見えて気合入ってるもの・が好き。

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